メモリー − 自作パーツの選び方

パソコンのシステムメモリーは、そのアクセス速度がパソコンの性能に影響を及ぼすので、CPUやマザーボードとともに進化しており、マザーボードによって使えるメモリーの種類が異なるので注意が必要です。



 DDR3メモリーの選び方

現在主流であるDDR3メモリーは、2007年夏のIntel3シリーズのマザーボードから使われていますが、初期の頃は価格も高く、本格的に移行したのは2009年に入って、春にAMDのSocket AM3プラットフォームが初めてDDR3メモリーをサポートし、秋にIntelのLGA1156プラットフォームが登場してからのことです。

 これまでメモリーは、新しい種類のデータ転送速度が速いメモリーが開発されて、パソコンの高性能化を支えていますが、かつて2枚挿しのSIMMからDIMMに移行して、同じDIMMでもWindowsXP登場の頃に、SDRAMからDDR-SDRAM(Double Data Rate SDRAM:クロック信号の立上がり時と立下がり時の両方で読み書き)というタイプに移行し、DDR2-SDRAMを経て、現在の主流はDDR3-SDRAMへと移行していす。

 このところDDR2-SDRAMは単にDDR2メモリー、DDR3-SDRAMは単にDDR3メモリーと呼ぶことが多くなりましたが、それぞれ種類があって、DDR2メモリーでは、初期のDDR2-533(PC2-4200)から、DDR2-667(PC2-5300)、DDR2-800(PC2-6400)へ、DDR3メモリーでは、DDR3-1066(PC3-8500)、DDR3-1333(PC3-10600)、DDR3-1600(PC3-12800)へと高速化しています。


DDR3-1600
4GB×2枚組
ADATA 
AX3U1600GC4G9-2G




DDR3-1600
2GB×2枚組
KINGSTON HyperX
KHX1600C8D3K2/4GX




DDR2-800
1GB×2枚組
Corsair
TWIN2X2048-6400C4




DDR2-800
1GB×2枚組
Transcend JetRam
JM2GDDR2-8K




DDR2-800 512MBX2
U-MAX Castor LoDDR2-512-800




DDR-400 512MBX2
CFD DD4333K-512/H



*バルクメモリーは普通
 は箱やパッケージに入っていません


いろいろ種類があっても、本来DDRメモリーからDDR2メモリーへ、またDDR2メモリーからDDR3メモリーへは倍のデータ転送速度の向上が求められて移行しており、DDRの高クロックDDR-400メモリーの倍の転送速度がDDR2-800メモリー、そのDDR2-800の倍がDDR3-1600メモリーとなります。

 ゆえに自宅のパソコンでは左の画像のように、DDR2メモリーならDDR2-800メモリーをDDR3メモリーならDDR3-1600メモリーを使用するようにしており、むしろ新しい規格のメモリーが登場しても慌てて移行しないで、本来の期待される性能が出せるスペックのメモリーの発売を待って購入しています。

 将来は2014年に、DDR4メモリーが登場する予定ですが、これまでの経緯を見ても、発売されても価格が高い2年ぐらいは手を出し難いことや、DDR4でも高クロックモデルの発売が遅れる可能性があって、現行の価格が安いDDR3メモリーは想定外に寿命が長くなりそうです。

 DDR2-800メモリーの全盛期は2007年からの2年間ぐらいであり、DDR3-1600メモリーは今後も2年以上とDDR2-800の倍ぐらいの寿命と、もちろん長く使えることは良いことですが、メモリーのデータ転送速度の高速化は移行コストの負担が少なければ必要なことです。

 将来のDDR4への移行を想定して、DDR3への移行期の状況をもう少し書き留めておくと、実はDDR3メモリーは登場して半年が過ぎた2008年春から大幅に値を下げており、メモリーベンダーの量産出荷が始まって値が下がるということは、いつものことです。

 しかし、当時はDDR2メモリーが極めて安い価格水準に至っていたため、DDR3メモリーへの移行コストが下がっても、相対的にはDDR3メモリーの割高感が強い状況が続いていました。

 また、WindowsVistaがメモリーを多く積んだ方が快適に使えるため、安くなったDDR2-800メモリーを2GB×2枚使うことが魅力的であり、そのためにDDR3メモリーへの移行が遅れたという面があります。

 そして2009年にAMDのSocket AM3プラットフォームでDDR3メモリーをサポートし、IntelのLGA1156「Core i7」が登場して、一気にDDR3メモリーの時代になりましたが、この時期に合わせたように、さらにDDR3メモリーも値下がりして、移行コストも比較的安価なCPUやマザーボードでDDR3メモリーが使用可能と負担が少なくなったことも後押しをしています。

 この頃は、Intelのチップセットが公式にサポートするDDR3-1333(PC3-10600)メモリーの価格が安くなったので、少し多く量を積むという傾向がありましたが、自宅では前述したように、少し価格が高くてもDDR3-1600(PC3-12800)メモリーにこだわって購入しています。(このメモリー選びについては「LGA1156 Core i7 PC自作」を参照してください。)

 当時Intelのチップセットが公式にサポートするメモリーがDDR3-1333メモリーであっても、マザーボードメーカーが独自にDDR3-1600以上のメモリーをサポートすることが多く、またIntel自身も、DDR3-1600以上のオーバークロック向けのDDR3 SDRAMのXMP(Extreme Memory Profile)規格バージョン1.2 を定めて、これに対応するDDR3メモリーをリストアップして公表しています。

 その後、デスクトップPC用メモリーは、実質的にはDDR3-1600メモリーが標準となって、さらに高クロックなブランドメモリーも発売され、それをマザーボードメーカーも独自サポートすることが普通となっており、メモリーメーカー、マザーボードメーカーそれぞれが動作検証済みリストを発表していることが多くなっています。

メモリーは、かつてはパッケージに入っていないバルク品が多く販売されていましたが、メモリーメーカーやマザーボードメーカーの動作検証済みのメモリーを選ばないと、メモリーを2枚組で使用してもデュアルチャネルでは動作しないことがあります。

 そのため、メモリーメーカーで動作確認した2枚のメモリーをパッケージに入れた2枚組みセットが多くなっており、さらに最近では3枚組みや4枚組みセットもありますが、この信頼性が高いセットもののブランドメモリーを販売している店舗が多くなっています。

 このブランドメモリーは、IntelとAMDのチップセットが異なるプラットフォームごとに異なるセットが提供されていることもあって、少し紛らわしいのですが、要はそれぞれのプラットフォームに最適なDDR3メモリーが販売されているため、その中から選ぶと安心ということです。

 また、このところのCPUは、オーバークロック耐性が高くなって、メモリーのクロック耐性も重要となっており、そのこともDDR3-1333ではなく、DDR3-1600以上のメモリーが好ましい理由の一つですが、同じメーカーの同じシリーズのブランドメモリーでも、動作クロックやレイテンシが異なる複数のモデルが販売されており、スペックや型番を確認することが重要です。

 なお、メモリーのレイテンシは低い方が高速にアクセスできますが、DDR3-1600メモリーでは標準的なレイテンシがCL9で、レイテンシがCL8の少し高速なメモリーも販売されており、予算に余裕があればCL8のDDR3-1600メモリーを選ぶと良いでしょう。

  そして執筆時点では、DDR3-1600メモリーも価格が安くなっており、容量4GBの2枚組み計8GBのブランドメモリーが3千円台で、容量8GBの2枚組み計16GBのブランドメモリーが1万円を切って購入できます。

 こうしたパッケージメモリーは、バルクメモリーより少し価格は高いもののトラブルが少なく、主なブランドは、U-MAX、ELIXER、Corsaire、JETRAM、KINGSTON、PATRIOT、ADATA、G.Skill、GEILなど提供メーカーが増えてきて選びやすくなっています。

 メモリーの価格は、短期的には相場が動くため高値のときもありますが、長期的には値下がりしており、このところのDDR3メモリーの価格は、底値といえるほど極めて安い水準で購入できます。

 ゆえに、価格の安いときに少しでも多くメモリーを積んで余裕を持って、Windows Aeroを快適に使いたいところですが、Windows7やVistaの32ビット版では、マザーボードが4GB以上のメモリーをサポートしていても、3GB強までしか認識できません。

 そのため、32ビット版のWindows7やVistaを使用しているのであれば、2GBのメモリー2枚で4GB積むことが最善であり、メモリーを大量に使用できる64ビット版のWindows7を使用していれば、少なくとも4GBのメモリー2枚で8GB積むこと、予算に余裕があれば8GBのメモリー2枚で16GB積むことがお勧めです。

 ショップでは、古いパソコンの増設用もあり、いろいろなタイプのメモリーが売られているため間違わないように、選んだマザーボードに取付け可能なメモリーを購入してください。


 メモリーは、価格変動が大きく、地域のパソコンショップでは秋葉原価格より随分高い価格で販売されている製品もあり、価格が不満であれば、通販ショップの販売価格を比べて、安い店を探して購入すると良いでしょう。

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 自作パーツの選び方 目次


    1 パーツの選択の仕方

    2 パーツの種類別の選び方

       CPU  マザーボード  PCケース  メモリー

      ハードディスク  ビデオカード  その他のパーツ


    <参考> CPUの進化の歴史 (クアッドコアCPUへの進化の経緯解説)

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