1 パソコンの脅威とセキュリティ対策の推移
かつてWindows98の時代は、パソコンの脅威としてはウィルスの感染を心配するぐらいでした。
国内で流行したウィルスの出始めは、マイクロソフトのWORDとEXCELのマクロ機能を悪用したマクロウィルスであり、特に名が知られたウィルスとしては、Wordのマクロウィルスであるメリッサがあります。次いで「I LOVE YOU」というタイトルの電子メールのVisual Basic Scriptで書かれた添付ファイルを開いて感染するラブレターウィルスが流行しています。
いずれも、受信したメールの添付ファイルを不用意に開いて感染するメール感染型ウィルスであり、当時はフロッピーディスクでファイルを受け渡すことが感染経路となる場合もありましたが、その対策としては、疑いのあるファイルのウィルスチェックを行うことであり、ウィルスの検知・駆除を行うウィルス対策ソフトがセキュリティを確保する重要な手段でした。
2001年8月に、Yahoo!BBがADSL接続サービスの運用を開始し、その後ADSLが急速に普及し、さらにFTTH接続サービスも含めて、こうしたブロードバンド回線により家庭でもインターネットに常時接続されていることが普通となりました。
インターネットに常時接続されている環境では、メールを受信する時だけでなく、常に外部からの一方的な攻撃を受けるおそれがあり、以降は、次のような新たな脅威に対してパソコンのセキュリティ対策の強化が必要となっています。
時代背景 (OSと通信環境) |
パソコンの脅威 | セキュリティ対策 |
---|---|---|
Windows98・Me時代 | 1999年3月 マクロウイルスのメリッサ登場 2000年5月 ラブレターウイルスの登場 |
ウィルス対策ソフトの使用 Windows Update(自動更新) <セキュリティ修正プログラムの適用> |
2001年8月〜 YahooがADSLに参入 2001年11月〜 Windows XP発売 |
2001年9月 多経路感染型W32/Nimda登場 2003年8月 MS Blasterウィルス被害続出 2004年2月 W32/Netskyウィルスの登場 |
ブロードバンドルータの使用 パーソナルファイアウォール |
2004年9月〜 Windows XP SP2適用 |
2004年11月 フィッシング詐欺の被害発生 2006年3月 Winny利用による情報流出 2006年10月 W32/Strationウィルスの出現 |
Windowsセキュリティセンター (ファイアウォール・自動更新・ウィルス対策の監視) |
2007年1月〜 Windows Vista発売 |
2007年2月 ボットウィルス感染の顕在化 |
Windowsセキュリティセンター (ファイアウォール・自動更新・マルウェア対策・他のセキュリティ対策の監視) |
これからADSLの普及が始まろうとしていた時期に、マイクロソフトのWebサーバー・ソフトIIS(Internet Information Services)のセキュリティホールを狙ったワーム型ウイルスとして、CodeRed(コードレッド)とW32/Nimda(ニムダ)と続けて出現しています。
いずれも感染したWebサーバーから、さらに攻撃を仕掛けるトロイの木馬タイプの活動を行い、特にW32/Nimdaは、ネットワー上の他のパソコンへの感染、感染したWebサーバー上のホームページと一緒にW32/Nimdaをダウンロードして感染、ウィルスに感染した電子メールから感染と、多くの感染経路を持っており、急速に被害が拡大しました。
また、W32/Nimdaは、インターネットエクスプローラ(IE)のセキュリティホールを狙い、ホームページを見ただけで感染したり、感染した電子メールの添付ファイルを開かなくても、Outlookでメールを開いただけで感染、OutlookExpressではメールをプレビューしただけで感染するという恐ろしいウィルスです。
W32/Nimdaの対策は、Internet Explorer 5.5のSP2の適用またはInternet Explorer 6.0にバージョンアップしてセキュリティホールを埋めるという作業が必要となっています。このようにソフトウェアのセキュリティの脆弱性を狙った攻撃、つまり何もしないでもセキュリティホールを悪用し侵入するウィルスの出現は大きな脅威となっています。
コンピュータウィルスのタイプについて | |
ウィルスは、一般的に感染、潜伏、発症という経過をたどり、自己複製による増殖機能があることを特徴としています。 ウィルスは他の宿主となるファイルに感染するのに対して、ワームは、簡易な実行プログラムで自己増殖力が強いものの寄生するファイルが必要がないものを指すことが一般的です。 トロイの木馬は、自己増殖しないためウィルスとは限りませんが、一旦パソコンに侵入すると、システムを内部破壊し、バックドア(裏口)を設けてインターネット上のサーバーや他のパソコンを攻撃するプログラムです。 しかし、CodeRed、W32/Nimda、MS Blasterなど凶悪なウィルスは、ワームやトロイの木馬などの特徴を併せ持ち、他のパソコンに感染するため、ウィルスのタイプを厳密に区別することの意味が無くなっています。 なお、名称にW32/Nimda、W32/Netskyのように「W32/」が付いていますが、32ビットWindows(WindowsXPや32ビット版Windows Vista)に感染するという意味であり、「W32/」を省略して呼ぶこともあります。 |
2003年8月に出現したMS Blaster(エムエス・ブラスター)は、Windowsのセキュリティホールを狙い侵入し、感染するとウィルスの活動によって頻繁にパソコンが起動・再起動を繰り返して使えない状態になり、そのため一旦感染するとセキュリティー修正プログラムの適用も困難となるため、新聞やテレビで報道されるほど世間を騒がせています。
MS Blasterは、Windows RPCインターフェースのバッファオーバーラン(バッファオーバーフロー)によりコードが実行されるというセキュリティの脆弱性を悪用しており、その侵入経路はパソコンのTCP135番ポートを無差別にスキャンして、開放されていれば攻撃データを送信し侵入するため、セキュリティの修正プログラムの適用に加えて、ファイアーウォールによりTCP135番ポートを閉じておくことが効果的な対策となります。
2004年5月に、MS Blasterと同タイプのネットワークに接続しているだけで外部からの一方的な攻撃で感染するおそれのある Sasserワームが発生しています。
インターネットに常時接続されている環境において、インターネットからの一方的な攻撃を防ぐためには、セキュリティの修正プログラムの適用が必須となり、Windows Updateを利用をして自動更新により修正プログラムを適用すること、パーソナルファイアウォールを活用することがセキュリティ対策として重要となりました。
パーソナルファイアウォールについて | |
ホームユースや小規模オフィス向けのファイアウォールを、企業ネットワーク向けと区別してパーソナルファイアウォールと呼んでいましたが、最近では単にファイアウォールと呼んでいます。 ファイアウォールには、ハードウェアファイアウォールとソフトウェアファイアウォールとあり、ハードウェアファイアウォールはルータの機能を意味しています。 ルータは、特別な設定をしなければ、外部からのアクセスは内部の要求に対する返信しか通過させない仕組みを持っており、外部からの一方的な不正アクセスのパケットは内部のパソコンには送りません。 さらに最近のブロードバンドルータは、返信パケットを送信したときの記録と照合し正しいかどうかチェックするSPI(ステートフル・パケット・インスペクション)機能と、不要時にはポートを閉じることで不正アクセスを遮断するダイナミックパケットフィルタリング機能を備えているルータもあります。 ソフトウェアファイアウォールは、市販の総合セキュリティソフトのファイアウォールやWindows XP SP2、Windows Vistaのセキュリティ機能のWindowsファイアウォールがあります。 Windowsファイアウォールと総合セキュリティソフトのファイアウォールは、どちらか使う方のみ有効にして、使わない方は無効にします。また、ADSLが普及し始めた頃は、Zone Alarmというフリーソフトのファイアウォールもよく使われています。 |
2004年2月に登場したW32/Netsky(ネットスカイ)は、感染したパソコン内のメールアドレスを取得し大量にウィルスメールを発信する感染力の強いトロイの木馬型のワームであり、感染したことに気付かせないようにふるまうことも感染力につながっています。
また、W32/Netskyは、最初はNetsky Aで、次々に亜種(Netsky B、Netsky D、Netsky P、Netsky Q、Netsky T等で症状が異なる)が出現し、現在でも最も流行しているウィルスであり、独立行政法人 情報処理推進機構に届出されたウィルス件数でも、2005年、2006年、2007年、2008年上半期と連続してトップという状況です。
このW32/Netskyの登場前の2003年は、W32/Klezがトップ、2004年以降はW32/Netskyに次いでW32/Klez、W32/Mydoom、W32/Bagleが2〜3番手と数多く届出られており、いずれも主な感染経路はメールであり、相変わらずメールの利用は気をつけなければならないことを物語っています。
2004年9月2日に、Windows XP Service Pack 2 (SP2)の提供が開始されました。
Service Pack 2の適用は、パソコンのハードウェアや各種ソフトウェアが対応していないと、これまでできたことができないなどトラブル発生の原因となる可能性があり、企業などでもSP2の適用を少し見合わせたところもありましたが、Windowsセキュリティセンターでファイアウォール・自動更新・ウィルス対策を監視することにより、セキュリティ機能が大幅に強化されています。
またSP2では、Internet Explorerでの広告などホップアップウィンドウやActive Xコントロールの自動インストールをブロックする機能、Outlook Expressでのウィルスの可能性のある添付ファイルのブロックや迷惑メールの受信数を減らすための設定、Windowsファイアウォールのデフォルトでの有効設定など、外部からのパソコンへの不正侵入を防ぐという観点で多くの対策が講じられています。
2006年3月に、ファイル交換ソフトWinnyを使用して情報が流出することについて、マイクロソフトが注意喚起しています。
Winnyを利用しているパソコンが、Antinnyウイルスに感染し、知らないうちにインターネット上に個人のプライバシーに関する情報や内部の重要な情報が流出する被害が発生し社会問題となりました。
Winnyのネットワーク上にAntinnyに感染したファイルが出回っており、知らないうちに感染するリスクが非常に高いこと、一旦流出した情報は回収や削除が不可能で被害が深刻であること、ウイルス対策ソフトを使用していてもAntinnyの検出や駆除ができない可能性があることから、完璧な対策はWinnyを使わないことしかないという状況です。
他に2005年以降の新種のウィルスとしては、2005年3月にW32/Mytob、2006年10月にW32/Strationと、いずれも大量に亜種が発生したことで話題となったワーム型ウィルスが出現しています。しかし、ウィルスの情報処理推進機構への届出件数を見ると、2005年をピークにやや減少しており、ウィルスの手口や脅威として世間を騒がすような新種が最近発生していないことは幸いです。
2007年1月30日に発売されたWindows Vistaではセキュリティ機能が強化され、その内容は後述しますが、VistaのWindowsセキュリティセンターではスパイウェアとその他のマルウェアの対策の監視が加わっています。
スパイウェアは、生い立ちがインターネットの利便性の向上のための情報収集に使われてきたという経緯があって、現在でも悪意のないものが多いのですが、勝手にインターネットを通じて情報を送信するため悪意のあるものはリスクがあります。
2005年7月には、インターネットバンキングの利用者をターゲットとしたスパイウェアが出回り、不正送金の被害事例が報道されています。スパイウェアによって個人情報であるIDやパスワードが流出すると大きな被害を受ける可能性があります。
また金銭目的では、フィッシング詐欺が、2004年11月に国内で最初の被害事例として明らかになっています。フィッシング(Phishing)は、銀行やクレジットカード会社などを装った電子メールを送り、住所、氏名、銀行口座番号、クレジットカード番号などの個人情報を詐取する行為であり、2005年〜2007年まで詐欺サイトが急速に増加しています。
フィッシングは、銀行などのメールを装い、メールに記載されているアドレスをクリックすると本物の銀行のホームページを見せるなど巧妙な手口でユーザーを騙す詐欺であり、ウィルスやスパイウェアなどのセキュリティと詐欺とは別の問題であり、騙されないように気をつけるしかありません。
なおVistaに付属するInternet Explorer 7.0では、フィッシング詐欺検出機能が加わり、フィッシングサイトかどうかリストとチェックしますが、新手口のフィッシングサイトは国内で次々と開設される可能性があるので、やはりオンラインで個人情報を入力するときは十分気をつけるべきでしょう。
国内でも詐欺サイトが出始めた2005年4月に、フィッシング対策協議会が設立され、啓発活動や被害事例、その手口などの情報を提供をしており被害にあわないための参考となるでしょう。
インターネットを通じて外部からパソコンを操ることを目的として作成されたプログラムであるボット(BOT=ロボットの造語)ウィルスと、このボットに感染したパソコンのネットワークによる攻撃がインターネット社会全体の脅威となってきており、国はボット対策プロジェクトとして、2006年12月にサイバークリーンセンターを開設し、2007年2月からユーザへの感染事実の通知など本格運用を始めています。
ボットの感染手法は多種多様であり、感染したパソコンを遠隔操作してパソコン内の情報を盗み出したり、パソコンを乗っ取って迷惑メールの大量配信、特定サイトの攻撃など悪事に利用されてしまうため、ユーザーが加害者とならないように注意が必要です。ボットの検知・駆除など対策もサイバークリーンセンターで説明されています。
こうした最近のパソコンの脅威は単に世間を騒がすだけでなく、直接多額の収入を得ることを目的とした犯罪が加わっており、パソコンのセキュリティの確保がより重要となっています。
このほか、無線LANを使用していると、無線LANへの不正侵入や電波の傍受の問題がありますが、無線通信のセキュリティについては「My Free-style PC」サイト内の「無線LANの設定 Vista編」を参照してください。
2 Vistaのセキュリティ機能の守備範囲
Vistaが発売される少し前に、市販のセキュリティソフトは必要がなくなってしまうほどVistaではセキュリティ機能が大幅に強化されているという風評が流れています。
もし、全くセキュリティソフトが不要であれば、パソコンのランニングコストを大幅に抑えることが可能で画期的なことですが、残念ながらVistaには最新のコンピュータウィルスの検知と駆除ができる機能はありません。
この頃、Microsoftも「Live One Care」という統合セキュリティソフトでこの分野に参入しており、「Live One Care」を使えば他のセキュリティソフトは必要がないのですが、ソフトの使い勝手や販売価格からみて、既存のセキュリティソフトの存在価値を無くしてしまう程のものではありません。
しかし、総合セキュリティソフトを使わなくても、ウィルス対策ソフトのみインストールすればVistaでは、一通りのセキュリティは確保できるように進化しています。
かつて、インターネットに接続するのに必要な時だけダイアルアップ接続していた時代は、セキュリティはウィルス対策が重要でしたが、インターネットに常時接続されている時代となって、ファイアウォールが重視されるようになり、さらにスパイウェアなどマルウェア対策も必要となってきました。
上の図は、FTTH回線を使用しているか、ADSL回線でルータタイプのADSLモデムを使用しているか、無線ブロードバンドルータを使用している場合で、Windows Vistaと市販セキュリティソフトをインストールしている場合に確保されているセキュリティの機能です。
外部からの不正侵入に対しては、まず入り口となるGateway機器(ルータ)がハードウェアファイアウォールの役割を果たし、家庭のネットワーク内のパソコンを保護していますが、もしブリッジタイプのADSLモデムを使用していると、直接パソコンがインターネットに接続されている状態となり非常に危険です。
パソコンのOSや総合セキュリティソフトでは、パソコンがインターネットに直結されている場合も想定してセキュリティ機能を用意しており、まず不正侵入を防止するためにソフトウェアファイアウォールで通信を監視しています。
ルータは、ネットワーク内にサーバーを設置しているとか、外部からリモートでパソコンを使うとか、特定な用途の通信を開放する設定をしていなければ、初期設定では外部からの一方的な不正アクセスの通信パケットを破棄するため、内部からの通信に対する外部からの応答以外はネットワーク内に通しません。
そのため不正アクセス対策としては、ルータのハードウェアファイアウォールにより、パソコンに到達する前にGateway、入り口で防ぐ方が優っており、特に最近では無差別で一方的な不正アクセスが増加しているため、入り口で防ぐルータのメリットが大きく、ルータの使用をお勧めします。
ただし、ネットワークを経由しないで例えばUSBメモリーなどで悪意のあるプログラムやファイルをパソコンに取り込んでしまう可能性や、インターネットから知らないでトロイの木馬タイプのウィルスをダウンロードしてしまう可能性があります。
そして、一旦パソコン内部に入った悪意のあるプログラムが勝手に自動的に外部にアクセスするときは、それはパソコン内部からの発信ですから一般的にはルータでは防ぐことができません。
ソフトウェアファイアウォールでは、基本的には自動的にネットワークに接続しようとしているプログラムがあればブロックしてユーザーに通知し、ユーザーが許可すれば接続する仕組みとなっています。
ルータを使用していても、一旦悪意のあるプログラムを呼び込んでしまった場合の防御措置としてソフトウェアファイアウォールは必要であり、Windows Vistaのセキュリティ機能としてWindowsファイアウォールが用意されています。
Windows Vistaでは、コンピュータウィルス、ワーム、トロイの木馬、スパイウェアなど悪意のある有害なソフトウェアをマルウェアと総称して呼ぶようになっています。
ウィルスと総称した方が通りが良いと思いますが、ウィルスは感染し自己増殖するものというイメージがあり、トロイの木馬はウィルスとは限らないこと、またスパイウェア、アドウェアは、生い立ちがインターネットの利便性の向上やマーケティングのための情報収集に使われてきたという経緯があって、現在でも悪意のないものが多いという状況です。
そのため悪いことをするかどうか、悪意があるかどうかに着目して、ウィルス、ワームに加えて、悪意のあるトロイの木馬や悪意のあるスパイウェアなどのプログラムを含めて、マルウェアと総称した方が解り易いということでしょう。そしてVistaでは、悪意のあるスパイウェアなどのプログラムへの対策としてWindows Defenderが用意されています。
こうしたセキュリティ機能の状態を監視し、一元管理するためにWindowsセキュリティセンターがあり、右の画面がVistaのWindowsセキュリティセンターを表示した画面です。
このパソコンでは、総合セキュリティソフトをインストールしています。
そのため「ファイアウォール」、「自動更新」、「マルウェア対策」、「他のセキュリティ設定」の4項目とも、グリーン色で表示され、一目でパソコンが安全な状態にあることが確認できます。
右の画面は、総合セキュリティソフトをインストールしていない状態の画面です。
そのため、マルウェア対策がイエロー色の表示となっています。
このように安全でない項目は、信号機の色のように一目でわかるため、まず「セキュリティセンター」を確認することがスタートとなります。
詳しく見ると、マルウェア対策のうちウィルス対策のソフトウェアが検出されませんと表示されています。
また、スパイウェアとその他のマルウェア対策は、Windows Defenderが有効となっていて保護していることが確認できます。
総合セキュリティソフトをインストールしてなくても、スパイウェア対策は Windows Defenderで保護されている、また同じようにファイアウォールは Windowsファイアウォールが有効になっていて保護されている、Vistaでカバーできていないのはウィルス対策のみということが解ります。
Vistaでは、Windowsのセキュリティの脆弱性を修正する自動更新も含めて、ウィルス対策以外のセキュリティ機能は全てサポートされていることで安全性が高くなり、さらにUAC(ユーザーアカウント制御)が初期設定で有効化されており、例え悪意のあるプログラムが侵入しても、システムの重要な設定変更や悪意のあるアプリケーションは勝手にインストールできなくなっています。
なお、総合セキュリティソフトをインストールすると、総合セキュリティソフトのファイアウォールやスパイ対策が有効になるようですが、Vistaの Windowsファイアウォールと Windows Defenderをそれぞれ有効にしてVistaのセキュリティ機能を選択して使うことも可能です。
Vistaのセキュリティ機能の設定については「My Free-style PC」サイト内の「セキュリティ設定 Vista編」で詳しく説明していますので参照してください。
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3 セキュリティ確保のために留意すること
セキュリティ対策については前述しましたが、ここでは確認しやすいようにリストにして対応策を整理しています。なお、このリストではWindows XP SP2またはVistaを使用していることを前提としています。
確認が必要な項目 | 確認方法など対応策 |
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1 セキュリティの状態の確認 | Windowsセキュリティセンターで状態を確認する XPの場合、スタート→コントロールパネル→セキュリティと順にクリックしてセキュリティセンターを表示 Vistaの場合、Start→コントロールパネル→セキュリティ状態の確認と順にクリックしてセキュリティセンターを表示 セキュリティーセンターで黄色または赤色で表示されている項目は対策が必要です |
2 ファイアウォールの確認 | ブリッジタイプのADSLモデムでインターネットに常時接続している場合は、外部からの一方的な不正アクセスに対して、ルータを使用しないと危険です→是非購入してください MS Blasterなどのウィルスや不正アクセスで注意が必要なポートは、TCP135、UDP135、 TCP139 、TCP445 、TCP593、TCP1000、TCP1433番ポートなどです ルータを使用していれば、外部からの一方的なアクセスは、初期設定でポートを問わず遮断されているため、より安全です 総合セキュリティソフトを使用していれば、Windowsファイアウォールではなく、セキュリティソフトのファイアウォールが使われていることが普通です→そのままセキュリティソフトのファイアウォールを使用した方が良いでしょう |
3 Windows Updateの実行 | 基本的には自動更新で、セキュリティの修正プログラムを遅滞なく適用してください パソコンをしばらく使用していないなど、修正プログラムの適用が遅れている場合は、パソコン起動後に、すぐに手動で更新してください |
4 ウィルス対策ソフトの確認 | 新しいウィルスが次々と発生するため、ウィルス定義ファイルは常に最新のものに更新しておく必要があります →ウィルス定義ファイルの自動更新機能を利用してください なお、月に一度ぐらいは手動でウィルス定義ファイルを確認して更新すると良いでしょう |
5 スパイウェア対策ソフトの確認 | スパイウェアも常に定義ファイルを最新のものに更新しておく必要があります →定義ファイルの自動更新機能を利用してください Vistaの場合でも、総合セキュリティソフトを使用していれば、WindowsDefenderではなく、セキュリティソフトのスパイウェア対策機能が使われていることが普通です→そのままセキュリティソフトのスパイウェア対策を使用した方が良いでしょう |
6 メール利用の際の注意 | ウィルスの届出件数は、Netskyなどメール感染型のウィルスが98%以上を占めていて、凶悪なウィルスも含めてメールはウィルスの最大の感染源となっています またフィッシング詐欺も、偽装メールに騙されることがきっかけとなっています 受信したメールで最も気をつけなければならないことは添付ファイルです →知らない相手からのメールの添付ファイルは開かない →知っている相手のメールでも、本文に添付ファイルがある旨の記載がなければ確認する なお、ウィルス対策ソフトは、リアルタイム監視で、メールの添付ファイルのウィルスチェックをしているソフトが多くなっています メールを多用するのであれば、プロバイダ等のメールサービスでウィルスチェック・駆除サービスを利用すると良いでしょう 最近はメールのウィルスチェックが無料のプロバイダも多くなっています |
7 Webページの閲覧時の注意 | 不審なファイルをダウンロードして、トロイの木馬、ボット、スパイウェアを自分で呼び込んでしまうことがあります →XPではIEのセキュリティ設定は標準の「中」以上、プライバシー設定は標準の「中高」以上、VistaではIEのセキュリティ設定は標準の「中高」以上、プライバシー設定は標準の「中」以上の設定で使ってください →不審なポップアップ画面が表示されたら「×」ボタンを押して閉じてください →ダウンロードしたファイルが不審なファイルであれば、すぐにスパイウェアとウィルスチェックをかけてください(ファイルの拡張子がexeや見かけない拡張子の実行ファイルは危険です) →Vistaの場合、IEのフィッシング詐欺検出機能を有効にしてください 不審なサイトのリンクをクリックして、不当請求される被害(ワンクリック詐欺)も多くなっています →ワンクリック詐欺は、たとえ相手にIPアドレスが解っても、メールアドレスなど個人情報を入力していなければ放っておいても構いません メールで返信したり、連絡先を教えたりして、きっかけが得られることを相手は期待していますので絶対に返信してはいけません 心配であれば、次の警察庁のサイトを参考としてください http://www.cyberpolice.go.jp/case/pc/index.html |
ルータを経由してインターネットに接続されているパソコンで、OSがWindows Vistaで、総合セキュリティソフトを使用していれば、パソコンのセキュリティは全て標準の初期設定で基本的には確保されており、そんなに心配する必要はありません。
ただし普段の使い方は気をつけなければならない問題があり、例えばWinnyを使えば自分でウィルスをダウンロードしてしまい、知らないうちに感染してしまうおそれがあります。
Winnyによる情報流出の被害は深刻であり、現状では使うことを避けるべきですが、そのほかにも悪意のあるプログラムをダウンロードしたり、不用意にIDやパスワードを入力したり、スパムメールに返信したり、人為的な不注意によって生じるトラブルはパソコン側では全て防ぐことはできません。
特に最近は金銭目的の詐欺が多いので、これはパソコンを使ってオンラインでという手段に関わらないことですが、入金や送金を伴うようなときは騙されていないか注意してください。
このファイルではVistaのセキュリティ機能を前提に説明していますが、セキュリティ機能の確認方法や設定方法については詳しく説明していないので、「My
Free-style PC」サイト内の「セキュリティ設定 Vista編」を参照してください。