屋内配線の接続と基本的なノイズ対策
1-1 ADSLモデムの設置場所
1-2 モジュラーケーブル長を短く
1-3 有線LANケーブルの選択
1-4 ノイズ対策グッズ
1-5 ブロードバンドルータの使用
1-6 無線LAN機器の使用
1-7 ADSL通信に障害となる問題
パソコンの設定関係の基礎知識
1-8 LANカードの設定
1-9 Windowsのネットワークの設定
1-10 MTU・RWINの設定調整
セキュリティ関係の基礎知識
1-11 ルータの使用と設定
1-12 ファイアウォール(セキュリティソフト)の導入
1-13 ウィルス対策ソフト
1-14 プラウザ(IE)の設定
1-15 Windowsのアップデート
1-16 無線LANのセキュリティ
2 速度適正化のための基礎知識
回線距離の測定、速度の確認方法
2-1 距離、伝送損失の測定
2-2 実効速度の測定
2-3 リンク速度の測定
超簡単速度アップ対策
2-4 モデムの電源の入れ直し
2-5 インターネット高速化ソフトの導入
距離の割にリンク速度が遅い場合の要因と対策
2-6 屋内ノイズの影響と対策
2-7 通信回線上の障害の確認と対策
2-8 ブリッジタップの有無と影響
2-9 ISDN干渉の影響の程度の確認
2-10 bitmapの見方と原因の推定
2-11 NTTの回線調査の依頼
リンク速度に対して実効速度が遅い場合の要因と対策
2-12 MTU・RWINの調整方法
2-13 常駐ソフトによる障害と対策
2-14 LAN接続上の問題と対策
2-15 パソコン、LANカードなどハードの問題
2-16 無線から有線接続への変更
接続不可または速度が異常に遅いときの想定される原因
2-17 トラブル原因の推定
2-18 ドアホンを利用している場合の対策
2-19 ガスの自動検針による障害と対策
2-20 スカパーを視聴している場合の対策
2-21 ACR、LCRを利用している場合の対策
2-22 屋外での要因と対策
1 インターネット接続設定の基礎知識
屋内配線の接続と基本的なノイズ対策
1-1 ADSLモデムの設置場所
ノイズ対策といっても、保安器からNTT収容局までの屋外回線で拾うノイズについては、自分では対処できません。
屋内ノイズ対策としては、まずADSLモデムの端子周りで拾うノイズを抑えるため、モデムの設置場所に気をつけることです。
基本的には、室内のテレビ、ラジオ、エアコンや台所の冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器などインバータ系ノイズを発生する家電製品からモデムを遠ざけることと、モデムへのモジュラーケーブルの配線はノイズを発生する家電製品の周りを這わせないことです。
なおパソコン本体の近くにADSLモデムを置くことも避けた方が良いのです。
また、AMラジオ波などの電波干渉が多いと想定されるときは、モデムの電源は、ノイズタップ付きのコンセントから取り、モデムの電源コードにフェライトコアを取付けるという対策も効果がある場合があります。
なお、ノイズを遮断するためとしても、アルミなどでモデムを覆うことは放熱に支障があり、むしろ風通しの良いところに置くべきでしょう。
どうしてもモデムの置く適当な場所がなくて、ノイズが酷い環境下にあれば、アルミホイルを下に敷くとか、ELECOM製など市販のモデムを覆うノイズウォールシートを使うという方法もあるようですが、リンク切れには役に立つとしても、速度的には期待しても、おそらく大きな効果はないでしょう。
http://www2.elecom.co.jp/network/adsl-noise/index.asp
1-2 モジュラーケーブル長を短く
壁のモジュラージャックからスプリッタまで、スプリッタからADSLモデムまでのモジュラーケーブルは、いずれも短いに越したことはありません。
屋外回線の距離に比べれば室内の配線の長さはほんのわずかなことで、気にしすぎても切りが無いのすが、環境によっては屋内でもノイズ発生源があり、またモジュラーケーブルがアンテナのようにノイズを拾うこともあるため可能な限り短い方が良いでしょう。
またモジュラーケーブルは、ノイズに強いツイストペアケーブルが市販されており、モデムを適切な場所に設置するためにケーブルを長くせざるを得ない場合は、このツイストペアケーブルを使うと良いでしょう。また最近は、ツイストペアケーブルにノイズシールドで被膜したものも販売されてます。
1-3 有線LANケーブルの選択
LANケーブルは、通常カテゴリー5、100BASE-TX対応以上のUDPケーブルを使います。もともとLANケーブルはモジュラーケーブルよりノイズに強く、ケーブルが長くてもそれ程ノイズのことは気にしなくても良いと思います。
しかし、ノイズが極めて多い環境で影響が大きいようであれば、シールドタイプのSTPという種類のものを使うという方法もあります。このSTPは、ケーブル本体よりコネクタ部のガードがしっかりしているように思います。
まれにLANケーブルのコネクタ部の接触不良ということもありますので、既存のケーブルを使うときは、装着を確認してみてください。
なおLANケーブルは、モジュラーケーブルより太く、ドアを通して別室に配線するときは不便です。そういう場合は、無線LANが便利ですが、LANケーブルにはフラットタイプのものもあります。しかしフラットタイプのケーブルはノイズには強くないので、ノイズが多い環境では使わない方が無難です。
1-4 ノイズ対策グッズ
ノイズ対策グッズとしては、ツイストペアケーブル、ケーブルに装着するフェライトコアの他に、ノイズフィルターを挟むこともよく行われます。
ノイズフィルターとして最も使われているのが、NTT−AT製のDMJ6シリーズで、DMJ6-2LはAMラジオ波ノイズ用、DMJ6-2Hは無線短波ノイズ用、DMJ6-100Kは電気製品発生ノイズ用とノイズの種類によって使い分けることになります。
http://www.coteau-vert.co.jp/products/NTT-AT/DMJ/index.html
他には、ミヨシ、ELPA、サンワサプライ、ELECOMなどからも汎用ノイズフィルターが発売されてますが、価格が高いので敬遠されがちということと、あまり評判が良くないようです。
ノイズフィルターを付けても、余程ノイズが酷い環境でなければ、接続は安定しても速度面ではせいぜい200Kbps程度の改善と大幅にアップしないことが多いので期待しすぎるとガッカリすることが多いのです。要は環境次第です。(参考 2-6参照)
1-5 ブロードバンドルータの使用
基本的には、2台以上のパソコンでインターネットに同時にアクセスするためには、ルータが必要です。ADSLなど広帯域の高速アクセス環境で利用できるものをブロードバンドルータと謳ってますが、ADSLの通信速度は下り最大12Mbpsであり、最近の製品であれば、ルータの実効スループット値はそれ以上のもので、ボトルネックとならないものがほとんどです。
しかし古いルータを使う場合は、メーカーのホームページで実効スループット値を確認し、現実のADSLの接続速度以上かどうか確かめてください。
なおアッカ12Mやイー・アクセスのADSLプラスの場合は、ルータタイプのADSLモデムを採用しており、この場合は別途ブロードバンドルータを購入する必要が無いのです。
またパソコンを1台しか使わない場合でも、ADSLでは通常モデムの電源は入れたままで、パソコンの電源を入れれば常時インターネットと接続されているため、セキュリティーの観点からルータの使用をお勧めします。
ADSLモデムとパソコンの間にルータを挟めば、基本的にはLAN内部からの応答以外には、外部からのアクセスは通さないためセキュリティーレベルが高くなるのです。もちろんルータを使っていても、トロイの木馬タイプのウィルスを呼び込んでしまうと、トロイの木馬の活動による内部から外部へのアクセスが防げないという危険性があります。
ルータには、ポートフィルタリングやIPアドレスフィルタリングなどのファイアーウォール機能があり、心配であれば、トロイの木馬の御用達ポートを閉じておくことや特定先からの通信を遮断しておくよう設定できるようになってます。しかし設定が煩わしくて、ルータは基本設定のまま使い、セキュリティーソフトを併用し通信を監視するという使い方をしているユーザーも多いと思います。
どちらかと言えば、ルータとセキュリティーソフトと比べれば、ルータの方が一般的には不正アクセスをパソコンに呼び込まないで手前で遮断しているため、それに越したことは無いのです。また、ルータは基本設定でも通信機器として一通りセキュリティー面でも配慮されているし、とにかく外部からはアクセスできないということ自体、強力なファイアーウォール機能です。
(参考 1-11参照)
1-6 無線LAN機器の使用
1階にモジュラージャックがあり、メインのパソコンは1階で使うけれども、2階のパソコンでもインターネットを使いたいというような場合は、有線ではLANケーブルの取り回しが難しいので、無線LANを使うと便利です。
無線LANで接続するためには、当然無線LAN機器が必要ですが、無線LANサービスを提供しているADSL事業者もあります。
Yahoo!BBの12Mトリオモデム、26Mモデム、45Mモデムでは、モデムに無線LAN機能があり、パソコン側の無線機器を用意して、無線LANパック(有料月額990円プラス)を申込めば利用できます。なお12Mトリオモデムと26MモデムはIEEE802.11b規格、45MモデムはIEEE802.11g規格となります。
アッカの提供モデム、イー・アクセスの指定モデム、NTT東西の販売モデムでは、下の表のADSLモデムが無線LANに対応しています。
<無線LAN対応ADSLモデム>
対応サービス | モデムメーカー | 無線LAN対応モデム | |
アッカ | 50M超サービス | 富士通アクセス製 | FA11-W5 |
NECアクセステクニカ製 | AtermWD-735GV | ||
40Mサービス | 富士通アクセス製 | FA11-W4 | |
NECアクセステクニカ製 | AtermWD-624GV | ||
NECアクセステクニカ製 | AtermWD-634GV | ||
26Mサービス 12Mサービス |
富士通アクセス製 | FA11-W3 | |
NECアクセステクニカ製 | AtermWD-622GV | ||
NECアクセステクニカ製 | AtermWD-632GV | ||
イー・アクセス | 50Mサービス | NECアクセステクニカ製 | Aterm WD701CV |
ADSLプラスQ 〜1Mサービス |
NECアクセステクニカ製 | Aterm WD605CV Aterm WD606CV |
|
NTT東日本 | 全フレッツADSL | NTT東日本販売モデム | Web Caster FT6400M |
NTT東日本販売モデム | Web Caster 3100NVワイヤレスセット | ||
モアU(40M)まで | NTT東日本販売モデム | Web Caster FT6300M | |
NTT東日本販売モデム | Web Caster 3000MVワイヤレスセット | ||
モアU(24M)まで | NTT東日本販売モデム | Web Caster FT6200M | |
NTT西日本 |
モアスペシャル | NTT西日本販売モデム | Web Caster FT6400M |
NTT西日本販売モデム | Web Caster 3100SVワイヤレスセット | ||
モア24まで | NTT西日本販売モデム | Web Caster FT6200M |
アッカとイー・アクセスは、どちらも提携プロバイダで無線LANサービスメニュー(有料)が利用できるかどうか確認が必要です。
各社ともADSLモデムは基本的にはレンタルですが、無線LANを少し試してみるのであればともかく2年ぐらい使うのであれば、無線LAN対応ADSLモデムを選ばなくても無線LAN機器を別に購入してもコスト的には変わらないと思います。
無線LANの規格は、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11gという規格があり、最近は新たに発売される製品はIEEE802.11g規格対応の製品が主流であり、802.11bより高速通信が可能な802.11g規格の製品がお勧めです。
802.11b規格の機器でも規格上の最大転送速度は11Mbpsですが、実効速度は、その半分の5.5MBPS、さらに金属やコンクリート壁があるなど環境が悪いともっと速度が遅くなります。なおIEEE802.11g規格の規格上の最大転送速度は54Mbpsですが、実効速度はこちらも半分ぐらいのものです。
ADSL12Mサービスでは、現実の接続速度が速くても9Mbps台、5Mbpsに届かないユーザーが多いため、ADSLモデムのリンク速度が5Mbps以下であれば、802.11b規格で無線で接続しても支障が無いのですが、20MbpsオーバーのADSLサービスでリンク速度が5Mbpsを超えている場合はボトルネックとなる可能性があります。
新たに無線LAN機器を購入するのであれば、一般的には802.11g規格の製品を購入すれば良いのですが、それでもADSL47M・50Mサービスでリンク速度が30Mbps台であれば有線と比べて無線で接続すると遅くなることがあります。そのため2004年に入って、FTTHや高速ADSLをカバーするため、802.11a規格や802.11g規格でも「SuperA/G」や「SuperG」対応の高速モデルが登場しています。
ADSLの実効速度で整理すると、
5Mbps以下は、IEEE802.11b規格の製品で対応可能
5Mbps〜20Mbpsは、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格の製品で対応可能
20Mbps以上は、IEEE802.11aや802.11g規格の製品でも「SuperA/G」、「SuperG」を選択
が目安です。
同規格間の機器同士では、通常は相互通信が可能ですが、同メーカーのサポート機器どうしで使わないと機器固有の機能が利用できないことがあります。つまり原則として無線アクセスポイントと無線LANUSBアダプタ又は無線LANカードとは相互にサポートされているものを選ぶことが安全で賢明です。
最近は、ブロードバンドルータに無線LAN機能付きの製品が各社から発売されています。この無線ブロードバンドルータと無線LANカードとのセットモデルは、各社とも売れ筋商品となっています。しかしADSLモデムがルータタイプの場合や既に別途ルータを持っていれば、無線LANアクセスポイントと無線LANカード又は無線LANUSBアダプタを使っても良いのです。
詳しくは「無線LAN利用ガイド」というファイルで説明しています。
1-7 ADSL通信に障害となる問題
ADSL接続サービスは、一般の電話回線(メタル回線)を使っており、電話回線を使用する他のサービスがあると障害となる場合があります。
また複数のモジュラージャックがある場合は、トラブルが発生することもあります。
トラブル事例としては、ガスの自動検針、ドアホン、ホームセキュリティー、スカパーなどの電話回線を使用するサービスを利用している場合と、電話機にACRまたはLCRという電話会社選択アダプタがあり利用している場合のADSL通信障害とがあります。
ガスの自動検針など電話回線を使用するサービスによるトラブルは、一般にリンク不可、つまり接続できないことが多いのですが、NTT収容局に近いなど環境が良いと、何とかリンクしても速度が異常に遅いという状態になることがあります。
基本的には、その対策として、スプリッタで分岐後の通話回線側から電話機と付帯サービスとに分岐させることが原則です。Yahooのトリオモデムの場合は、モジュラージャックからモデムにモジュラーケーブルで直結し、モデムのPHONE端子以後に、ドアホンアダプタを接続します。
ACRやLCRという電話会社選択アダプタを使用していると、電話で通話中しかADSLが繋がらないという症状になることが多いようです。対策は、電話機のACRやLCRの機能を切り、電話会社に連絡してサービスの利用を止めることです。
詳しくは、後述の「2-18〜2-22」までの個別の対策の説明を参考としてください。
パソコンの設定関係の基礎知識
1-8 LANカードの設定
LANコネクタのある既存のパソコンを使う場合は、既にLANカードのデバイスドライバがインストールされていると思いますが、ADSLの導入の際にLANカードを購入し取付ける場合は、通常カードに付属の専用ドライバをインストールしないと正常に動作しません。
デバイスドライバのインストール手順は、Windowsに自動認識させる方法とドライバのある場所を指定してインストールする方法とがありますが、LANカードのデバイスドライバの場合は別途CD−ROMやフロッピーディスクに入っている専用ドライバを使うことが基本です。
LANカードを装着してパソコンの電源を入れると、新しいハードウェアをWindowsが自動認識しますが、自動認識で最適なドライバがインストールされない場合があります。
この場合、一旦デバイスマネージャのネットワークアダプタのLANカードに該当するものを削除し、パソコンを再起動して、ドライバのある場所を指定してインストールし直す必要があります。LANカードのマニュアルがあれば、そのドライバのインストール手順に従ってください。
なおADSLモデムとLANカードは、相性問題のトラブルがある場合があり、LANカードを購入する前に、フレッツの場合はサポートページで確認しておく、Yahooの場合は推奨商品を購入するなど各社のホームページを見て調べておくことが大切です。
場合によっては既存のパソコンでも、パソコンに組み込まれているLANアダプタ(LANカード)とADSLモデムとの相性による不具合がある場合もあり、ADSL各社のサポートページにトラブル関係の記述がないか確認して、問題があればLANカードの取替えにより対処する必要があります。
LANカードのトラブル対策について詳しくは、後述の「2-14
LAN接続上の問題と対策」を参照してください。
1-9 Windowsのネットワークの設定
Windows98、Meでは、コントロールパネルでネットワークを選択すると、ネットワークの設定タブがあり、中にTCP/IP(LANカード名)という項目があります。
もしWindows98またはMeで、TCP/IPが組み込まれてない場合は、追加(A)をクリックして、プロトコルを選択し追加をクリック、MicrosoftのTCP/IPを選択してOKをクリックすれば追加できます。
このTCP/IP(LANカード名)をクリック選択しプロパティーを開き、IPアドレス、DNS設定、ゲートウェイの項目について、回線業者またはプロバイダの指定どおりに設定します。
またWindowsXPでは、コントロールパネルの「ネットワークとインターネット接続」→「ネットワーク接続」を順にクリックし、「ローカルエリア接続」を右クリックし「プロパティ」をクリック、ローカルエリア接続のプロパティが開いたら、中段の「インターネットプロトコル(TCP/IP)」をクリック選択しプロパティーを開き、IPアドレス、DNS設定、ゲートウェイの項目について指定します。
Yahooの場合は、IPアドレスは自動取得にチェック、DNS設定はDNSを使わないにチェック、ゲートウェイは空欄のままで良く、通常は何も操作する必要がなく、念のため確認してみるぐらいで簡単です。
しかしYahooの場合、インターネットに接続できていても特定のページが表示できないという問題がたまにあるようです。この場合の対策は、ドメインネームサーバ「DNS」設定を、「DNSを使う」にチェックし手動で設定することです。最近のYahoo!BBのサポートページでは、東日本エリアでは、「218.176.253.65」、西日本エリアでは、「218.176.253.97」をDNSサーバアドレスとして指定するよう説明があります。
具体的には、Windows98、Meでは、TCP/IPのプロパティーで、「DNS設定」タブをクリックし、「DNSを使う」にチェックし、ホスト欄に、「ybb」と入力(適当な名前でも良い)し、「DNSサーバーの検索順の欄に、「218.176.253.97」(西日本エリア)をタイプし、「OK」→「OK」と順にクリックし、再起動すれば完了です。
WindowsXPでは、インターネットプロトコル(TCP/IP)のプロパティーの「全般」の下のほう「詳細設定」ボタンをクリック、「DNS」タブをクリック、DNSサーバアドレス(使用順)の欄の「追加」ボタンをクリックすると入力画面が開くので、「218.176.253.97」をタイプし、「追加」→「OK」→「OK」→「閉じる」と順にクリックし、再起動すれば完了です。
1-10 MTU・RWINの設定調整
Windowsのバージョンによって、MTUとRWINの設定値が異なります。
WindowsXPの場合は、ADSLを使う場合でも初期設定のまま何もしなくても問題ないのですが、Windows98では広帯域通信を利用する上でRWINの値が小さすぎ、WindowsMeでも調整することにより早くなる場合があります。
MTUを大きくすると、パケット(ネットワーク上を流れるひとかたまりのデータ)サイズが大きくなりパケット数が少なくります。そのためヘッダ(宛名)部分のデータ量が少なくなり、結果として中身のデータを多く送れるため転送速度が速くなります。
また、TCPの受信ウィンドウサイズであるRWINを大きくすると、ACK(データ送受信時の確認を示す信号)を待たずに転送できるデータ量が増え、送信側で待ち時間が減るため、環境によっては転送速度が速くなります。
このMTU、RWINを調整する場合、まず気をつけなければならないこととして、Windowsのレジストリを変更するため、元に戻す方法を知ってなければならないということです。
調整の方法としては、レジストリエディタを起動してレジストリーを直接書き換えることができれば、後々設定トラブルを解決するために役立つのですが、フリーソフトを使うのが安全で一般的です。
<MTU、RWINの現在の設定値の確認ページ>
SpeedGuidenet 画面左側の下から2番目「TCP/IP
Analyzer」をクリック
BroadLand 画面中央下の方「MTU/RWIN
checker」をクリックし「計測開始」をクリック
<MTU、RWINの調整フリーソフトのダウンロードページ>
「窓の手」、「NetTune」
<Windows98のレジストリを直接書き換える方法>
(レジストリ操作は危険です。経験のある人のみ自己責任で行ってください)
「ファイル名を指定して実行」で「regedit」と入力し、レジストリエディタを起動
「HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services」とたどり、(+をクリック)
その後MTUは、「\Class\NetTrans\0000」のMax
MTUを選択し値を変更
RWINは、「\VxD\MSTCP」のDefaultRcvWindowを選択し値を変更
すればよいのです。
値の変更方法は、「編集」-「変更」をクリックして開くダイアログボックスで
数値を入力し、「OK」をクリックし、レジストリエディタを終了します。
その後、パソコンを再起動すると設定が反映されます。
なお、Max
MTUの項目がない場合は、「\Class\NetTrans\0000」の後、
右側の欄の空白のところで右クリックし、「新規」-「文字列」と選択し、表示された枠内に
半角でMaxMTUと入力し作成します。後は同じです。
具体的な「窓の手」を使用した調整方法は、「2-12
MTU、RWINの調整方法」を参照してください。
セキュリティ関係の基礎知識
1-11 ルータの使用と設定
ルータには、LAN内部の複数のパソコンでインターネットに接続できるように、一つのグローバルIPアドレス(インターネット上の住所)を複数のプライベートIPアドレスに変換するNAT/IPマスカレード機能が備わっており、この仕組みにより、外部(インターネット側)からLAN内部のパソコンのIPアドレスが特定できず、パソコンが見えないように隠してしまうのです。
例えて言えば、住所はあっても高い塀に囲まれており、家も何人住んでいるかも外からは見えずインターホンすらないというようなものです。中には塀をよじ登る人も、家人が帰る時に一緒に着いてきてしまう人もいるかもしれませんが、セキュリティーの強固なマンションより、さらに郵便受けも表札もインターホンもなく安全という感じです。メールは郵便局の私書箱に取りに行くようなもので自分のパソコンに到着するのではないのです。
つまりADSLモデムとパソコンの間にルータを挟めば、基本的にはLAN内部からの応答以外には、外部からのアクセスは通さないため、セキュリティレベルが高くなるのです。また最近のルータは、常時接続によるセキュリティーへの関心が高くなってっていることに対応して、ファイアウォール機能が強化されてきています。
このルータのファイアウォール機能としては、一般的にはパケットフィルタリング(ポートフィルタリング、IPアドレスフィルタリング)という通信遮断機能があり、最近発売されているブロードバンドルータは、さらに強固なファイアウォールとして、DoS攻撃やポートスキャンを検知し防御する機能や通信に必要なアプリケーションのポートだけを開き、通信を終了すると全てのポートを閉じるステートフル・パケット・インスペクション方式を実装しているものが多くなっています。
こうしたルータのファイアウォール機能は初期設定で十分な場合も多く、ホームユースとしてはルータは基本設定のまま使うことが便利と思いますが、少し前のルータを使われている場合など気になる方は、一般的に気をつけたほうが良いと言われているポートのフィルタリングを確認されてはと思います。
ポートのフィルタリングは、137番、138番、139番ポートに対するアクセスをLAN(内部)、外部(WAN)ともに遮断する。0〜1023番ポートに対するWAN(外部)からのアクセスは遮断するように設定しておくことが基本です。
なお、Symantic
Security Checkを試してみて問題がなければ、パソコンは一応安全な状態にあります。パケットフィルタリングの方法などインターネットで検索すれば参考となるサイトはたくさんありますので、慌てないでゆっくり勉強してみてください。セキュリティに万全はないのです。
またネットワークの仕組みなど基礎用語が解ってないと、セキュリティのことは理解し難いので、手元に書籍をおいてしっかり読んでみてはと思います。(セキュリティ・ウイルス対策関連書)セキュリティに万全はないのです。
1-12 ファイアウォールの導入
市販されているセキュリティソフトとしては、ノートンインターネットセキュリティ(NIS)が多く利用されていますが、価格の安いMcAfee.comパーソナルファイアウォールや無料フリーソフトのZoneAlarmもあります。
特にZoneAlarmは、日本語化パッチも提供されており、パソコン雑誌で紹介されていて付録CD−ROMに収録されていたり、インターネットからダウンロードできるなど、すぐに入手できるため、とりあえず無料のものを使うという人も多いのではと思います。
無料のZoneAlarmを使っていて、不審なアクセスが多くて気になる場合や、新しくウィルスソフトを導入するときは、「ノートン・アンチウィルス
」と「ノートン・パーソナルファイアウォール」がセットになっているノートンインターネットセキュリティーを購入してもと思いますが、既にウィルスソフトが入っている既存のパソコンであれば、ZoneAlarmをインストールすれば十分と思います。
ZoneAlarm http://ryulife.com/net/za/
セキュリティに万全はないのですが、特にルータを使っている場合は、パソコン側で神経質になり過ぎても、かえって使いにくいのではと思います。
なお、ノートンインターネットセキュリティ2002つまりノートン・パーソナルファイアウォールについては、ADSLの接続速度が大幅に落ちてしまうという障害がでることが知られており、対策としては、メーカーのsymantecのホームページに、ver.
4.0.2へとアップデートすると修正されると書かれています。
また、ノートンインターネットセキュリティを使っているとホームページを表示したときにカウンタの数値が表示されないというトラブルがあり、気になればSymantecのサポートページで対策を確認してください。
2004年秋に、WindowsXPはSP2(ServicePack2)が適用され、Windowsファイアウォールを有効にして使うことが前提となりました。
他のファイアウォールを使ってなければWindowsファイアウォールを有効にしておくと良いのですが、最近は単体のウィルスソフトではなく総合セキュリティソフトを利用していることが多く、ZoneAlarmやセキュリティソフトのファイアウォールと重複する場合は、Windowsファイアウォールを無効にしておくと良いでしょう。詳しくは、「WindowsXP SP2適用の問題」を参照してください。
1-13 ウィルス対策ソフト
既にパソコンに、TRENDMICROのウィルスバスター、ノートン・アンチウィルス、McAfee.comウィルススキャンなどのアンチウィルスソフトがインストールされていれば、そのまま使えばよいのです。
しかし、古いウィルス定義のまま放置しないで、アップデートしておくことが大切です。とにかくADSLの常時接続環境ですから、インターネットからアップデートするのが簡単で、通信速度にもよりますが、速くアップデートが完了するので煩わしくないのです。
アップデートができる期限が来てしまっっていれば、コストはかかりますが新しいバージョンのものを購入する方が安全です。ホームページの閲覧が主用途でファイルのやりとりが少なければウィルスに感染するリスクは低いとは思いますが、やはり流行っている新種のウィルスが発見,、駆除できないようではアンチウィルスの意味があまりないので、ウィルス定義は新しいに越したことはないのです。
なお、古いバージョンのウィルスバスター2001は既にサポート終了で、もう使っている人はいないでしょうが、この2001については、ADSLの接続速度が大幅に落ちてしまうという障害がでるため対策が必要でした。通信関連の常駐ソフトは思わぬところでトラブルとなるものです。
ウィルス対策ソフトは、ウィルス定義のアップデート可能期間が過ぎたときには更新が必要であり、思いのほかランニングコストがかかるものですが、安く済まそうと思えばソースネクストの「ウィルスセキュリティ2005」が安いでしょう。
なお最近のウィルス被害の状況は、独立行政法人
情報処理推進機構(IPA)の情報セキュリティ対策のウィルス・不正アクセス届出状況で確認できます。
1-14 プラウザ(IE)の設定
Internet
Explorerの「ツール」-「インターネットオプション」に「セキュリティ」タブがあり、プラウザでアクセスできるサイトを制限することができます。
設定方法は、この上部の枠の「インターネット」を選択して、左側のつまみで「高」、「中」、「中低」、「低」のどれかを選ぶのですが、一般的には既定の「中」のまま使うことが多いのではと思います。
また「レベルのカスタマイズ」をクリックして、ActiveXコントロール、Cookieの使用許可、Javaアプレットのスクリプトなど「中」のレベルでは「有効にする」設定となっているものを「ダイアログを表示する」または「無効にする」ように変更し、セキュリティーレベルを高めることも可能です。
しかし、Cookieを使用許可としてログインしないと利用できないサイト、またJavaアプレットのスクリプトを無効にすると支障があるサイトも多く、これらの設定は有効にして使うことが一般的です。
逆に一時的にセキュリティを緩めたいということもありますが、「スクリプトを実行しても安全だとマークされていないActiveXコントロールの初期化と実効」と「未署名のAcutivXコントロールのダウンロード」の項目を「有効にする」設定にし、使用することは危険すぎます。
1-15 Windowsのアップデート
WindowsやInternet
Explorerのセキュリティ面での脆弱性が見つかると、マイクロソフトから修正プログラムが提供されます。
ADSLは常時接続でダウンロード速度も速いので、WindowsXPであれば、自動的にLiveUpdateを実効するようにしておくと便利です。Windows98、Meなども定期的にマイクロソフトのダウンロードページを確認し、セキュリティ関係の問題の修正プログラムがあればアップデートすることをお勧めします。
マイクロソフトのセキュリティHome http://www.microsoft.com/japan/security/
2004年秋に、WindowsXPはSP2(ServicePack2)が適用され、Windowsセキュリティセンターでセキュリティに関する情報を一元管理し、監視するようになりました。
このセキュリティセンターは、コントロールパネルをクリックし、表示される画面の右下に入口があり、クリックすると表示されます。
セキュリティセンターの監視項目の中の「自動更新」は標準では「有効」になっていますが、2004年秋以降のパソコンであれば、このWindowsの自動更新を「有効」にしたまま使用すれば問題無いでしょう。
少し古いパソコンで、SP2を適用した場合トラブルとなることもあり、詳しくは、「WindowsXP SP2適用の問題」を参照してください。
1-16 無線LANのセキュリティ
無線LANを使う上でのセキュリティの問題としては、特定のパソコンしか無線通信ができないように設定することと、通信データを暗号化することにより、電波の傍受や無線LANへの他人の侵入を防ぐことです。
無線LAN機器の主なセキュリティ機能は、ESS−ID、WEP、MACアドレスフィルタリング、パスワードなどの設定であり、最近は普及機でも、さらに強固なWPAに対応している機器も増えています。
ESS−IDは、同じIDでないと通信できないようにネットワークを識別するのためのIDであり、無線LANに接続する全ての機器に同じIDを設定します。
WEPは、無線でデータを受信しても中身を解読できないように暗号化する機能であり、WEPキー(文字列)を指定します。64bitより128bitWEPの方がセキュリティーが高くなるものの、通信速度はWEPにより少し低下します。
MACアドレスフィルタリングは、ハードウェア(無線LAN機器)固有の識別番号であるMACアドレスをアクセスポイントに登録し、登録されてないアダプタからのアクセスを遮断する機能です。
いずれも初期設定のままでも支障がないよう設定されていることもあるのでしょうが、マニュアルを見て一通り確認することが必要です。
最近は、無線LANの急速な普及により、電波の傍受の問題など無線LANのセキュリティの確保が一層重要となってきており、通信機器業界団体であるJEITA(社団法人電子情報産業技術協会)が、「無線LANセキュリティに関するガイドライン」を改訂しており、総務省でも無線LANのセキュリティに関するガイドライン「安心して無線LANを利用するために」を公表しました。
今後JEITAのガイドラインに沿った機器では、最初に使う時の標準設定で、より簡単に必要なセキュリティの設定ができるようにしようということです。
なお、JEITAの「無線LANセキュリティに関するガイドライン」では、メーカー各社の用語の統一を図ろうとしており、専門用語がよく解らないときには、この付4の用語解説や用語説明一覧に目を通されることをお勧めします。
2 速度適正化のための基礎知識
回線距離の測定、速度の確認方法
2-1 距離、伝送損失の測定
ADSL接続サービスは、下り最大12Mbps、8Mbps、1.5Mbpsなど通信速度による種類がありますが、いずれもベストエフォートの速度であり、現実にはNTT収容局から自宅までの個々の回線距離に大きく左右されます。
そのため適正な速度かどうか確認するためには、まずNTT収容局から自宅までの回線距離を測定する必要があります。回線距離は、NTT情報開示システム(NTT西、NTT東)で線路距離長(回線距離のこと)を測定するのが最も簡単な方法です。
また電話回線の品質も速度に影響があり、これもNTT情報開示システムで伝送損失を調べることにより、回線品質の良否の一応の目安とすることができます。
特にADSL各社の8Mbpsサービスは距離に弱く、概ね5kmまでが接続できる限界であり、5kmを超えると接続不可、つまりリンクしないおそれがあるのです。
12Mbpsサービス、または1.5Mbpsサービスは、距離7kmぐらいまでリンクする可能性があるのですが、距離が遠いとリンクしても速度的には遅く、5kmを超えれば1Mbpsに届かないことが多いのです。
なおYahoo!BBのリーチDSLは、最大速度を960Kbpsに制約されてますが、距離9kmでもリンク実績があるとのことで最も距離に強いのです。なお、このリーチDSLは上りも最大960Kbpsで上下最大速度が同じであり、ADSL(非対称)ではなく独自のリーチDSLです。
2-2 実効速度の測定
速度には、ADSLモデムのリンク速度と速度測定サイトで計測する速度とあります。
速度測定サイトで計測する速度は、一般的に実効速度と呼ばれ、現実にインターネット上のサーバーからファイルをダウンロードする速度ですから、転送元のサーバーの状態や転送経路、測定時間帯によって異なります。
測定サイトは数多くあり、このホームページのHOMEのリンク集で主なものを紹介してますが、まれにアクセスが集中すれば遅くなることもあるので、いろいろなサイトで測定し、最も速い結果を参考にして差し支えないのです。
速度の測定結果が距離に対してどうも遅いというときは、何か原因があるのかもしれません。
ADSL各社の12Mサービスであれば、距離別、伝送損失別の速度水準について、「ADSL12M速度分析」<集計編>、<分析編>を参考に遅いかどうか目安を立ててください。
そして測定結果が水準以下と遅い場合、次の「2-3
リンク速度の測定」を参考にリンク速度を調べ、<超簡単速度アップ対策>、<距離の割にリンク速度が遅い場合の要因と対策><リンク速度に対して実効速度が遅い場合の要因と対策>を順に目を通してみてください。
なお、夜間のインターネットの混雑時間帯に特に速度が遅くなるという現象の場合は、ADSL回線業者やプロバイダのバックボーン回線が弱いということが想定されます。
このところの利用者増にバックボーン回線の増強が間に合ってないことも多いようで、しばらくして改善されるかどうかです。一時的なものではなく常態化しているようであれば、ADSL回線業者やプロバイダを乗換えるしか解決策はないのです。
例えて言うと、一般道は古い道で整備されてなく速度規制により時間がかかるのですが、高速道路も盆や正月の帰省ラッシュでは渋滞が発生するようなものです。これが毎日では困ります。
2-3 リンク速度の測定
リンク速度は、NTT収容局と自宅のADSLモデム間の通信速度であり、実効速度はこのリンク速度を超えることがないのです。
よくラストワンマイルが問題と言われますが、いくら主要幹線が光通信網で整備されても、NTT収容局から自宅までの電話回線が従来のメタル回線ではボトルネックとなり、限界があるということです。
よく何故リンク速度を超えられないのかとの質問があります。現実のファイルの転送速度はNTT収容局から自宅までにかかる時間、プラス、転送元サーバーから主要幹線までの時間と主要幹線を通過する時間とが加わるからです。幸い、主要幹線や転送元サーバーの回線は、通常光ファイバー網で高速アクセスが可能になっており、NTT収容局から自宅までにかかる時間のおよそ2割ぐらいの時間ですむのです。
解りやすく大雑把な例えですが、リンク速度が2.0Mbpsで実効速度が1.7Mbpsとすると、1MB(8Mbit)のファイルをダウンロードするのにNTT収容局から自宅パソコン間まで4秒、幹線側で0.7秒かかり、合計4.7秒の時間を要することになるのです。
つまり、このことを逆にみて、リンク速度は8Mbit割る4秒で2.0Mbps(ビット パー秒)、実効速度は8Mbit割る4.7秒で1.7Mbpsとなるのです。そして実効速度は、リンク速度の85%出ていることになり、概ねこの辺りの割合が限界です。
なお現実に1MBのデータファイルを転送するためには、TCP/IPプロトコルで送受信するためにパケットと呼ばれるデータのかたまりに分割して扱います。このパケットにはTCP/IPヘッダ(宛名)などの各種ヘッダ情報を付加しなければならないことから、上の説明はヘッダも含めると約1.15MBの場合で、厳密に言うとNTT収容局から自宅パソコン間まで4秒強かかります。もちろんヘッダも転送しているのです。
夜のネットの混雑時間帯に、特定の人気サイトのページの表示が遅かったり、ファイルがダウンロードできないということがあります。大手サイトのサーバーは、相当なアクセスに耐えれるようになってますが、それでもアクセスが集中しすぎると制限せざるを得ないことがあり、相手側サーバーにも主要幹線までのラストワンマイルの問題があるということです。
やはりADSLの通信速度もリンク速度次第で、実効速度がリンク速度の8割を超えれば、ADSLモデムからパソコン側、つまりLAN側での接続、設定は問題がないのです。
リンク速度の測定方法は、ADSL各社の採用するモデムによって異なりますので、まず使用しているモデムの機種を調べ測定方法を調べる必要があります。
フレッツ、アッカ、イー・アクセスの12Mサービス以上の高速サービスのADSLモデムは、いずれもWebプラウザ(InternetExplorer)からモデムにアクセスすることにより、簡単にリンク速度を調べることができます。
例えば、アッカ12MのモデムFLASHWAVE2040V1の場合、InternetExplorerを起動し、上部のツールバーのアドレス欄に、半角英数で「http://192.168.0.1/」と入力し、Enterキーを押せばモデムの保守モード、つまり設定画面に入ることができ、ADSL回線状態一覧という項目でリンク速度が確認できます。
なお、http://192.168.1.1/ というアドレスをコピーしてアドレス欄に貼り付けEnterキーを押せばもっと簡単です。
なお、フレッツ8MのMNモデムとMSモデムは、モデムのファームウェアのバージョンアップが必要です。http://www.ntt-west.co.jp/kiki/download/flets/index.html (モデム名をクリックすると説明があり、取扱説明書追加分にADSL速度表示方法の説明もあります。)
<ADSLモデムの設定・保守画面に入るアドレス>
回線種類 | モデムタイプ | 入力アドレス | 初期設定の ユーザー名:パスワード |
フレッツ モアV モアスペシャル |
NTT東西 Web Caster 6400M |
http://ntt.setup/ | user : 最初に設定 |
NTT東西 Web Caster 3100NV |
http://ntt.setup/ | user : 最初に設定 | |
NTT東西 NV V | http://ntt.setup/ | user : 最初に設定 | |
NTT東西 MS5 | http://ntt.setup/ | user : 最初に設定 | |
フレッツ モアU・モア40 |
NTT東 MN W | http://web.setup/ | user : 最初に設定 |
NTT西 MS W | http://192.168.116.1/ | user : 最初に設定 | |
NTT東西 Webcaster630M | http://web.setup/ | user : 最初に設定 | |
フレッツ モアU・モア24 |
NTT東西 MN V | http://web.setup/ | user : 最初に設定 |
NTT東西 Webcaster620M | http://web.setup/ | user : 最初に設定 | |
アッカ 50M | 富士通 FA11-W5 | http://192.168.0.1/ | admin : admin |
Aterm WD735GV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
Aterm WD734GV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
アッカ 40M | 富士通 FA11-W4 | http://192.168.0.1/ | admin : admin |
Aterm WD634GV | http://web.setup/ | 最初に設定:最初に設定 | |
Aterm WD624GV | http://web.setup/ | 最初に設定:最初に設定 | |
Aterm DR224G | http://web.setup/ | 最初に設定:最初に設定 | |
アッカ 26M | 富士通 FA11-W3 | http://192.168.0.1/ | admin : admin |
Aterm WD632GV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
Aterm WD622GV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
Aterm DR332GV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
Aterm DR322GV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
富士通 FA11-M2 | http://192.168.0.1/ | admin : admin | |
イー・アクセス 50M |
Aterm WD701CV | http://web.setup/ | 最初に設定:最初に設定 |
Aterm D207C | http://web.setup/ | 最初に設定:最初に設定 | |
イー・アクセス ADSLプラスQ |
Aterm DR605CV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 |
Aterm DR205C | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
住友電工 TE4561 | http://192.168.1.1/ | user : user | |
イー・アクセス ADSLプラスU |
Aterm DR320CV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 |
Aterm DR304CV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
Aterm DR204C | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
フレッツ モア | NTT東 MN II | http://192.168.1.1/ | (取扱説明書記載) |
NTT西 MS II | http://192.168.1.1/ | (取扱説明書記載) | |
フレッツ 8M | NTT東・西 MN型 | http://192.168.0.1/ | config :(無し) |
NTT西 MS型 | http://192.168.1.1/ | root : root | |
アッカ 12M | FLASHWAVE2040V1 | http://192.168.0.1/ | admin : admin |
FLASHWAVE2040M1 | http://192.168.0.1/ | admin : admin | |
Aterm DR221G | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
アッカ 8M | 富士通製(10M対応) | http://192.168.0.1/ | admin : admin |
イー・アクセス ADSLプラス |
Aterm DR302CV | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 |
Atrem DR202C | http://web.setup/ | admin : 最初に設定 | |
イー・アクセス 8M | 住友電工 TE4121C | http://192.168.1.1/ | root : root |
Atrem DR201C | http://192.168.0.1/ | config :(無し) |
上の表は、ADSL各社のサイトで取扱説明書が載っているもののみ掲載しましたが、当方では確認のしようがないので、手元の取扱説明書で確認してください。古いモデムはリンク速度の表示機能が無い場合もあるのでしょうが、上記以外のモデムの場合は、各社のサポートページで一度確認してみてください。
フレッツADSL http://www.ntt-west.co.jp/kiki/download/flets/index.html
アッカ http://www.acca.ne.jp/support/modem/upgrade.html
イー・アクセス http://www.eaccess.net/support/support_info/modem/index.html
また取扱説明書(マニュアル)に、設定画面でのリンク速度(回線状態)の表示方法が載っています。
しかしYahoo!BBの12Mトリオモデムの場合は難しいのです。Webプラウザでは見れなく専用ケーブルやソフトを入手する必要があります。手っ取り早いのは、電話でサポートセンターに照会することで、少し待たされますがリンク速度を教えてくれます。
Yahoo!BBモデムのリンク速度の測定方法は、EggMafinさんのサイトを参考にしてください。 http://egg_mafin.tripod.co.jp/
速度が水準以下の場合は、次の<超簡単速度アップ対策>をまず見てください。またリンク速度そのものが遅い場合は、<距離の割にリンク速度が遅い場合の要因と対策>を、実効速度がリンク速度の8割に達してない場合は、<リンク速度に対して実効速度が遅い場合の要因と対策>を参考としてください。
超簡単速度アップ対策
2-4 モデムの電源の入れ直し
ADSLモデムは、電源を入れたときにNTT収容局内で接続されているDSLAM装置との間でトレーニングを行いリンク速度が定まります。
そのため速度が遅くなってきたときには、モデムの電源を入れ直すと回復することがあります。電源を入れるときの回線の状態によってリンク速度が変わりますから、比較的回線の状態の良い曜日、時間帯に入れ直すと速いということがあります。
なお立て続けに電源を入れ直しても、回線の状況は同じで変わらず、回線の状態が悪いときに入れ直せば、かえってリンク速度が遅くなることもあります。モデムによってはリンク速度が速くなっても、ノイズマージンが低くなり接続が不安定となることもあり、つまりノイズに対する余裕がなくなり頻繁に切断するようになることもあります。
要は、長期間モデムの電源を入れたまま使用してきて、速度が遅くなってきた場合に試すと効果がある可能性があるということです。
2-5 インターネット高速化ソフトの導入
ADSLNinjaや驚速ADSLなどインターネット高速化ソフトを使うと、MTU、RWINの調整など使用環境に最適化することができます。
もちろんMTU、RWINの設定は、WindowsXPでは初期設定のまま変更しなくても問題ないし、Windows98、Me、2000でも自分で適切に調整可能であれば支障がないのですが、設定方法がよく解らない場合は高速化ソフトを使えば簡単です。
また通信速度が速くならなくても、先読みや広告カットなどの機能により使い勝手が良くなることや、常時通信速度を監視できることなどのメリットがあり、とにかくめんどうなことが嫌いであれば利用してもと思います。
しかし56Kモデム時代から使っている古いバージョンの高速化ソフトは、ADSLなど広帯域用の調整になってないため、そのまま使うとかえって遅くなることがあります。
また既にMTU、RWINの設定が問題がないのであれば、速度が速くなることを望んでも期待外れとなります。
距離の割にリンク速度が遅い場合の要因と対策
2-6 屋内ノイズの影響と対策
まずノイズが多い環境かどうかということが問題です。一般にノイズというとテレビのゴーストやラジオの雑音が酷いということを想定しますが、ADSLにとってはADSL信号以外のものは全てノイズであり、AMラジオ波そのものもノイズなのです。つまりAMラジオ波が強くて、はっきり聞こえれば、その影響も大きいのです。
一方近くに電車の線路がある、幹線道路が通っているので環境が良くないのではと心配される方もいます。しかし、鉄道や幹線道路のために電話回線が迂回し距離が長くなることがあるにしても、少し離れていれば必ずしもノイズが酷い環境にあるとも限らないと思います。
早朝の電車の始発前や道路の交通量の少ない時間帯とラッシュアワーの時間帯の両方で、モデムの電源を入れ直して速度を何度か測定した結果、あまり変わらないのであれば、その影響は大したことではないと割り切って気にしないことです。
室内のインバータ系家電製品からのノイズの影響がある場合は、主にモデムの設置場所の見直し、モジュラーケーブルの変更(シールドケーブル)、モジュラーケ−ブルの配線見直し、ノイズフィルターDMJ6-100Kの取付けなどの屋内ノイズ対策により効果があることがあります。
またAMラジオ波、短波など外部通信波ノイズの影響が大きいと想定されるときは、主にモジュラーケーブルの変更(シールドケーブル)、ノイズフィルターDMJ6-2LまたはDMJ6-2Hの取付け、モデムの電源ケーブルへのフェライトコアの装着などを試してみると良いでしょう。
いずれにしても速度的には大幅な改善は見込めないでしょうが、回線の切断が少なくなったり、安定して速度が出るようになれば相応の効果があるのではと思われます。なお接続状況も変わらず、かえって速度が遅くなるようであれば、思った程ノイズの影響を受けてないと思われるので、惜しまずノイズフィルターなどを外した方がよいのです。(参考 1-1〜1-4参照)
<ノイズ対策の検証事例>
(Yahoo!BB12M 距離3.4km 損失43dB 単位:速度Kbps)
対策なし | ノイズフィルター |
フェライトコア | ツイストペアケーブル | ||||
DMJ6-2L | DMJ6-2H | DMJ6-100K | 3個装着 | ||||
適正な位置にモデムを設置 | 2285 | 2455 | 2406 | 2327 | 2137 | 2351 | 2242 |
モデムの近くに電子ポットを置く | 2025 | 2210 | 2087 | 2118 | 2200 | 2112 | 2054 |
この検証結果は、ネットが混雑してなく比較的条件の良い朝の時間帯に、モデムの電源を入れ直して何度も計測した平均値ですが、我が家は郊外の住宅地でノイズの影響が少ないようで、ノイズが多い環境では、もっと差が出る可能性はあります。
やはり個々の環境次第でしょうが、ノイズフィルターはDMJ6-2Lが他のものより効果があるようです。しかし効果があるといっても速度アップは170Kbps程度のことであり、むしろ速度が遅くならないようであれば、接続が安定することのメリットがあるのではと思います。その辺りのことは少し使い続けないと実感できないのでしょうが、さすがにDMJ6-2Lと2Hと100Kの3個とも装着すると遅くなるのが気になり、ノイズフィルターを付けるとしたら通常は1個にしたほうが無難でしょう。
ノイズフィルターのDMJ6-2Lと2Hと100Kの違いは、ノイズとして抑え込む周波数帯域が少し違うのですが、その各周波数帯域のADSL信号もフィルターをかけ減衰してしまうという宿命のため、ノイズが少ない環境で使用しても速度を落とすだけという結果になりかねないのです
フェライトコアは、わずかながらも速度アップしそうですが、ツイストペアケーブルは速度面では変わらないようです。夏場でエアコンでも使っていれば違うのかもしれません。
また今回は、わざわざモデムの近くに電子ポットを置いてみて、ノイズが多いときの各ノイズ対策を試してみました。冷蔵庫やエアコンのほうが比較的いつもノイズを出していそうですが、モデムを近くに動かせないので、電子ポットをモデムのすぐ横に持ってきて、試しに水を入れて沸かしてみたところ意外と影響があるようです。
この場合も、DMJ6-2Lが他のものより速度的には改善されるのですが、次いでDMJ6-100Kがやはり良いようです。我が家では、もともとDMJ6-2LがAMラジオ波の干渉対策として必要であったと考えると、今回は実験ですが家電製品ノイズが加わったときにはDMJ6-100Kも足すと良いようです。今回は3個装着してもまずまずですが、本当はDMJ6-2Lと100Kの2個で良いのでしょう。
また、モジュラージャックからモデムの配線ケーブル周りに電子ポットを置いたわけではないので、この実験でもツイストペアケーブルの出番ではなかったようです。
2-7 通信回線上の障害の確認と対策
ガスの自動検針、ドアホン、ホームセキュリティ、スカパーなどの電話回線を使用するサービスを利用している場合の問題、ACR・LCR(電話会社選択サービス)による障害などは、通常リンクしない、つまり接続不可になることが多いのですが、距離が近いなど回線環境が良い場合は、速度がかなり低下してもADSLを利用できる場合もあります。
そのため、こうしたトラブルがあることを見過ごしがちになり、ノイズやISDN干渉の問題を疑いかねないのですが、屋内の問題であれば改善の余地があります。
通信回線上の障害の事例として多いのは、まずガスの自動検針システムでしょう。
次に多いのは、ドアホン、ホームテレホンで、かつてマイライン制度以前にACR、LCRを使っていたということもあるかもしれません。
「1-7 ADSL通信に障害となる問題」と「2-18〜2-22」までの個別の対策を参考としてください。
2-8 ブリッジタップの有無と影響
NTT収容局からの電話線のケーブルに、ブリッジタップ(BT)と呼ばれる予備の分岐があると、使われてない分岐線の終端からの反射波による影響があります。
ブリッジタップによる影響は、かつてブリッジタップを一つ外すと、概ね4dBぐらい損失値が低くなると言われてましたが、ブリッジタップのある位置によって影響度合が違い、どうも自宅に近いところにブリッジタップがあると影響が大きいようです。しかし現実には影響があると思って外しても見込みどおり速度が改善しない事例もあり、外してみないと解らないのです。
2000年Yahoo!BBのサービス開始当初、私も5か月待ち組みですが、申し込みが殺到し混乱していて、そのときのことは当時「odyouさんの日記」が有名ですが、ジャンパ工事が完了してもリンクしなくて何ヶ月も原因がわからなかったのに、ブリッジタップを2個外したら1Mbpsを超える速度で使うことができるようになったのです。
「odyouさんの日記」は、Yahooの対応の悪さを批判した日記とみられてますが、ことの本質は、当時業者側もブリッジタップを外したらリンクすると思ってないのに、リンクしたことの驚きと、そこに至る経緯として女性筆者の何としてもADSLを使いたいという執念に多くの人が共感したということです。
最近NTT情報開示システムの伝送損失を計算する上でのブリッジタップ数のカウント方法が修正されました。これまでは同一ユニット内にある分岐数をカウントしていたため、実際の数より多くなることがあり、伝送損失が高くなってしまうことがあり修正したとのことです。
このことにより情報開示システムの信頼度は高くなるとのことですが、それはさておき、従来測定した伝送損失値を覚えていて、最近測定した値がかなり低くなっているのであれば、このシステムの修正があったためと考えられ、おそらくブリッジタップが1個以上あると推定でき、副次的にブリッジタップの有無が解るのではと思います。
ブリッジタップの有無は、NTTの回線調査で調べることですが、前に情報開示システムで測定したことがあれば、伝送損失が低くなっていないか確認してみてください。
2-9 ISDN干渉の影響の程度の確認
電話線のケーブルは、メタル回線が何本も束になっており、その最小単位がカッドと呼ばれ2対(2回線分)の電話回線が納められています。プラスチック絶縁被膜の場合、このカッドが10本でサブユニット、サブユニットが5本でユニット、ユニット4本で電話線ケーブルができており、紙絶縁の場合は、サブユニットがなくカッドが50本でユニットとなっており、他のことは同じです。
この電話線の束の中に、ISDN回線が収容されていると干渉による影響を受けます。
最も強い影響を受けるのは、同一カッドに2本収容されているもう1本の回線がISDNの場合で、極めて稀なケースとは思いますが、距離が近くても速度が大きく落ち込んだり、距離が遠いとリンクしないおそれがあります。
次に、同一ユニット(サブユニット)内の隣接または一つ飛びカッドにISDN回線が収容されているケースでかなり干渉による影響を受けますが、隣接または一つ飛びカッドに無くてもユニット内にISDN回線があれば影響はあるので、全く影響を受けない回線は滅多にないのです。つまり影響の程度は相対的に大きいのか小さいのかということになります。
ADSL通信が利用している周波数帯域32〜1104KHzのうち、ISDNの干渉は特定の周波数帯域で影響が現われます。そのためADSLモデムのbit値の取得状況であるbitmapを見ると、干渉の程度が大きいかどうか知ることができます。
もちろんISDN回線の収容状況は、NTTの回線調査で同一カッド、隣接または一つ飛びカッドの状況が解りますが、モデム情報からbitmapが見れれば、目安が立つのです。
詳しくは、「ADSL初心者向け解説」の後半を参照してください。なおbit値の取得状況のことをYahooの場合CariierLoadと呼んでます。
2-10 bitmapの見方と原因の推定
ADSLモデムの情報で、帯域別のbitmapを見ると、ISDN干渉の影響の程度など屋外回線の問題について目処がたつ場合があります。bitmapは、周波数帯域別のbit値の取得状況をグラフで表したもので、ADSL各社の使用モデムによって調べ方が違いますが、ADSL8Mモデム、12Mモデムは基本的には同じような見方となります。
bitmapの見方は、
何KHzまでbit値を取得できているのか。
ISDN干渉帯域での落ち込みの程度が大きいのか小さいのか。
特定の帯域でbit値の落ち込みがあるのかどうか。
ということがポイントですが、フレッツADSLなどNEXTとFEXTと2種類のbitmapが見れるモデムの場合は、そのbit値の取得状況の差も目安となります。
距離が1.5kmまでであれば、ADSLが使う周波数帯域の最高周波数1104KHzまでbit値は普通取得できるのですが、距離が遠くなると高い周波数の信号が届かなくなります。つまりADSLでは距離が遠くなればなる程、使える周波数帯域の上限が低くなり、そのため帯域が狭まり遅くなるのです。
なお24Mサービス以上の高速サービスでも、距離が遠いと高い周波数帯域が伝わらないという理屈は全く同じです。そのためダブルスペクトル方式やクワッドスペクトル方式で高い周波数まで周波数帯域を拡げてみても信号が伝わらなくては意味が無く、24M・26Mサービスでは距離2.5km程度まで、40M・45Mサービスでは距離1.5km未満でなければ恩恵が無いのです。
距離相応の帯域までしかbit値が取得できないことは止むを得ないのですが、距離相応の水準までbit値が取得できてない場合は、回線品質が悪いか、ブリッジタップが有る疑いがあります。
<回線距離別のbit値取得周波数上限値>
(Yahoo!BB8Mの平均的な回線品質の場合)
回線距離 | 2.0km | 2.5km | 3.0km | 3.5km | 4.0km | 4.5km | 5.0km | 5.5km | 6.0km |
上限キャリア# | [236] | [213] | [192] | [172] | [154] | [137] | [121] | [107] | [ 93] |
上限周波数KHz | 1,020 | 920 | 830 | 740 | 665 | 590 | 525 | 460 | 405 |
上の表は、Yahoo!BB8Mの距離別のbit値が取得できる上限の周波数の平均的な水準ですが、理論的には他のADSLキャリアでもそれ程違わないはずです。
また12Mサービス以上の高速サービスでは、新しいサービスほどADSLモデムの性能が良くなり、もう少し高い周波数までBit値が取得できると思いますが、これもそれ程の差はないと思います。
そのため12Mサービス以上であれば、上の表を見るときに実際の距離より0.5km短い区分を見る、例えば距離3.5kmのケースは、距離3kmの上限周波数830KHzぐらいまでbit値が取得できるのが平均的と見ればよいのでしょう。
詳しくは、このホームページの「ADSL減衰要因の考察」というファイルを参照してください。
なお24Mサービス以上の高速サービスでは、ダブルスペクトル方式やクワッドスペクトル方式を採用し下りの使用周波数帯域が広く、一部マスク(出力制限)がかかっている周波数帯もありますが、もともと近い距離に限られており、マスクによる大きな影響はないでしょう。
一方オーバーラップ方式は、下り帯域より低い上り周波数帯域を使って速度をかせぐ技術ですから、取得できるBit値の周波数を引き上げるものではなく、またオーバーラップを使わなければADSL各社の8Mから12Mへの変更による速度アップは、平均500Kbps程度(1〜2割増)でしょう。
ISDN干渉帯域でbit値が取得できないか、取得値が大きく落ち込んでいる場合は、SDN干渉の影響が大きく、同一カッド、隣接または一つ飛びカッドにISDN回線が収容されている可能性が高いのです。
干渉は、ISDNが直接使用する110KHz〜230KHzの帯域だけでなく、370KHz〜510KHz辺りと770KHz〜890KHz辺りの帯域にも現われ、この3つの周波数の帯域で、本来取得できるはずのbit値が取得できないか値が小さくなっていて、bitmapがU字型に落ち込んでいれば干渉があるということになります。しかし全くISDN干渉の影響が見られないbitmapは珍しく、相対的な程度の問題となります。
詳しくは、このホームページの「ADSL初心者向け解説」の後半にISDNの影響がわかるグラフを載せてますので参照してください。
AMラジオ波の周波数は、ADSLが利用する帯域の中の周波数を使っていることが多いのです。しかしAMラジオ波の周波数のみbitmapが歯抜けになっているだけであれば、それ程大きな問題ではなく、周りの周波数まで影響を及ぼしていたり、受信ラジオ局が多くて何本も歯抜けになっているようであれば問題です。ノイズ対策で抑えれるかどうかです。
(DBM方式について)
ISDN回線での通信方式は送信と受信を1.25msごとに交互に切り替えており、AnnexCでは、このISDN信号の送受信のタイミングに合わせて切り換えるDBM(Dualbitmap)方式を用いてます。
ISDN信号も遠い距離を伝わってくると減衰し他の回線への干渉も弱くなります。
このISDNの影響が弱いFEXT(Far End
CrossTalk
、遠端漏話)のタイミングでADSLのデータを多く送り、影響が大きいNEXT(Near
End Cross Talk、近端漏話)のタイミングではデータ量を抑えてISDNの影響を少なくする方式がAnnex
Cなのです。
つまりFEXTとNEXTの2種類のbitmapがあるわけで、この2種類のbitmapのbit値の取得状況の差が大きいとその回線はISDNの影響が大きいのではと想定されるのです。
しかし、ISDNの干渉があっても距離が近い場合は、ISDN信号がそれ程距離により減衰しないでしょうから、近端漏話と遠端漏話の差が小さいでしょうし、距離が遠いと元々高い周波数の帯域は届かないためFEXTもNEXTもbit値があまり取得できないので、距離が異なるケースを一概には比べられないのです。
またAnnexC(DBM方式)が必ずしもAnnexAより速度面で優位にあるとは限りません。例えISDNの影響が大きい場合でも、DBM方式は時間的に制約をかけているからです。つまり下り速度が問題として、極端に影響の無いときだけ受信していては、接続は安定するものの受け取る時間が短くなって、かえって遅くなってしまうのです。
やはり通信速度と接続の安定はパラドックスの関係、つまりあちらを立てればここちらが立たないという状況にあり、回線業者の調整次第という面があるのではと思います。
少し乱暴な例え話をすると、道路工事中の道に、臨時の工事用の信号機を置いて片側交通の規制をかければ、トラブルは少なくなるのでしょうが、かえって渋滞の距離が伸びてしまうのではという感じです。そしてガードマンがいかにスムースに誘導できるかが問題です。
2-11 NTTの回線調査の依頼
回線業者またはプロバイダを通してNTTに回線調査を依頼すると、ブリッジタップの有無と数、ISDN回線の収容状況だけでなく、線径、被膜状況、手ひねり接続の数など回線品質に関する情報が得られます。
屋外の回線に問題があると想定される場合は、結局この回線調査の結果をみて改善の余地があるのかどうか判断することになるので、ノイズ対策をしてもリンク速度が距離相応の水準の半分もでてないようであれば、とりあえず回線調査を依頼するとよいでしょう。
調査の結果、ブリッジタップがあれば取り外すことにより速度がアップする可能性があります。また同一カッドにもしISDN回線が収容されていれば、回線の収容替えで効果が見込めるでしょう。
しかし隣接または一つ飛びカッドにISDN回線があるぐらいのことであれば、収容替えしても大きな効果が見込めないこともあり、既に光回線からの収容替えなどの場合は、現在の回線より良い回線がそもそもないということも多いようです。
またブリッジタップも位置的にあまり影響してない場合もあると思います。
回線の収容替えやブリッジタップ外しは、各社とも全く効果がなければ費用を取らないとホームページに書かれてますが、わずかに速度アップしただけで2万円以上の費用がかかるのでは割に合わないという面があります。
リンク速度で100Kbps程度の差は、何も工事をしなくても変動する範囲であり、回線調査の結果をよく確認して、ある程度改善の見込みがあるのかどうか業者と相談して対応する必要があります。
リンク速度に対して実効速度が遅い場合の要因と対策
リンク速度は距離相応の速度なのに実効速度が遅い場合は、ADSLモデムからパソコン側に問題があります。
モデム側から順番に原因を探っていくことがセオリーで、一通り確認して解決できない場合はセオリーどおり原因を潰していくべきでしょうが、とりあえず可能性の高い順に確認します。
なお夜間のNETの混雑時間帯のみ特に遅い場合は、利用者が急増していてバックボーン回線の増強が間に合わず、回線業者かプロバイダのバックボーン回線が弱いという可能性が高く、しばらくの間様子をみて改善しないようであれば他業者に乗り換えるよりないのです。
2-12 MTU・RWINの調整方法
WindowsXPの場合は、初期設定のままで良く、調整する必要がありません。もし実効速度がリンク速度の8割以下であれば、他に原因がある可能性が高いので探してください。
では、現実に「窓の手」というソフトを使用して、MTUとRWINを変えてみましょう。
ルータを使用していても、そのままでも問題ないことも多いのですが、MTUとRWINが設定どおり変更できなければ、一旦ルータを外してパソコンとモデムをLANケーブルで直結してみてください。
まず初めに、現在のMTUとRWINの設定値に戻せるように、確認ページでのMTUとRWINの値をメモします。
MTUとRWINの確認ページ
SpeedGuidenet 画面左側の下から2番目「TCP/IP
Analyzer」をクリック
次に、現在の設定のまま複数の速度測定サイトで、何度か測定して記録しておいてください。
(速度測定サイトはHOMEのリンク集で紹介しています。)
「窓の手」のアイコン(Winhand)をWクリックし起動し、「ネットワーク」タブをクリックします。
「窓の手」の表示画面の右側に、MTUとRWINが表示されるので、値を適当に置き換え、一番左下の設定反映をクリックし閉じ、パソコンを再起動します。
再度、MTUとRWINの確認ページで変更されていることを確認し、複数の速度測定サイトで、何度か測定してください。速くなっていれば、その設定のまま当分使い、接続が不安定のようであれば、少しRWINの値を小さくするとよいでしょう。
なお設定するRWINの値は、MTU-40=MSSの整数倍が基本です。
<MTU・RWINの調整結果事例>
(Yahoo!BB12M 距離3430m 損失43dB 単位:速度Kbps)
RWIN (MTU-40=MSS の整数倍) | RWIN(非整数倍) | ||||||
6倍 | 12倍 | 24倍 | 44倍 | 88倍 | 16384 | 65535 | |
MTU=1500 | 2160 | 2415 | 2417 | 2430 | 2449 | 2373 | 2275 |
MTU=1454 | 2097 | 2408 | 2424 | 2418 | 2419 | 2402 | 2374 |
MTU=1000 | 1701 | 2278 | 2278 | 2348 | 2309 | 2252 | 2237 |
MTU=576 | 1216 | 1760 | 2111 | 2146 | 2197 | 2149 | 2168 |
最適なMTUの値はYahooは1500、フレッツADSLなどPPPoE接続の場合は1454と言われてますが、中には、もう少し小さな値が良いと研究されている方もみえます。なおフレッツADSLのサポートページでは、MTUが1454バイトが適正値で1455以上に設定すると通信ができない場合があると書かれています。
上の表は、どの程度速度が違うか検討のためISDNや56Kモデム向けの最適値であるMTU=1000やMTU=576にして計測してみましたが、ADSLでは現実には1000では小さすぎるので、一般的に最適値といわれている値が無難です。またRWINの値は、MSSの非整数倍でも計測してみました。
いろいろな測定サイトで何度か測定した結果ですが、最速値はMTU=1500でRWINが128,480(MSS1460X88倍)とWindowsScaleオプションを有効にして設定した高い値です。しかしMTUが1500または1454で、MSSの24倍以上の整数倍であれば、いずれも2.4Mbpsを超えており、それ程差があるわけではないのです。
結論は、MTUは1000以下では小さすぎ回線キャリアの最適値に合わせておいたほうが良い、RWINはMSSの整数倍の方が良く、少なくとも12倍以上の値とした方が良い、といったところでしょうか。
なおルータを使っている場合は、MTUをルータの設定で固定してしまうルータもあるようで、MTUの上限値の固定ではなく固定値では変更しようがないのですが、上の結果ではMTU=1500でもMTU=1454でもほとんど変わらなく、気にすることもないと思います。なおフレッツADSLの接続ツールを使えば最適値に設定されるので心配ないようです。
Windows98は初期状態のままでMTU・RWINの調整がされてなくて、速度がかなり遅いという事例が時々あります。この場合、MTUはWindows98でも、ほとんどの場合ADSLに最適に調整されるので、RWINが6倍(MTU1500の場合RWIN8760)と低いことが問題のようです。
特にRWINは、ADSLの接続速度などそれぞれの環境や使い方によっても最適値が違うので、非常に環境が良くフルリンクに近いケースは、WindowsScaleオプションを有効にして、もっと高い値に設定しても良いのではと思います。
私の場合は結局RWINを、あまり大きくしすぎても速度が落ち着かないようで、MTUは1500、RWINは64240(MSSの44倍)に戻しました。やはりMSSの12倍以上であればそんなには違わないと思いますが、気楽にいろいろ試してみてください。
2-13 常駐ソフトによる障害と対策
セキュリティーソフトなど常駐ソフトが原因で速度が遅いというケースは、意外と多いのではと思います。よく知られているのは、ノートンインターネットセキュリティー2002とウィルスバスター2001で、それぞれソフトメーカーのサポートページで対策が説明されています。(1-12、1-13参照)
あまり使われてないパソコンソフトは、まだ障害が知られてないということも想定され、通信やセキュリティーに関するソフトなど他の常駐ソフトも、場合によっては速度が遅い原因になっている可能性が無きにしもあらずです。
幸い対策は簡単です。常駐ソフトの常駐を外す、つまりソフトの起動をコントロール下に置き、必要なときに使えば良いのです。中にはアンインストールしなければ障害がでるソフトもありますが、とりあえずは常駐を外してソフトを起動させずにパソコンを再起動し、確認してみてはと思います。
しかし常駐を外しても解決せず、全く他の原因に思い当たらず、なおかつ常駐ソフトが怪しければ、「アプリケーションの追加と削除」または専用アンインストールソフトでアンインストールして確認すれば良いのです。なおノートンインターネットセキュリティー2002とウィルスバスター2001の対策は、もちろんソフトそのものは使う上での対策です。
常駐の外し方は、いろいろな方法があります。
最も簡単なのは、Windows98では設定「タスクバーとスタートメニュー」で行うことです。[スタート]メニューの設定の「詳細」をクリックし、プログラムのスタートアップをクリックし、右側に表示されるアプリケーションのショートカットを全て適当なフォルダに移してしまえば良いのです。例えばデスクトップにスタートアップとでも名前を付けたフォルダを作成し、そこに移しておくと迷子にならなく、いざソフトを起動したいときに便利です。
「スタート」-「プログラム」-「スタートアップ」でソフトを選択して右クリックし、フォルダに移動しても結果は同じですが、ソフトの数が多いと手間がかかります。
なお常駐を外した後は、パソコンを再起動して確認してください。
スタートメニューに登録されてない常駐ソフトも多くあり、この場合は別の方法で常駐を外す必要があります。
Windows98でもXPでも「msconfig」は、ほぼ同じような手順です。「スタート」→「ファイル名を指定して実行」で「msconfig」と入力しOKをクリックすると、一番右端のタブに「スタートアップ」というタブがあるのでクリックします。ここでチェックしてあるソフトがパソコンの電源を入れたときに起動するので、チェックを外せばよいのです。
なおシステムで使用するもの(internat.exe、SystemTray、LoadPoewrProfile)は外さないように注意が必要です。他にもファイル名でソフトが解らないものは全部チェックを一度に外さず、一つ一つ外して確認するようにしてください。
また「窓の手」という便利なフリーソフトがあり、このソフトをインストールして実行し、「自動設定」という項目で常駐を外したり、戻したりすることができます。「窓の手」はWindows98用も、XP用も両方あります。
WindowsはマルチタスクのOSです。しかし空き物理メモリーが不足すると処理速度が大幅に低下します。常駐ソフトの問題は、ウィルスバスター2001のようにソフト自身の動作が障害となることに加えて、常駐ソフト間のトラブルや常駐ソフトが多いとメモリーを使い切ってしまうということもあります。
最近WindowsXPで実効速度がでない事例が多くなってきているように思います。
XPでは、MTU、RWINの設定は問題ないので、WindowsXP以外のパソコンを接続してみて問題がない場合は、このメモリー不足の問題を含めて常駐ソフトの問題と次のLANカードの問題が案外多いのではと思います。
2-14 LAN接続上の問題と対策
LANケーブルの装着不良、LANカードのドライバのトラブルは時々あることです。
その疑いがあれば、案外別のパソコンを接続してみることで早く目処が立ちます。
取り合えずLANケーブルの装着を確認してみて正常であれば、次は正常にドライバがインストールされているかどうか確認します。
ドライバの確認は、デバイスマネージャでネットワークアダプタのLANカード名のところにXや!マークがついてなく、そのプロパティーを開き「このデバイスは正常に動作しています」と表示されていれば一応問題ないのですが、それでも中には最適なドライバがインストールされていないということがあります。
LANカードを装着してパソコンの電源を入れると、新しいハードウェアをWindowsが自動認識しますが、自動認識では最適なドライバがインストールされない場合があります。
この場合、一旦デバイスマネージャのネットワークアダプタのLANカードに該当するものを削除し、パソコンを再起動して、ドライバのある場所を指定してインストールし直す必要があります。LANカードのマニュアルがあれば、ドライバのインストール手順が説明してあるので従ってください。
稀なことでしょうが、中には、Windowsが一旦不適切なドライバを読み込んでしまうと、再度LANカードを装着し直してから、適正なドライバをインストールしなければならない場合もあります。特に古いWindowsのPNP(プラグアンドプレイ)機能は弱く、誤って一旦読んだドライバを頑固に正しいと信じてしまうのです。
特にLANがオンボードでない場合は要注意で、一旦取り外し、再装着後にパソコンの電源を入れ、ドライバを再インストールしてみてください。
WindowsXPの場合でも、XPの発売された時期より後に製品化されたLANカードなどのデバイス(パーツ)を使うときは、専用のドライバを用いるのが基本です。
また逆に少し古いLANカードでも、不具合があってドライバの修正バージョンや、WindowsXP対応のドライバが追加で提供されたりします。
WindowsXP対応のドライバではないとか、後で解った不具合が修正されているバージョンではないとか、またそもそもWindowsが誤ったドライバを自動認識しているという可能性もあります。WindowsXPにアップグレードしたなど場合によっては、最新の障害のないドライバかどうかパソコンメーカーやメルコ、コレガなどサードパーティーのサポートページで確認する必要があります。
LANカードとADSLモデムの相性問題があるときは、LANカードを取替えればよいのですが、ノートパソコンなどオンボードLAN機能のパソコンでは、別のLANカードを使うことができない場合があります。
この場合、LANカードとトラブルが出ないブロードバンドルータを間に挟むことにより解決することがあります。今では有線ルータは低価格で5000円ぐらいからあり、LANカードの相性問題がどうしても解決できないときの窮余の策となることがあります。LANカードとルータとの相性問題もありますので、メーカーのホームページで確認するなど注意が必要です。
LANカードのドライバの再インストール後は、「1- 9 Windowsのネットワークの設定」を確認してください。
2-15 パソコン、LANカードなどハードの問題
パソコンのスペックが低いので買い換える必要があるのかとの質問がありますが、インターネットへの接続速度は、CPUの処理能力がそれほど問題ではなく、まずWindows98以降のパソコンであれば問題がないはずです。
動画のストリーム再生などを主用途にする場合は、特にメモリー容量とビデオカードの性能が影響しますが、何もネットに限らずDVDやゲームをすれば同じように力不足と感じるでしょうから、もしそうであれば買い換えてもと思います。
しかし、ホームページを閲覧することが主であれば、せいぜいメモリーを増設するぐらいで十分です。それも空き物理メモリーを確認して余裕があれば必要のないことです。
LANカードは、100BASE-TXに対応しているものであれば問題ないのですが、まれに古いカードで10BASE−T対応であればネックとなっている可能性もあり、取替えてみてはと思います。LANカードなどネットワーク機器は、LANケーブルで接続する機器どうしで相性の問題がおきやすいので、同じメーカーのものを使うのが無難ですが、ADSLモデムは回線業者の指定のためそうは言ってられないのです。
どうせ購入するのであれば、ADSLモデムとの接続で動作検証済みのものが無難です。
(参考 2-14、1-8参照)
2-16 無線から有線接続への変更
実効速度が5Mbpsぐらいまでであれば、無線LANでも有線LANでも通信速度はほとんど変わりません。しかし5Mbps以上の速度が出る環境であれば、無線LANがネックとなることもあります。
無線LANでも、IEEE802.11a規格や最近のIEEE802.11g規格(2003年6月に承認)対応の機器を使用しているのであれば問題ないのですが、かつて主流であったIEEE802.11b規格の製品の場合は、最大11Mbpsといっても実効スループットはせいぜい5Mbpsぐらいまでと言われています。私の環境では、IEEE802.11b規格の製品を使用してますが、実効速度が3Mbpsに届かないので全く有線、無線の速度差はなく、確認しようがないのです。
リンク速度がフルリンク(実効速度で8Mbps以上)なのに、無線での実効速度が5Mbps止まりであったり、有線から無線に変えて速度が遅い場合は、やはり無線LANがネックでしょう。
速度にこだわるのであれば、有線に変えてみて速くなるようであれば、そのまま有線で使うかIEEE802.11g規格(規格上最大54Mbps、実効スループット20Mbps台)対応の機器に買い換えるよりないのです。
なお、ADSLが高速24M・26Mサービスまたは40M・45Mサービスを利用していて、リンク速度が10Mbpsオーバーの場合は、IEEE802.11b規格の機器では役不足です。
特に40M・45Mサービスでリンク速度が30Mbps台であれば、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格の機器でもネックとなることがあり、両規格でも「SuperA/G」や「SuperG」対応の高速モデルを選ぶと無線LANでもボトルネックとならないでしょう。
ADSLの実効速度で整理すると、
5Mbps以下は、IEEE802.11b規格の製品で対応可能
5Mbps〜20Mbpsは、IEEE802.11a規格やIEEE802.11g規格の製品で対応可能
20Mbps以上は、IEEE802.11aや802.11g規格の製品でも「SuperA/G」、「SuperG」を選択
が目安です。
また無線LAN機器の電波強度が弱い場合は、最大通信速度11Mbpsが5.5Mbpsや2Mbpsに下がってしまいます。コンクリート壁や金属ドアに弱く、一般家庭では普通は電波強度は強いと思いますが、もし弱ければ、無線アクセスポイントやパソコンの位置を変えて確認してみてください。
詳しくは「無線LAN利用ガイド」というファイルで説明しており、目を通してみてください。
接続不可または速度が異常に遅いときの想定される原因
2-17 トラブル原因の推定
(最初から一度も接続できない場合)
最初から全く一度も接続できない場合は、その原因は、まだ開通していない、配線方法が間違っているということも含まれるでしょうから、使っていて突然利用できなくなったときより、はるかに多くの原因が考えられます。
ドアホンなど電話回線を共用するサービスの問題、ガス自動検針の利用による弊害、 ACR・LCR(電話会社選択サービス)による障害、複数のモジュラージャックによるトラブル、LANカードのドライバの不具合、セキュリティーソフトなど常駐ソフトによる障害などリンクに支障のある問題は多く、しかも単独でなく複数の問題がある場合があります。
真っ先に配線の接続を見直し、ADSLモデムのLEDランプの点灯状況を確認して、リンクしてないようであればADSL各社のサポートに照会するよりないのです。特に無料で訪問設定サポートをしている業者であれば、その訪問サポートを受けてください。
なおリンクしなくて配線を確認するときは、スプリッタを使わないで、モジュラージャックから直接モジュラーケーブルでADSLモデムに接続してみて、リンクするかどうか一度試してみるとよいのです。
またサポートに連絡する前に、ADSL通信に障害となる要因が屋内にあるのかどうか調べておくと、サポートとのやりとりがスムースにでき、早く解決できるのではと思います。以下のガス自動検針、ドアホン、スカパーの利用、ACR、LCRなどADSL通信に障害のある問題がないか確認してください。
また電話でサポートを受ける場合は、やはり先に調べておく必要があります。
なおYahoo!BBの場合は、確認のため「お助けウィザード」を利用することをお勧めします。
(速度が異常に遅い場合)
最初からリンクしてもISDN並など速度が異常に遅い場合は、距離があまりにも遠くて止むを得ないことや、パソコン側のトラブルということもあります。
NTT収容局からの距離を測定し、リンク速度を確認して、距離が近いのにリンク速度が異常に遅い場合は、やはりADSL通信に障害となる要因があるか、屋外回線に問題がある可能性があります。
なお、大幅な速度低下でも、ADSLモデムのLEDランプが正常に点灯しているのであれば、まずモデムの電源の入れ直しを試してみてはと思います。何ヶ月も電源を入れたまま使用してきて、ノイズの影響で遅くなっている事例もあります。この場合は通常は徐々に速度が低下してきているのです。
(突然接続できなくなった場合)
正常に使用してきて突然接続できなくなったという場合は、知らないうちに家族がガス警報システムやスカパーに申込んだということもあるのかもしれませえが、普通は後からリンクしなくなることはあり得ないことです。
まず、モデムのリンク時に点灯するLEDランプを確認し、消灯しているようであれば、NTT局からADSLモデムまでのトラブルであり、ADSLモデムの電源を入れ直してLEDランプが消灯したままであれば、サポートに連絡してください。
なお、IPアドレスが取得できていないというトラブルが稀にあります。この場合、パソコンやルータのIPアドレスの開放、再取得の方法が解らなければ、パソコンやルータを再起動してみてください。
Yahoo!BBの場合、パソコンやルータの設定が正常でも、IPアドレスが取得できないことがあり、一旦ADSLモデムの電源を切り、半日以上放置し、再度モデムの電源を入れて、パソコンを起動するとIPアドレスが取得できることがあります。
これでモデムのLEDランプが消灯したままであれば、サポートに連絡するよりないのです。
またADSLモデムは正常にリンクしていても、パソコンに何かソフトをインストールしたためということも考えられます。一度別のパソコンを接続してみると、原因の切り分けに役に立つ場合があります。
2-18 ガスの自動検針による障害と対策
ガスの場合、「自動検針システム」と言わず、ガス漏れ通報セキュリティー機能を含め「ガス漏れ警報システム」とか「集中監視システム」と呼ぶこともありますが、いずれも通常電話回線を使用しており、ADSLの障害となることは同じです。
我が家の場合もそうですが、ADSLモデムが届き設置すると、ガス会社にガス検針信号が届かないという事態になることもあり、ガス会社の方からシステムが異常ということで連絡がありました。もし連絡があれば、ADSLを申し込みモデムを設置したと伝えれば、すぐに無料で対応されると思います。
基本的には、屋外壁に設置してある保安器からモジュラージャックを介してスプリッタまでの間に何も挟まないことが原則で、これで問題がないのです。
しかしガスの自動検針の場合は、一旦屋内に引き込んだ回線を再度外壁に戻すことは難儀なことなので、屋内に引き込む前にADSLアダプタを挟み回避するという措置が多いのではと思います。我が家の場合、このアダプタを取付けることで速度的にも問題がなく、とにかくガス会社に連絡することを勧めます。
疑いがあれば、料金引き落としの葉書に記載されているサービスセンターにすぐに確認してください。自動検針であれば、後はガス会社に任せれば良いのです。
2-19 ドアホンを利用している場合の対策
ドアホンの場合は、ドアホンアダプタがみつかるかどうかです。
ドアホンアダプタが確認できれば、アダプタのINに接続されている外からの回線をスプリッタのINに接続し、スプリッタの電話機側OUTから、ドアホンアダプタのINにモジュラーケーブルを繋げば完了で、簡単に自分でできます。
なおYahooの12Mトリオモデムの場合は、スプリッタがモデムに統合されており、まず外からの回線をモデムに接続し、モデムのPHONE端子からドアホンアダプタのINにモジュラーケーブルを繋げば良いのです。
ドアホンアダプタが見つからない場合は、電話工事業者に依頼する必要があります。
2-20 スカパーを視聴している場合の対策
スカパーのPPV(ペイ・パー・ビュー)を見るなど一部サービスを利用するためは、スカパーチューナーに電話回線を接続する必要があり、モジュラーケーブルの配線の仕方が問題となります。
対策としては、スプリッタで分岐後の通話回線側から電話機への回線とスカパーへの回線に分岐させることが原則です。
なおYahoo12Mトリオモデムを使っていてスカパーを利用する場合は、別途分配器とスプリッタを購入し、モデムの前に分配器を入れてスカパーへの回線を分岐させ、スプリッタを挟んでスカパーチューナーに接続することとYahooのサポートページに書かれています。これはADSLはともかくスカパーのPPVの視聴に支障があるからで、そもそもPPVを見なければ外してしまえば良いのです。
Yahooの説明ページ http://bb.softbankbb.co.jp/support/tech/trouble_shoot/021.php
2-21 ACR、LCRを利用している場合の対策
ACRやLCRという電話会社選択アダプタを使用していると、電話で通話中しかADSLが繋がらないという症状になることが多いようです。
そのため、携帯電話からでも自宅の電話にかけ受話器を取って通話中とし、接続可能であればACRやLCRが疑わしいのです。なお距離が近いなど条件が良い場合は、かろうじて通話中でなくてもリンクしており、速度が異常に遅いという状況である可能性もあり、その場合は、通話中にして速度を測定してみると良いと思います。
対策としては、電話機のマニュアルを見てACRやLCRの機能を切り、電話会社に連絡してサービスの利用を止めることです。
2-22 屋外での要因と対策
(ブリッジタップ外し、回線収容替え)
NTT収容局から自宅の保安器までの屋外回線に問題がある場合は、ユーザーは自分で対応できなく、回線業者やプロバイダを通してNTTの回線調査を申込み、その結果を踏まえてブリッジタップ外しや回線の収容替えで改善する余地があるのかどうか判断することになります。
こうした回線調整工事は全く効果がなかった場合は、無料となるのですが、何も工事をしなくてもリンク速度で200Kbps程度の差は変動する範囲であり、費用に見合う効果があるのかどうかです。
しかしリンクしない場合は、もし工事の結果リンクするようになれば、ADSLの常時接続環境が手に入るのです。
またリンクしても速度が1Mbpsに届いてない場合は、最近のブロードバンドコンテンツを利用するために例え100Kbpsでも明らかに改善するのであれば、コスト負担の価値がある場合もあるのでしょう。
特に同一カッドにISDN回線が収容されている、また影響が大きいと想定される位置にブリッジタップがあるというように、ある程度効果も期待できる状況であれば、結果は工事しなければ解らないので後は決断です。
都会であれば光通信サービス待ちという選択支もあるのでしょうが、田舎では遠い将来に来るのかどうかも解らないのです。NTTのFTTHもある程度まとまった申込みがある地域から導入するという方針に傾いてきているようで、光通信サービスの設備も需要が見込めないNTT局には入らなく、地方では先行き明るくないのです。
(保安器の交換)
保安器が6PT(最近1年ぐらいのものは問題ない)というタイプの場合、電話着信時にADSL通信が切断するという症状が出ます。保安器の交換も、回線業者やプロバイダを通してNTTに申し込むのですが、電話の着信時に一時的に切断するだけであり、電話がよく掛かってくる家でなければ放っておいても差し支えないのです。
しかし電話が頻繁にかかってくる、重要なファイルをダウンロードすることが多いなどで気になる方は、有料でも7665円(NTT西日本サポートページの回線調整をクリック)とそれ程負担も大きくないので交換してください。
(回線調整)
プロバイダに回線調整を依頼したら接続が安定するようになったということもあります。
ノイズマージン(ノイズに対する余裕)を大きくすると、速度は少し犠牲になっても接続が安定するようになるのです。むしろ切断が多いなど接続が安定しないときは、サポートに連絡し回線調整を依頼すると良いでしょう。
なおアッカの場合、富士通モデムなど一部のモデムでは、速度が遅くて安定しない場合にFBMモードに切り替える機能があります。モデム側で切り替えできるのは便利なことですが、FBMモードではリンク速度が下り最大3424Kbps、上り416Kbpsと大幅に制約されるため、極めて限られた悪条件の場合に、接続が安定したり速度が向上したりする可能性があるということのようです。
かつて、速度が遅いとサポートにクレームを言うと、調整の結果少し速度は速くなったものの接続が不安定となり、ファイルのダウンロードの失敗が多いなど使いにくくなったという事例がときどきありました。
通信速度と接続の安定はパラドックスという面があって、回線調整では、接続も安定し速度も速くなるというように都合良くはならないものです。