1-1 無線LANの規格
1-2 無線LAN機器の種類
1-3 高速無線LANルータ ・・・ 無線スループット100Mbpsオ−バー
1-4 無線LANルータ
1-5 無線LANUSBアダプタ
1-6 無線LANカード
1-7 その他の無線LAN機器
2 無線LAN機器の接続設定
2-1 無線LAN機器の接続
2-2 無線LAN機器の設定
<はじめに:無線LANセキュリティ>
家庭で無線LANを使うことが多くなって、電波の傍受の問題など無線LANセキュリティーの確保が一層重要となっており、通信機器業界団体であるJEITA(社団法人電子情報産業技術協会)が、「無線LANセキュリティに関するガイドライン(改訂版)」を発表しています。
無線LANはセキュリティーが心配と思われるかもしれませんが、世間を騒がすパソコンのセキュリテーホールとかウィルスなどは有線接続でも同じように注意しなければならないことであり、無線であるがゆえのセキュリティの問題は、電波の傍受や無線LANへの他人の侵入を防ぐことです。
要は、特定のパソコンしか無線接続ができないように設定することと、通信データを暗号化することが対策であり、無線LAN関連の業界団体である「Wi-Fiアライアンス」が簡単設定の世界標準の仕様として「WPS(Wi-Fi Protected Setup)」を策定し、2007年1月からWPS対応機器の認定を始めており、最近の無線LAN機器はWPSに対応しビギナーでもセットアップが簡単になっています。
なお、JEITAの「無線LANセキュリティに関するガイドライン」では、メーカー各社の用語の統一を図ろうとしており、専門用語がよく解らないときには、この付4の用語解説や用語説明一覧に目を通されることをお勧めします。
1 無線LANの規格と機器の種類
1-1 無線LANの規格
無線LANの規格は、現在IEEE802.11b/g/n(ドラフト2.0)規格の製品が主流です。
規格としては、IEEE802.11bという規格から、2003年にIEEE802.11g規格に発展し、さらに2006年夏ころからマルチアンテナ仕様のIEEE 802.11nドラフト(草案)準拠を謳う製品が登場し、Wi-Fi AllianceのIEEE802.11n規格の正式な承認がされないまま、2007年6月に11n規格ドラフト2.0での相互接続認定プログラムが開始され、すでにドラフト2.0に対応する製品が主流となっています。
このIEEE 802.11n規格の正式な承認は2009年9月の予定ですが、2009年7月下旬にWi-Fi Allianceが、「Wi-Fi Allianceは、9月のアップデートで802.11n認証テストの基本要件を変更しないと確定します」と題して、IEEE802.11n Draft2.0認証テストを合格した製品は、再テストせずに正式対応製品として認証するという方針を発表しており、これを受けてメーカー各社も802.11nドラフト2.0認証済みの製品はすべてIEEE802.11n規格の正式対応と発表しています。
2009年9月の規格の最終承認後の認証テストは、いくつかの細かな任意の追加オプション機能の相互運用性テストのサポートが加わるものの、既存の802.11nドラフト2.0認証済み製品との相互運用性が維持され、11n規格での相互通信に支障はなく、また下位互換性が維持され11g規格と11b規格の製品もサポートしていて接続可能となっています。
この3種類の規格は、同じ2.4GHz帯の周波数を使用していて、その違いは通信速度にあり、11bでは理論値最大11Mbps、11gでは最大54Mbps、11nドラフト2.0では最大300Mbps(2チャンネル分の40MHzの帯域を使用)がベースと速くなっており、今でもIEEE802.11g規格までの製品も販売されていますが、家庭用で新しく購入するのであれば、もちろん速度が速く安定性が優れているIEEE802.11n規格の製品を購入した方が良いでしょう。
また5.2GHz帯を使用するIEEE802.11a規格の製品もありますが、2005年春に欧米各国で使用している周波数に合わせるため、「5GHz帯の無線LANの使用する周波数を変更する手続き」が行われ、現在は新しい5GHz帯の802.11a規格となっています。
この802.11a規格のみに対応する製品は販売されていませんが、802.11a、802.11b、802.11g、802.11nドラフト2.0の4規格対応機種は、集合住宅や電波環境が良くなくて2.4GHz帯での電波干渉の問題がある場合に、5.2GHz帯を使用することで、実効ベースで安定した通信速度が得られる可能性があります。
家庭内の無線LANの実効ベースでの通信速度については、規格上の理論値を大きく下回り、802.11g規格で理論値の50%の20Mbps台、理論値最大300Mbpsの802.11n規格で30%以下の100Mbpsに達しないことも普通であり、さらに無線通信距離や障害物など環境によって速度が大きく低下します。
外部に接続するインターネット通信回線も、環境によって理論上の通信速度を大きく下回ることが多いのですが、FTTH(光)回線など高速回線を利用している場合は、家庭内の無線LANの実効ベースでの通信速度がボトルネックとなる可能性があります。
つまり、ADSL回線を利用しているのであれば無線実効スループットが20Mbps台の802.11g規格の機器でも十分なケースもありますが、FTTH回線では802.11n規格の対応機器でも有線接続と比べて無線接続で速度が低下する可能性があります。
執筆時点で各社の802.11n規格の最新機器は、無線実効スループットが100Mbpsオーバーの高速モデルが発売されるようになってきており、FTTH回線など高速回線で802.11g規格までの無線LAN機器を利用しているのであれば買い替えた方が良いでしょう。
これまで筆者は、802.11b、802.11g、802.11nドラフトと2年半程度のサイクルで無線LAN機器を買い替えてきましたが、ようやく最新の無線LAN機器で、有線LANに対する速度面での大きなハンディーが無くなったという状況です。
また詳しくは後述しますが、無線LANのセキュリティ機能の実装も、IEEE802.11i規格の制定を受けてWPA2-PSK(AES)のサポートが業界標準となっており、さらに接続設定もWPS(Wi-Fi Protected Setup)対応によりセットアップが簡単になり、今から購入する機器は、10年近い発展期を経て標準化が進み技術的にも完成形に近くなってきていることから長い期間使用できるでしょう。
1-2 無線LAN機器の種類
無線LANを利用するためには、一般的には親機として無線LANルータと子機としてパソコンの台数分の無線LANカードまたは無線LANアダプタを用意します。
無線LANの親機は、アクセスポイント機能とルータ機能を併せ持つ無線LANルータと、無線LANアクセスポイントとありますが、2〜3年前からホームユース向けの無線LANアクセスポイントが製品化されなくなり、新しい802.11n規格をサポートする親機は無線LANルータを選ぶことになります。
最近では、ルータタイプのADSLモデムやFTTH端末を使用していることも多く、その場合は無線LANアクセスポイントで十分ですが、世代の古い802.11g規格の無線LANアクセスポイントでは通信速度が遅いとなると無線LANルータを使うことになり、トラブルを避けるために無線LANルータのルータ機能をOFFにして使用することになります。
また、かつては有線LANルータと無線LANアクセスポイントを別々に買うという選択肢もありましたが、ホームユースの無線LANルータは有線LANポートも4ポート備えている機種が多くなり、有線LANルータの必要性もなくなっています。
筆者が最初に自宅で無線LAMを導入したときは、Yahoo!BB導入時からCoregaの有線LANルータを使用していたため、I-O DATAの802.11b規格の無線LANアクセスポイントを追加して接続しています。
Yahoo!BBのADSLモデムがルータ機能が無いブリッジタイプのため、ルータ機能付きの無線LANルータを購入しても良かったのですが、当時はYahoo!BBでインターネット回線の実効速度が2.4Mbps程度であり、それで十分でした。
その後、ファイルの共有などLAN内での有線と無線の通信を高速化するため、802.11g規格の高速化技術「SuperG」対応のCoregaの無線LAMルータ「CG-WBAEGS」に交換しました。
そして、2006年11月にインターネット回線としてフレッツ光プレミアムを導入して有線で77Mbps程度の速度で接続でき、無線LAMがボトルネックとなりました。
当時は、米Airgo Networks社の技術でアンテナを増やして理論上は802.11g規格の倍の最大108Mbpsの通信速度を誇る「MIMO(Multiple Input Multiple Output)」搭載機が発売されており、これが802.11n規格の技術的な前身となるのですが、まだMIMOでの他社製機器との互換性が保証されないことやFTTHで利用するためには速度も不十分という印象でした。
802.11n規格に準拠した2チャンネル分の40MHzの帯域(2007年6月に電波法施行規則の改正で実現)を使用し理論値300Mbpsのモデルが各社から発売されるようになって、速度的には大きく改善しており、このBuffaloの「WZR2-G300N」に換装しています。
右の画像の、一番左がBuffaloの「WZR2-G300N」、その右がFTTH端末(CTU)、その右が光電話VoIPアダプタで、一番右がCoregaの「CG-WBAEGS」です。
「CG-WBAEGS」は、他メーカーの無線LANアダプタが「WZR2-G300N」と相性が悪いといけないので予備として残しています。
しかし現実には、「WZR2-G300N」に安定して接続ができない無線LANアダプタはないため、「CG-WBAEGS」の電源を入れる必要はなさそうです。
フレッツ光プレミアムのFTTH終端装置(CTU)はルータ機能付きのため、無線LANアクセスポイントで十分ですが、光回線の通信速度に概ね対応できる802.11n規格の機器として無線LANルータを選んでいます。
無線LANアクセスポイントの新モデルが発売されなくなった一因が、無線LAN機器の価格の低下であり、安い価格で新規格の無線LANルータが発売される中で、さらに安い価格でニーズの少ない無線LANアクセスポイントを製品化することは難しいのでしょう。
パソコン側の子機は、ノートパソコンでCardBus対応PCカードTypeIIスロットがあれば、無線LANカードが使え、この場合は無線LANカードでも良いでしょう。
デスクトップパソコンの場合は、無線LANアダプタの接続インターフェースの種類によって、USB接続の無線LANアダプタ、PCIバス用の無線LANアダプタ、LANコネクタ用の無線LANアダプタとあり、最近では無線LANUSBアダプタが使い易く種類も多くなっています。
特に、USB2.0接続の無線LANアダプタは小型スティックタイプの製品が各社から発売されています。
右の画像の左から順に、I-O DATA、Corega、プラネックス、Buffaloの無線LANUSBアダプタで、うちプラネックス、Buffaloの無線LANアダプタは300Mbps対応802.11n規格準拠の製品です。
I-O DATAとCoregaの無線LANアダプタは802.11g規格で、プラネックスとBuffaloの無線LANアダプタは802.11n規格でBuffaloの親機と通信が可能です。
USB接続の小型スティックタイプの無線LANアダプタは、デスクトップパソコンでもノートパソコンでも手軽にワイアレスLANが使用可能なため売れ筋となり、価格も安くなってきています。
なお2枚の無線LANカード(アダプタ)だけで、アクセスポイントを使用しないアドホックモード(無線LANパソコン間 Peer to Peer通信)で使えるタイプのLANカードもありますが、ファイルの共有など2台のパソコン間での通信には便利でも、インターネットを利用するためには向いていません。つまりアクセスポイントとアダプタ間で通信するインフラストラクチャーモードで使うことが原則です。
1-3 高速無線LANルータ
2001年にYahoo!BBがADSLに参入し、その後ADSL、CATV、FTTHと急速にブロードバンド回線が普及し、高速なブロードバンド回線を導入した家庭で複数台のパソコンを無線で接続するためのルータとして、一般家庭で無線ブロードバンドルータが使われ始めました。
そして2005年頃からブロードバンド回線は、FTTH(光)回線の利用者が顕著に増加し始め、2008年夏にはADSLよりFTTHの契約者数が多くなり、現在はパソコンのギガビットLAN対応も進み、ホームユース向けFTTH回線でも通信速度100Mbpsオーバーのサービスが提供され始めていることから、将来に亘って長く使用するのであれば、有線実効スループット、無線実効スループットともに、より高速な無線LANルータが望ましいでしょう。
特に無線実効スループットは、規格上の理論値を大きく下回る中で、理論値300MbpsのIEEE802.11n規格の無線LANルータの中でも、無線実効スループットが100Mbpsオーバーの高速モデルが現状ではベストです。
なお、今でも無線ブロードバンドルータという名称を使用しているメーカーもありますが、無線ブロードバンドルータいう名称は、ブロードバンドという言葉が流行し始めたために使われ、今ではWAN側の回線の総称をLAN機器の用語の一部として使うことがそぐわない感じがしますので、単に無線LANルータという名称を使うことにしました。
メーカー | 機種型番 | メーカー価格 (実勢価格) |
特徴・機能・メリット |
---|---|---|---|
Buffalo | WZR-HP-G300NH | 14,280円 | 無線スループット121.7Mbps USBコネクタ搭載 有線ギガビットLAN対応 マルチセキュリティ機能搭載 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 |
無線LANUSBアダプタセットモデル WZR-HP-G300NH/U 18,690円 |
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Corega | CG-WLR300GNH | 9,975円 | 無線スループット最大157.9Mbps USBコネクタ搭載 マルチSSID(2つ)設定可能 有線ギガビットLAN対応 WPSワンプッシュ・ワンクリック設定 アンテナ内蔵 |
無線LANUSBアダプタセットモデル CG-WLR300GNH-U 13,440円 |
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PLANEX | MZK-W300NH | 7,980円 | 無線スループット124Mbps マルチSSID(4つ)設定可能 WPSボタン搭載 壁面に取付可能 |
無線LANUSBアダプタセットモデル MZK-W300NHPU 9,980円 |
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Buffalo | WZR-AGL300NH | 14,280円 | 11a/nと11b/gの同時利用可能 無線スループット121.3Mbps(11n/a)無線スループット120.0Mbps(11n/g) 有線ギガビットLAN対応 マルチセキュリティ機能搭載 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 |
無線LANUSBアダプタセットモデル WZR-AGL300NH/U 21,000円 |
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Corega | CG-WLR300NNH | 15,225円 | 11a/b/g/nの4規格同時利用可能 無線スループット138.1Mbps(11n/a) 無線スループット130.2Mbps(11n/g) USBコネクタ搭載 有線ギガビットLAN対応 マルチSSID(2つ)設定可能 WPSワンプッシュ・ワンクリック設定 アンテナ内蔵 |
無線LANUSBアダプタセットモデル CG-WLR300NNH-U 20,790円 |
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PLANEX | MZK-W300NAG | 12,390円 | 11a/nと11b/g/nの切替え利用可能 無線スループット119Mbps マルチSSID(4つ)設定可能 有線ギガビットLAN対応 WPSボタン搭載 アンテナ内蔵コンパクト |
NEC | PA-WR8500N | オープン (12,000円) |
11a/nと11b/g/nの自動切替え 無線スループット189.0Mbps(11n/a) 無線スループット164.2Mbps(11n/g) 有線ギガビットLAN対応 マルチSSID(2つ)設定可能 らくらく無線スタートWPS対応 アンテナ内蔵コンパクト |
IEEE802.11n規格の理論値最大300Mbpsを謳うモデルは、使用する周波数帯域が倍の40MHzの帯域に対応しており、各社では「倍速モード」、「ダブルチャンネル」、「デュアルチャネル」、「ワイドバンド」などと表現していますが、同じ理論値最大300Mbpsであっても、送信アンテナと受信アンテナの本数が多い方が速いなどハードウェアの設計が異なることから実際の無線スループットはある程度差があります。
上の表では、各社のサイトに掲載されている無線スループットの最大実測値であり、実測値の測定方法は、各社とも概ね無線LAN親機に有線接続されたパソコン上のデータを無線LAN子機(無線LANUSBアダプタまたは無線LANカード)の装着されたパソコンに転送する速度が測定されています。
測定環境が同一ではないため、比較してどちらが高速かの確証はないのですが、各社ともあえて不利な測定値を公表することはないでしょうから最大実測値は一つの目安となるでしょう、
無線スループットが高速なことで目を引くのは、NECアクセステクニカの「PA-WR8500N」とCoregaの「CG-WLR300GNH」ですが、「PA-WR8500N」は無線LANUSBアダプタとのセットモデルが発売されていないこと、「らくらく無線スタート」機能があってもWPSへの対応が不明なことが難点です。
この「PA-WR8500N」とBuffaloの「WZR-AGL300NH」、Coregaの「CG-WLR300NNH」、PLANEXの「MZK-W300NAG」の4モデルは、2.4GHz帯と5GHz帯の両方使用できる802.11a/b/g/nの4規格に対応しており、うち2.4GHz帯の11b/g/nと5GHz帯の11a/nを切り替える必要がなく常時同時利用が可能なモデルは「CG-WLR300GNH」のみ、Buffaloの「WZR-AGL300NH」は11a/nと11b/gの同時利用が可能で11b/g/nへは切り替えが必要です。
5GHz帯の11a/nと2.4GHz帯の11b/g/nのどちらが高速に接続できるかどうかは、次のような特質をベースとして使用環境によって異なります。
1 近い距離では11a/nが少し速度が速い。
2 距離が遠くなっても11b/g/nは速度の低下が少ない。
3 近隣の無線LANなどの電波干渉の影響を11a/nは受けにくい。
4 11b/g/nは障害物による速度の低下が少ない。
つまり集合住宅などで近隣の無線LANなどの電波干渉が心配であれば、5GHz帯の11a/nもサポートするモデルが適しており、11a/nと11b/g/nの同時利用が可能なモデルが最善です。
また、高速モデルでは親機だけでなく子機も高速でなければ十分な性能が発揮できないため、親機を購入する際にはセットモデルが好ましく、Coregaのセットモデルである「CG-WLR300NNH-U」が子機の無線LANUSBアダプタ「CG-WLUSB300AGN」との実測値で無線スループット最大131.8Mbpsと高速であり、「CG-WLR300NNH-U」がベストでしょう。
一戸建て住宅などで近隣の電波干渉が心配ない場合は、2.4GHz帯の802.11n規格での速度の方が速いことも多く、2.4GHz帯のみ使用する802.11b/g/n規格の機器で十分であり、最近では各社とも新しい製品は2.4GHz帯のみ使用するモデルが多いというように力を入れています。
この無線LANUSBアダプタのセットモデルは、Buffaloの「WZR-HP-G300NH/U」、Coregaの「CG-WLR300GNH-U」、PLANEXの「MZK-W300NHPU」の3モデルがあり、うち無線スループットが最も高速な製品が「CG-WLR300GNH-U」、価格が安いのが「MZK-W300NHPU」となります。
Coregaの「CG-WLR300GNH-U」は、子機の無線LANUSBアダプタ「CG-WLUSB300GNM」との実測値で無線スループット最大157.9Mbpsと高速であり、有線スループットも実効FTP測定値が248.2Mbpsと速く、各社の高速モデルの中でもトップレベルです。
このCoregaの「CG-WLR300GNH-U」とBuffaloの「WZR-HP-G300NH/U」の親機はUSBコネクタを搭載しており、USBコネクタにHDDを接続して、家庭内の共有HDDとして写真、ビデオ、音楽などを保存してLAN内のパソコンから利用できることが便利であり、うちBuffaloの親機は「Webアクセス」機能を搭載しており、外出先からも共有HDDにアクセスするという使い方をするのであれば使い易いでしょう。
PLANEXの「MZK-W300NHPU」は、USBコネクタがなく有線ギガビットLANに対応していないものの、マルチSSIDに対応し、WPSボタンを搭載するなど無線通信の基本機能はしっかりとしており、セットモデルで1万円を切るというように価格が安いことが魅力です。
将来的には、親機を買い換えていくことを考慮すれば、コストパフォーマンスも重要でしょう。
1-4 無線LANルータ
IEEE802.11nドラフト2.0規格対応の無線LANルータは、2009年7月末に正式な802.11n規格として認証されることが発表されており、互換性の心配も無く各社とも主力モデルとなっており、無線実効スループットが100Mbps未満でもコストパフォーマンスが良いモデルや使い易い小型サイズのモデルなど多くの機種が発売されています。
メーカー | 機種型番 | メーカー価格 (実勢価格) |
特徴・機能・メリット |
---|---|---|---|
Buffalo | WHR-HP-G300N | 12,075円 | 無線スループット93.6Mbps マルチセキュリティ機能搭載 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 可動範囲が広い可変アンテナ搭載 |
WHR-G300N | 9,975円 | 無線スループット93.5Mbps マルチセキュリティ機能搭載 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 アンテナ内臓、薄型、小型ボディー |
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Corega | CG-WLR300N | 8,925円 | 無線スループット91.1Mbps 前面にUSBポート搭載 マルチSSID(2つ)設定可能 WPSワンプッシュ・ワンクリック設定 アンテナ内蔵小型ボディー |
CG-WLBARAGNL | 8,925円 | 11a/nと11b/g/nの切替え利用可能 無線スループット81.2Mbps マルチSSID(2つ)設定可能 WPSワンプッシュ・ワンクリック設定 アンテナ内蔵 |
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PLANEX | MZK-WNH | 5,980円 | 無線スループット96.8Mbps マルチSSID(4つ)設定可能 WPSボタン搭載 アンテナ内蔵コンパクト |
MZK-MF150W MZK-MF150B |
7,980円 | ルータ・アクセスポイント・コンバータ マルチSSID(4つ)設定可能 WPSボタン搭載 アンテナ内蔵超小型ボディ |
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I-O DATA | WN-GDN/R3 | 8,925円 | 無線スループット91.8Mbps ダブルワイヤレス機能搭載 WPSセットアップボタン搭載 |
NEC | PA-WR8150N | オープン (7,500円) |
無線スループット91.3Mbps マルチSSID(2つ)設定可能 らくらく無線スタートWPS対応 省エネECOモード搭載 アンテナ内臓 |
PA-WR4100N | オープン (5,700円) |
無線スループット79.2Mbps マルチSSID(2つ)設定可能 らくらく無線スタートWPS対応 省エネECOモード搭載 アンテナ内臓コンパクト |
FTTH回線を使用している場合でも、一般的な最大100MbpsのFTTH回線であれば実効回線速度が70Mbos台で速い方であり、無線実効スループットが70〜90Mbps台の無線LANルータでボトルネックとなることは滅多にないでしょう。
Buffaloの「WHR-HP-G300N」は、無線スループット最大93.6Mbpsであっても少し距離が離れている1階と2階など条件が悪いと、むしろ上位の「WZR-HP-G300NH」より速いぐらいと距離や障害に強く、最大100MbpsのFTTH回線用には十分な速度でコストを抑えたモデルです。
Coregaの「CG-WLR300N」、I-O DATAの「WN-GDN/R3」、NECの「PA-WR8150N」も同じようなコンセプトであり、うち「CG-WLR300N」は前面にUSBポートを搭載しアンテナを内蔵する小型ボディー(W27×D135×H125mm)と今どきのトレンドの製品でしょう。
アンテナ内蔵のコンパクトなモデルとしては他に、Buffaloの「WHR-G300N」が薄型ボディー(W25×D127×H140mm)が特徴で、PLANEXの「MZK-WNH」も小型ボディー(W34×D114×H161mm)の部類であり、とりわけNECアクセステクニカの「PA-WR4100N」が超小型ボディー(W27×D85×H110mm)として際だっています。
ただし「MZK-WNH」と「PA-WR4100N」は、40MHzの帯域に対応していないため理論値最大150Mbpsどまりとなっており、理論値最大150Mbpsのモデルであれば、持ち運びを意識した超小型ポケットルータであるPLANEXの「MZK-MF150(W75×D60×H23mm)」もコンバータモードでも使用できるユニークな製品です。
5GHz帯の11a/nも使用できる4規格対応モデルは、Coregaの「CG-WLBARAGNL」が11a/nと11b/g/nの切替え利用となりますが、価格が安くてコストパフォーマンスが良いモデルです。
1-5 無線LANUSBアダプタ
無線LANアダプタは、パソコンの主なインターフェース別にみると、USB接続、PCカースロット接続、PCIバス接続、LANコネクタ接続とあり、かつては無線通信がノートパソコンで必要なことが多かったことから、PCカースロット接続の無線LANカードが価格も安くて種類が豊富でした。
これは固定して使うデスコトップパソコンでは高速な有線接続で、持ち歩いて使うノートパソコンでは無線接続で使うことが利便性が高いというニーズの差があったためで、無線LANでも高速通信が可能となって、デスコトップパソコンでもLAN回線を這わせなくて良い無線LANが普及してきています。
現在では、無線LANUSBアダプタはUSB2.0接続となって、小型のスティックタイプで価格の安い802.11n規格のモデルが多くなって、ノートパソコンでもデスクトップパソコンでも手軽に利用できるため主流となっています。
メーカー | 機種型番 | メーカー価格 (実勢価格) |
特徴・機能・メリット |
---|---|---|---|
Buffalo | WLI-UC-G300HP | 4,935円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 可動アンテナ・感度レベルメーター搭載 フレキシブルUSBケーブル付属 |
WLI-UC-AG300N | 7,770円 | 11a/b/g/nの4規格フル対応 理論値300Mbps40MHz帯域対応 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 フレキシブルUSBケーブル付属 |
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WLI-UC-G301N | 4,410円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 全長60mmコンパクトボディ フレキシブルUSBケーブル付属 |
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Corega | CG-WLUSB300GNM | 4,515円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSワンプッシュ・ワンクリック設定 フレキシブルUSBケーブル付属 |
CG-WLUSB300AGN | 6,615円 | 11a/b/g/nの4規格フル対応 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSワンプッシュ・ワンクリック設定 フレキシブルUSBケーブル付属 |
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CG-WLUSB300NWH CG-WLUSB300NBK |
2,730円 | 理論値受信300Mbps・送信150Mbps WPSボタン搭載 フレキシブルUSBケーブル付属 アクセスポイント(親機)モード搭載 |
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PLANEX | GW-US300MiniS | 2,980円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPS対応 ソフトウェアアクセスポイント機能搭載 フレキシブルUSBケーブル付属 |
GW-US300GXS | 3,480円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSボタン搭載 |
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GW-US300Mini-X | 3,980円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPS対応 ソフトウェアアクセスポイント機能搭載 フレキシブルUSBケーブル付属 |
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I-O DATA | WN-GDN/US2 | 4,410円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 クイックセットアップ/WPS対応 フレキシブルUSBケーブル付属 |
NEC | PA-WL300NU-G | オープン | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 らくらく無線スタート対応 フレキシブルUSBケーブル付属 |
2.4GHz帯と5GHz帯の両方使用可能なIEEE802.11a/b/g/nの4規格に対応する無線LANUSBアダプタは、少し価格が高いのですが、2.4GHz帯の802.11b/g/n規格に対応する無線LANUSBアダプタは5000円以下と安い価格で購入できます。
親機が5GHz帯の11a/n規格をサポートしていない場合は、2.4GHz帯のみ対応する無線LANUSBアダプタで十分ですが、親機が11a/b/g/nの4規格対応であっても、2.4GHz帯と5GHz帯の同時利用が可能であれば、子機を増設する場合に、2.4GHz帯のみ使用する802.11b/g/n規格の無線LANUSBアダプタを選んでコストを抑えることもできます。
5GHz帯の11a/nと2.4GHz帯の11b/nのどちらが高速に接続できるかどうかは使用環境によって異なり、近隣の無線LANなどの電波干渉が心配ないケースでは2.4GHz帯の802.11n規格での速度が速いことも多く、既にIEEE802.11a/b/g/nの4規格対応の機器を利用していても、確認して速度が違わなければ5GHz帯にこだわる必要はないでしょう。
2.4GHz帯の802.11n規格の中で高速と想定されるのは、親機「CG-WLR300GNH」との間で無線スループット実効値157.9MbpsというCoregaの「CG-WLUSB300GNM」であり、他のモデルは無線LANUSBアダプタでの測定データが発表されていないものが多いのですが、Buffaloの「WLI-UC-G300HP」など高速無線LANルータのセットモデルの子機として使われているモデルがベターでしょう。
基本的には親機と同メーカーの無線LANUSBアダプタが無難ですが、802.11n規格の機器間での相互通信は支障がなく、通信速度も場合によっては、親機と子機と異なるメーカー間の機器の方が速いこともあります。
筆者の自宅でも、Buffaloの親機に子機としてPLANEXの「GW-US300Mini-X」を使用した方が少し速度が速いという状況ですが、802.11n規格で従来の倍の40MHzの帯域を使用する理論値最大300Mbpsに対応し、送信アンテナが2本、受信アンテナが2本ある子機であれば、異なるメーカーの親機との間での通信速度の違いは試してみなけれ解らないという世界でしょう。
無線LANアダプタは、使用するパソコンでドライバのインストールと親機との接続設定が必要であり、ほとんどの無線LANUSBアダプタが、このセットアップを簡単に行うために標準化されたWPSに対応しています。
WPSでの設定方式のうちプッシュボタン方式が最も簡単であり、このWPSボタンは親機にはありますが、子機でWPSボタンがあるのは珍しく、無線LANUSBアダプタではPLANEXとCoregaの新しい製品の一部がWPSボタンを搭載しているぐらいであり、上の表のモデルでは「CG-WLUSB300NWH」、「CG-WLUSB300NBK」と「GW-US300GXS」がボタンを搭載いています。
WPSボタンがないモデルも、パソコンの画面でセットアップユーティリティを起動して、画面上のボタンをクリックして簡単に接続できるようになっていることが普通ですが、初心者にとっては物理的なボタンがある方がより簡単でしょう。
最近では、各社から手軽に使えるスティックタイプの無線LANUSBアダプタの新製品が次々と発売されており、親機と子機のセットモデルも、無線LANUSBアダプタを子機とするセットが多くなっています。
これはデスクトップパソコンでもノートパソコンでも、USB2.0接続の小型のスティックタイプのアダプタが便利なためであり、さらに使い易くするために延長用のフレキシブルUSBケーブルが付属しているモデルが多くなっています。
延長ケーブルは、隣接のUSBコネクタが使用不可とならないように、また電波状態の良い位置にセットするためのもので、かつては1m程度の少し長い普通の延長ケーブルが付属していることが普通でしたが、最近では15cm程度で自立可能で向きが変えれるように少ししっかりとしたフレキシブルUSBケーブルを使うことがトレンドとなっています。
1-6 無線LANカード
ノートパソコンで、USBコネクタの数が少なくてUSB無線LANアダプタを使うことが不自由な場合は、CardBus対応PCカードTypeIIスロットに装着する無線LANカードを利用すると良いでしょう。
メーカー | 機種型番 | メーカー価格 (実勢価格) |
特徴・機能・メリット |
---|---|---|---|
Buffalo | WLI-CB-G300HP | 7,245円 | 11a/b/g/nの4規格対応 理論値300Mbps40MHz帯域対応 感度レベルメーター搭載 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 |
WLI-CB-AMG300N | 7,770円 | 11a/b/g/nの4規格対応 理論値300Mbps40MHz帯域対応 ワンタッチ接続AOSS対応/WPS対応 |
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Corega | CG-WLCB300GNM | 7,140円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSワンプッシュ・ワンクリック |
CG-WLCB300AGN | 7,875円 | 11a/b/g/nの4規格対応 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSワンプッシュ・ワンクリック |
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PLANEX | GW-NS300N2 | 4,980円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSボタン搭載 ソフトウェアアクセスポイント機能搭載 |
I-O DATA | WN-GDN/CB3 | 6,615円 | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 クイックセットアップ/WPS対応 アンテナ部分を小型化 |
NEC | PA-WL300NC | オープン | 11a/b/g/nの4規格対応 理論値300Mbps40MHz帯域対応 らくらく無線スタート対応 |
PA-WL300NC/G | オープン | 理論値300Mbps40MHz帯域対応 らくらく無線スタート対応 |
かつてIEEE802.11g規格までは、無線LANカードの方が無線LANUSBアダプタより価格の安い製品が多かったのですが、802.11nドラフト2.0対応モデルでは無線LANUSBアダプタがよく売れるようになって量産効果で安くなったのに対し、無線LANカードは価格の高いモデルが多く、価格的には逆転しています。
比較的安いモデルは、PLANEXの「GW-NS300N2」であり、子機でもWPSボタンを搭載していて設定が簡単なことがメリットですが、どうせ親機も必要であれば、親機と子機の無線LANカードのセットモデルの「MZK-W300NHPC」を購入した方がお買い得です。
その他の無線LANカードも、子機単品では価格が高いので、ノートパソコン用に無線LANカードが1枚必要であれば、親機と子機のセットモデルがお値打ちな場合が多く、安定した通信速度を得るためにも、また機能的にもメーカーが組み合わせたセットモデルが無難でしょう。
1-7 その他の無線LAN機器
パソコンのLANコネクタやPCIスロットを有効活用するのであれば、それぞれ対応する無線LAN機器が発売されています。
最近は、PCIスロット接続の無線LANアダプタは少ないのですが、デジタル家電製品やゲーム機にもLANコネクタが装備され無線で接続することが便利なため、LANコネクタ接続(イーサネット接続)の無線LAN機器の用途が広がって、各社とも新しい製品を発売しています。
また、ルータに有線LAN接続して無線LANアクセスポイントに切り替えて使用できるモデルも登場しており、これらLANコネクタ接続の無線LAN機器は、LAN端子用無線子機、イーサネットコンバータ、無線LANコンバータなど各社で名称が揃っていませんが、単なる無線LANアダプタより多機能でありコンバータという名称が使われることが多くなっています。
メーカー | 機種型番 | メーカー価格 (実勢価格) |
特徴・機能・メリット |
---|---|---|---|
Buffalo | WLI-TX4-AG300N | 11,130円 | LAN端子用無線子機 11a/b/g/nの4規格対応 理論値300Mbps40MHz帯域対応 有線LAN4ポート搭載 |
Corega | CG-WLCVR300AGN | 10,815円 | 無線LANイーサネットコンバータ 11a/nと11b/g/nの切替え利用可能 理論値300Mbps40MHz帯域対応 無線スループット103.8Mbps WPSボタン搭載 アクセスポイントに切り替え可能 ギガビットLAN有線4ポート搭載 省エネパワーコントロール機能搭載 |
PLANEX | GW-EC300N5P | 7,600円 | LANコネクタ接続無線LANコンバータ 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSボタン搭載 アクセスポイントに切り替え可能 有線LAN5ポート搭載 |
GW-EC300NAG5P | 14,800円 | LANコネクタ接続無線LANコンバータ 11a/nと11b/g/nの切替え利用可能 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSボタン搭載 ギガビットLAN有線5ポート搭載 省エネGreen Eco Powerに対応 |
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I-O DATA | WN-GDN/C | 7,770円 | LAN接続型 無線LAN子機 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSボタン搭載 有線LAN5ポート搭載 |
WN-LA/C | 10,920円 | テレビ用無線LANコンバーター 11a/nと11b/g/nの切替え利用可能 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPSボタン搭載 有線LAN2ポート搭載 アンテナ内蔵超小型ボディ |
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PLANEX | GW-DS300N-X | 5,980円 | PCIスロット接続無線LANアダプタ 理論値300Mbps40MHz帯域対応 WPS対応 ソフトウェアアクセスポイント機能 |
LANコネクタ接続の無線LAN機器は、各社で名称が異なっていても、機能的には複数のデジタル家電やゲーム機を接続するため有線ポートが複数あることがトレンドであり、さらに一部のモデルでは、無線LANアクセスポイントに切り替えて、子機としてではなく親機として使用可能となっています。
無線LAN子機としては少し価格が高いのですが、何台も子機を用意しなくても子機1台で複数の機器を接続できるため、テレビ周辺のデジタル家電をまとめて無線化するなど、複数台の機器を接続する用途があれば便利でしょう。
各社のモデルを比較すると、有線LANポートが5基と多いのがPLANEXの「GW-EC300N5P」、「GW-EC300NAG5P」とI-O DATAの「WN-GDN/C」であり、有線LANポートが高速なギガビットLANに対応しているのがCoregaの「CG-WLCVR300AGN」とPLANEXの「GW-EC300NAG5P」です。
また、無線LANの11a/b/g/nの4規格対応モデルは、Coregaの「CG-WLCVR300AGN」とPLANEXの「GW-EC300NAG5P」に加えて、Buffaloの「WLI-TX4-AG300N」の3モデルであり、無線LANアクセスポイントに切り替え可能なモデルは、Coregaの「CG-WLCVR300AGN」とPLANEXの「GW-EC300N5P」です。
そして、これら最も機能的に優れているのがCoregaの「CG-WLCVR300AGN」であり、価格が安くて最もコストパフォーマンスが良いのがPLANEXの「GW-EC300N5P」でしょう。
LANコネクタ接続の無線LAN機器は汎用性が高いのですが、無線LANアクセスポイントに切り替えて、親機として使用するのであれば、高速無線LANルータの価格も安いため選びにくく、無線LAN子機として単にパソコンの無線LANアダプタとして使用するのであれば、あまり価格が高くないモデルが良いでしょう。
デスクトップパソコンではPCIスロットを活用したいというニーズもあり、無線LANアダプタは常時使用するためPCIスロットに固定しても良いと思いますが、IEEE802.11n規格に対応するPCIスロット接続の無線LANアダプタは、現時点ではPLANEXの「GW-DS300N-X」のみです。
この「GW-DS300N-X」は、無線LAN子機としては送信アンテナは2本と普通ですが、受信アンテナは3本と強力で頼もしい感じがします。
2 無線LAN機器の接続設定
2-1 無線LAN機器の接続
無線LAN機器は、これまで次々と新製品がリリースされており、価格競争が激しく、しばらくすると安くなり買い時ということがあります。
また最近は、高速通信が可能な低価格の新製品が発売されて、価格の高い旧製品が在庫処分となって実勢価格が大幅に値下がりしていても、店によっては値段を下げていない場合があり注意が必要です。
今後購入するのであれば、最新のIEEE802.11n規格の製品が安くなっており、インターネットの回線速度が20Mbps以下で、それ以前の802.11g規格の製品を購入する場合であっても、価格的に大幅にディスカウントされていなければ、より新しい規格の新製品を購入した方が良いでしょう。
購入した無線LAN親機のケーブル接続は、次のパターンとなります。
1 | FTTH端末・ADSLモデム | == 有線 == | 無線LANルータ | ・・・・・・ 無線 ・・・・・・ | 無線LANアダプタ (パソコン) |
FTTH端末やADSLモデムがブリッジタイプの場合は無線LANルータを購入し、FTTH端末またはADSLモデムのLAN側コネクタ(LANポート)と無線LANルータのWAN側コネクタ(WANポート)をLANケーブルで接続します。
なお、FTTH端末やADSLモデムがルータタイプで無線LANルータを利用する場合は、ルータ機能が重複するため、無線LANルータのルータ機能をOFFとすることが一般的です。
2 | FTTH端末・ADSLモデム (ルータタイプ) |
== 有線 == | 無線アクセスポイント | ・・・・ 無線 ・・・・ | 無線LANアダプタ (パソコン) |
FTTH端末やADSLモデムがルータタイプで無線LANアクセスポイントを購入した場合は、FTTH端末またはADSLモデムのLAN側コネクタの任意の一つと無線LANルータのWAN側コネクタをLANケーブルで接続します。
しかし、高速無線LANルータの価格が安くなっているため、FTTHなど高速回線を利用しているのであれば、無線LANルータを利用した方が良いでしょう。
3 | FTTH端末 ADSLモデム |
== 有線 == | 有線LANルータ | == 有線 == | 無線アクセ スポイント |
・・・ 無線 ・・・ | 無線LANアダプタ (パソコン) |
FTTH端末やADSLモデムがブリッジタイプで、既に高速な有線LANルータを使用している場合は、無線LANアクセスポイントを追加して、有線LANルータのLAN側コネクタの任意の一つと無線LANルータのWAN側コネクタをLANケーブルで接続します。
接続パターンとしては、上記3通りの方法となりますが、無線LANの規格がIEEE802.11n規格へと発展し、無線通信速度、接続の安定性、セキュリティ機能、セットアップの簡便性など技術進歩が著しく、より新しい機器の方が優れているため、FTTH端末やADSLモデムがルータタイプであっても、また既に有線LANルータを利用していても、802.11n規格の無線LANルータを選ぶことをお勧めします。
いずれも有線・無線LANルータ、無線LANアクセスポイントは、FTTH端末またはADSLモデムの近くに置くのが一般的であり、無線LANルータや無線LANアクセスポイントは家具の上など高いところで見通しの良い位置が適しています。
なお接続に必要なLANケーブルは、無線機器に付属していることが一般的ですが、無線での電波強度を確認して置く位置を少し見直した方が良い場合や配線をスッキリさせるために短いケーブルに変更するなど、別途LANケーブルの購入が必要な場合があります。
どうせLANケーブルを購入するのであれば、通信速度100Mbpsのカテゴリ5(100Base-TX)より高速なギガビットLAN対応のカテゴリ5e(1000Base-T)またはカテゴリ6(1000Base-TX)のLANケーブルが良いでしょう。
無線通信は、一般家庭では通信距離はまず問題がないのでしょうが、金属製ドア、コンクリート壁・床などの障害物があると通信速度が低下します。
一般的には外壁に使われている石材、レンガ、セメント、コンクリート、スチール、アルミ箔断熱材などが影響が大きく、屋内で使われる木材の仕切り・ドア、石膏ボードの仕切り壁、ガラス窓は大きな障害とはならないので、木造家屋内では受信環境が比較的良いでしょう。
鉄筋2階建て家屋の場合でも、1階と2階では、2階の床材によっては速度が大きく低下する場合があるものの同じフロアでは影響が小さく、鉄筋コンクリートのマンションでも各戸内では大きな影響はないでしょう。
2-2 無線LAN機器の設定
無線LANルータの配線が完了した後、続いてセットアップに入りますが、セットアップは親機の無線LANルータの設定とパソコン側の子機の無線LANアダプタのドライバのインストールと接続設定が必要です。
無線LANルータの設定は、その機器で独立して行えないため、パソコン側から無線LANルータにアクセスして設定する必要があり、かつては一旦有線ケーブルでパソコンに接続して設定する機種もありましたが、最近は設定ユーティリティソフトを使用して、無線LANルータの設定も無線LANアダプタのドライバのインストールと接続設定も併せて行うタイプが主流となっています。
この無線LAN機器の設定は、セキュリティの設定を含むためビギナーにとっては難しく、セキュリティキー(暗号化)の設定をしないまま無線LAN機器を使われてしまうことがあります。
そのため2005年頃からBuffaloの「AOSS」やCregaの「JumpStart」、NECアクセステクニカの「らくらく無線スタート」など、簡単にインストールと設定を行う方式が採用され始めましたが、メーカー毎に異なる方式のため他社製無線LANアダプタではせっかくの簡単設定が使えないことが普通であり、同じメーカーの機器でも簡単設定をサポートしていないと使用不可で実用的には使い難いものでした。
メーカーとしては、簡単設定をサポートしている機器に買い替え揃えてもらえば良いという思惑もあったのでしょうが、無線LANの普及が急速に進むという背景の中で、新製品が次々と開発され発売されるという状況にあり、度重なる親機と子機の総替えは敷居が高すぎるでしょう。
こうした中で、無線LAN関連の業界団体である「Wi-Fiアライアンス」が簡単設定の共通の仕様として「WPS(Wi-Fi Protected Setup)」を策定し、WindowsVista発売直前の2007年1月からWPS対応機器の認定を始めました。
このWPSでは、現在プッシュ・ボタン方式とPIN(personal identification number)コード方式の2通りの仕様が定められていますが、特にプッシュ・ボタン方式を採用することで設定が容易になり、情報家電やゲーム機の無線接続が可能となるなど画期的なことです。
WPSに対応する親機はWPSボタンを搭載しており、パソコンにユーティリティソフトをインストールし無線LANアダプタを装着し、親機のWPSボタンを押して、すぐパソコンの画面上の接続ボタンをクリックして設定が完了することが一般的です。
PLANEXやCoregaの一部の無線LANアダプタなど子機にWPSボタンを搭載している場合は、親機のWPSボタンと子機のWPSボタンを順に押すだけとより簡単に接続できます。
親機が「WPS」をサポートしていても、子機が「WPS」をサポートしていないと手動で設定しなければならないのですが、他社製無線LANアダプタでも新しいものは「WPS」に対応しており、IEEE802.11n規格の無線LANアダプタを購入し順に切り替えれば、「WPS」を使って設定が便利になるでしょう。
無線LANセキュリティについては、現在販売されているモデルは、Wi-Fiアライアンスが提唱する最新セキュリティ規格WPA(Wi-Fi Protected Access)に対応し、しかもほとんどの製品が最もセキュリティが強固なWPA2-PSK(AES)に対応しています。
しかし無線LANで接続する複数の無線機器のうち、少し古い無線LANアダプタも使用する場合は、WPA2-PSK(TKIP)、WPA-PSK(AES)、WPA-PSK(TKIP)、WEPという古い暗号化方式を採用している場合があり、LAN内の全ての無線機器が共通してサポートしている暗号化方式に統一する必要があり、古い暗号化方式の機器が混じるとセキュリティが甘くなります。
そのため最近の親機は、マルチセキュリティ機能またはマルチSSID機能という複数のSSIDが使用可能な機能をサポートしており、最強のWPA2-PSK(AES)に対応する機器を接続するSSIDと、WEPなど古い暗号化方式に対応するSSIDとを分けて接続することにより、WPA2-PSK(AES)に対応する無線LANアダプタを装着したパソコンのセキュリティレベルを下げないようにしています。
マルチSSIDの設定は、必要があれば個々の機器のマニュアルを確認して設定することになりますが、Windowsで暗号化の設定など手動で接続・設定を行う基本的な方法は、「無線LANの設定 Vista編」を参考としてください。
このセキュリティキーの設定のほか、親機である無線LANルータには、ネットワークへの侵入を防ぐための接続制限を行うセキュリティ機能があり、この接続制限としては、MACアドレスフィルタリング、SSIDのANY接続拒否、ステルスAP(SSID隠匿)をサポートする機器があります。
しかし最近の無線LANルータは、こうした接続制限の機能はあっても、初期設定では使用しない設定となっています。簡単に接続設定ができるユーティリティでは、SSIDが確認できなければ接続が困難であり、またMACアドレスフィルタリングでは、事前にハードウェア固有の識別番号であるMACアドレスを登録しなければ接続設定ができないためです。
WPA2-PSK(AES)の暗号化方式は、現時点で解読不能で暗号キーが一致しなければ接続不可であり、利便性を考えれば、それで十分ですが、全てのLAN内の無線機器の接続が確立した後、必要があれば接続制限をかけることができます。
また無線通信ではなく、インターネット回線を通じて外部から侵入する不正アクセスを防ぐため、ルータとしてのNAT/IPマスカレード機能に加えて、パケットフィルタリング(ポートフィルタリング、IPアドレスフィルタリング)機能、通信ポート以外は閉じるダイナミックパケットフィルタリング機能やセッションログを用いて確認するステートフル・パケット・インスペクション(SPI)などのセキュリティ機能を備えている機種もあり、うち手動で設定しなければならない場合もあります。
こうした背景となるインターネット上の脅威やパソコンのセキュリティの確認方法・対応策については、「セキュリティの基礎知識」を参照してください。
なお最後に、無線LAN機器の機能や価格は、2009年年9月時点の各メーカーのホームページで表示されている価格やネットショップの実勢価格を調べていますが、今後もメーカー表示価格や実勢価格はもちろん、機能的なこともファームウェアのバージョンアップなどにより修正されることがあるのでご留意ください。