ビデオカード − 自作パーツの選び方

ビデオカードは、ディスプレイ画面への描画の処理を行うためのもので、そのためにグラフィックチップ(GPU)を搭載し、このチップによって処理速度など性能差があります。なお、グラフィック統合型CPUやグラフィック統合型チップセットを搭載するマザーボードでは、ビデオカードが無くてもディスプレイに出力でき、ビデオカードを省くことができます。



 ビデオカードの必要性の判断

WindowsXPの時代は、主に3Dゲームを楽しむためにパソコンを使うのでなければ、あえてビデオカードを使用する必要がなく、一般的な用途ではオンボードグラフィックスでも十分でした。

 2007年1月30日に発売されたWindows Vistaでは、HomePremium以上のエディションで、新しいGUI(Graphical User Interface)であるWindows Aeroを採用していますが、Windows Aeroはパソコンのグラフィックス パフォーマンスが低いと使うことができません

 そのため古いパソコンでは、ビデオカードを増設しないと、Windows Aeroが使えないケースも多く、その頃は、古いパソコンの増設用のニーズに対応するため、これまでビデオカードを使わなかったユーザー層をターゲットに、Valueクラスの安いエントリー向けビデオカードが次々とリリースされています。

 つまりグラフィックス性能のハードルが高いVistaの登場によって、ビデオカードのマーケットは拡大していますが、Vista登場以降にリリースされたグラフィック統合型チップセットを搭載するマザーボードやグラフィック統合型CPUは、Windows Aeroが快適に使用できる性能は備えています。

 そして、2009年10月に発売されたWindows7でも、Windows Aeroが改良されて使われており、Windows7のグラフィックス性能の要件もVistaとほぼ同等となっています。

 このWindows7の発売直前の9月に、IntelのLGA1156プラットフォームが登場して、その4か月後の2010年1月にLGA1156ソケット対応Core i5/i3シリーズのCPU(開発コードネーム:Clarkdale)が発売されましたが、これが初のグラフィック統合型CPUとなり、翌年にLGA1155プラットフォームへ以降した後は、メインストリーム向けCore i7/i5シリーズ(Sandy Bridge)も含めてグラフィック統合型CPUが基本となっています。

 一方AMDのプラットフォームでは、少し送れて2011年7月に発売した新型Socket FM1対応の「AMD Aシリーズ(開発コードネーム:Llano)」で、AMDとして初めてグラフィック統合型CPUをリリースしており、いよいよCPUにはGPUが統合されている時代となって、通常の用途ではビデオカードを使わないことがトレンドとなっていくのでしょう。

 この初のGPU統合型のClarkdaleのグラフィックス性能は、それ以前のグラフィック統合型チップセットより明らかに高性能ですが、あえてGPUを統合した革新的なCPUとしては期待はずれという面があり、その後のSandy BridgeやIvy Bridgeへと改良が続けられていて、Ivy Bridgeの内臓グラフィックス「Intel HD Graphics4000」の性能はローエンドのビデオカードと同等以上の性能に向上しています。

 また、AMDのLlanoの内臓グラフィックス「Radeon HD 6550D」は、さすがにGPUベンダーでもあるのでIntel HD Graphics4000を上回り、今夏に登場予定の Llanoの後継のTrinityではグラフィックス性能はさらに強化される予定です。

 それでも、パソコンで高速描画が必要な最新の3Dゲームで遊びたいのであれば、内臓グラフィックスやローエンドクラスのビデオカードでは、リアルさの追求や高速描画のための負荷が重すぎてまともにプレイできないゲームもあり、やはりビデオカードを使った方が快適でしょう。

 また、今の3Dゲームは何とか遊べても、すぐに満足にプレイできない負荷が重い最新ゲームが多くなることが想定され、ビデオカードを購入するのであれば、グラフィック統合型CPUの内臓グラフィックスを明らかに上回るミドルクラス以上のGPUを搭載しているビデオカードを選んだ方が良いでしょう。


 最新のミドルクラス価格帯のGPUの選択

ビデオカードを使用するのであれば、最も負荷の高い3Dゲームでも、解像度を落とせば何とかプレイできるレベルのグラフィック性能は求めたいところであり、ミドルクラス以上のGPUを搭載するビデオカードが候補となるでしょう。

 一方、高性能なハイエンドクラスのGPUを搭載するビデオカードは、消費電力が高いので6ピンまたは8ピンの補助電源ケーブルが2本必要なことが多く、また高熱を発するためカードサイズが長い大型の冷却装置を備えていて、PCケースに十分なスペースが必要など使用するためにはハードルが高いでしょう。

 また、最近ではPCケース内でビデオカードが高発熱源となっており、CPUのTDPを重視するのと同じように、ミドルクラスのGPUとしては、パフォーマンスだけではなく消費電力が低くて扱いやすいというメリットも重要となっています。

 ビデオカードの販売価格は、激しい価格競争が続いてきたことによって、一部のハイエンドモデルを除けば、価格差がなくなりつつあり、3万円前後までのミドルクラスの価格帯で購入できるビデオカードは、下の表でリストアップしたGPUを搭載するビデオカードとなりますが、RADEON HD7870とGeForce GTX560Ti、GTX560はアッパーミドルクラスの性能で最大消費電力が高いため避けた方が無難でしょう。

 <ミドルクラス価格帯のビデオカードの主なスペック

  CUDAコア
ストリームプロセッサ
コアクロック メモリデータレート メモリインターフェース 消費電力
RADEON HD7870 1280 1000MHz 4800MHz 256bit 175W
RADEON HD7850 1024 860MHz 4800MHz 256bit 130W
RADEON HD7770 640 1000MHz 4500MHz 128bit 80W
RADEON HD7750 512 800MHz 4500MHz 128bit 55W
GeForce GTX560Ti 384 822MHz 4008MHz 256bit 170W
GeForce GTX560 336 810MHz 4008MHz 256bit 150W
GeForceGTX550Ti 192 900MHz 4100MHz 192bit 116W
 DDR(ダブルデータレート)メモリーでは、クロックの立ち上がりと立ち下りの両方で転送可能であり、メモリデータレートはメモリクロックの倍となります。また最近のミドルクラス以上のビデオカードが採用するGDDR5メモリーでは、さらに倍のメモリクロックの4倍がメモリデータレートとなります。

上の表で、AMD製のGPUは、2012年に入って登場したRADEON HD7000番台シリーズですが、NVIDIA製のGPUは、新しいGeForceGTX600番台シリーズのハイエンドモデルが2012年3月以降に登場して大人気となっていても、ミドルクラスのGPUは2011年上半期に登場した少し古いGeForceGTX500番台シリーズのGPUが今でも現役となっています。

 うち2011年1月に登場したGeForce GTX560Tiは、当時はハイエンドモデル並みの性能で評判が良かったのですが、今ではGTX560も含めて、より消費電力の低いRADEON HD7850の方が性能が上回るため選びにくいでしょう。

 このRADEON HD7850は、上位のRADEON HD7870と比べてストリームプロセッサ数は20%減とわずかに少ない程度なのに、最大消費電力が大幅に抑制されているため人気モデルとなっており、ミドルクラス上位のGPUとしては執筆時点ではライバルもなくベストでしょう。

 それでも130Wの消費電力は、しっかりと冷却対策がされているPCケースでなければ使えない水準であり、小型のPCケースで使う場合やケースファンの騒音を抑えた静音パソコンで使用するのであれば、ミドルクラス下位のRADEON HD7770またはRADEON HD7750が無難でしょう。


Radeon HD7770

RADEON HD7770とHD7750では、これも発売当初は下位のHD7750の方が補助電源ケーブルが不要なこともあって人気があります。

 やはり消費電力への関心が高いため、HD7750の消費電力が55Wと低いことに引かれるのでしょうが、3Dゲームをするときは、もう少しパフォーマンスが欲しいところかもしれません。

 このRADEON HD7750の性能をやや上回るNVIDIAのGeForceGTX550Tiは、RADEON HD7770と比べると消費電力が高いのに性能が下回り選びにくいのですが、3D VisionなどNVIDIAの独自の機能を使いたい場合には有力な選択肢となりそうです。

 NVIDIAのGPUは、2012年5月にGeForceGTX600番台シリーズのミドルクラス下位モデルのGT630、GT620、GT610の3モデルが登場しましたが、いずれも旧世代のモデルの名前を変えただけのリネームモデルとみられており、ハイエンドのGTX680、GTX670に続くミドルクラスのGPUが早く登場して欲しいところです。

 RADEON HD7000番台シリーズも、まだラインナップとしてみると、RADEON HD7750より下位のモデルやRADEON HD7850とHD7770との間の少し隙間のあるところを埋めるモデルが欲しいところでしょう。


 NVIDIAとAMD-ATIの開発競争の経緯

GPUとしては、長い間NVIDIA製のGeForceシリーズとAMD-ATI製のRADEONシリーズがライバルとして競い合ってきましたが、Windows Vistが発売された2007年1月当時に現役であったNVIDIAのGeForce7シリーズ、ATI(現AMD-ATI)のRADEON X1Kシリーズから、下の表のように競い合って、次々と新しいシリーズに世代交代してきています。

登場年月 シリーズ グレード・モデル名
2006年11月 GeForce8 ハイエンド 8800GTX
2007年 4月 GeForce8 ミドルクラス 8600GTS、8600GT、8500GT
2007年 5月 RADEON HD2000 ハイエンド HD2900XT
2007年 7月 RADEON HD2000 ミドルクラス HD2600XT、HD2600PRO、HD2400PRO
2007年11月 GeForce8 ハイエンド 8800GT
2007年11月 RADEON HD3000 ハイエンド HD3870、HD3850
2008年 2月 RADEON HD3000 ミドルクラス HD3650、HD3470、HD3450
2008年 2月 GeForce9 ミドルクラス 9600GT
2008年 3月 GeForce9 ハイエンド 9800GTX
2008年 6月 GeForceGTX200 ハイエンド GTX280、GTX260
2008年 6月 RADEON HD4000 ハイエンド HD4870、HD4850
2008年 8月 GeForce9 ミドルクラス 9500GT、9800GT
2008年 8月 RADEON HD4000 ハイエンド HD4870X2
2008年 9月 RADEON HD4000 ミドルクラス HD4670、HD4650
2008年10月 RADEON HD4000 ミドルクラス HD4830
2009年 1月 GeForceGTX200 ハイエンド GTX295、GTX285
2009年 3月 GeForceGTS200 ミドルクラス GTS250
2009年 4月 RADEON HD4000 ハイエンド HD4890
2009年 4月 GeForceGTX200 ハイエンド GTX275
2009年 5月 RADEON HD4000 ミドルクラス HD4770
2009年 9月 RADEON HD5000 ハイエンド HD5870、HD5850
2009年10月 RADEON HD5000 ミドルクラス HD5770、HD5750
2009年11月 RADEON HD5000 ハイエンド HD5970
2009年11月 GeForceGT200 ミドルクラス GT240
2010年 1月 RADEON HD5000 ミドルクラス HD5670
2010年 4月 GeForceGTX400 ハイエンド GTX480、GTX470
2010年 7月 GeForceGTX400 ミドルクラス GTX460
2010年 8月 GeForceGTS400 ミドルクラス GTS450
2010年 10月 RADEON HD6000 ハイエンド HD6870、HD6850
2010年 11月 GeForceGTX500 ハイエンド GTX580
2010年 12月 GeForceGTX500 ハイエンド GTX570
2010年 12月 RADEON HD6000 ハイエンド HD6970、HD6950
2011年 1月 GeForceGTX500 ミドルクラス GTX560Ti
2011年 3月 GeForceGTX500 ミドルクラス GTX550Ti
2011年 4月 RADEON HD6000 ミドルクラス HD6790、HD6670、HD6570
2011年 5月 RADEON HD6000 ミドルクラス HD6770、HD6750
2011年 5月 GeForceGTX500 ミドルクラス GTX560
2012年 1月 RADEON HD7000 ハイエンド HD7970、HD7950
2012年 2月 RADEON HD7000 ミドルクラス HD7770、HD7750
2012年 3月 GeForceGTX600 ハイエンド GTX680
2012年 3月 RADEON HD7000 ハイエンド HD7870、HD7850
2012年 5月 GeForceGTX600 ハイエンド GTX670

2007年前半のミドルクラスのGeForce8シリーズとRADEON HD2000シリーズは、動画の再生支援機能や統合シェーダ技術の採用など技術的には大きく進化しましたが、グラフィック性能は少しパフォーマンスが上がっている程度でした。

 動画の再生支援としては、特にHD DVDやBlu-rayディスクなど高精細映像を見るときに、CPUの負荷を軽減する機能として、GeForce 8シリーズからPureVideo HD 技術を採用、ミドルクラスのRADEON HD2000番台シリーズからUVD(Unified Video Decoder)をサポートしています。なお、PureVideo HDもUVDも改良を重ねており、UVDはRADEON HD6000番台シリーズからUVD3.0が採用されています。


Radeon X1600XT




GeForce8600GTS




Radeon HD4850




Radeon HD7770

3Dゲームの描画性能は、これまでGPUのコアクロック、メモリクロックと、ピクセルシェーダ、バーテックスシェーダのユニット数に大きく左右され、中でもコアクロックが高くてピクセルシェーダ数が多いGPUがパフォーマンスが良いGPUでした。

 しかし、ピクセルシェーダとバーテックスシェーダのどちらか一方を酷使する3Dゲームが多くなったため、ピクセルシェーダやバーテックスシェーダのユニットをストリームプロセッサに統合することにより、ピクセルシェーダ、バーテックスシェーダ、ジオメトリシェーダのうちネックとなる処理に割り当てることで効率性を高める統合シェーダ技術が採用されています。

 そして、この ストリームプロセッサの数がパフォーマンスに最も大きな影響を与える要因であり、GeForceとRADEONのそれぞれ同じシリーズ内のGPUを比べるとストリームプロセッサ数が多い方が優れています。

 GeForceシリーズとRADEONシリーズのパフォーマンスの比較は、シェーダクロックの相違など技術的に異なるために、単純にストリームプロセッサ数で比べることができませんが、それぞれのシリーズ内では、エントリー、ミドルクラス、ハイエンドの区別はストリームプロセッサ数が倍以上違うことで明確なクラス分けがされています。

 そしてクラスによって価格の相場があり、従来ハイエンドビデオカードは4万円以上、ミドルクラスは2万円〜3万円台の価格で販売されてきましたが、2007年11月に発売されたGeForce 8800GT搭載ハイエンドモデルがミドルクラスの価格帯で発売されるという価格破壊的な価格設定で登場したことを皮切りに、NVIDIAとAMD-ATIの価格競争も激化しています。

 この後、本来のミドルクラスのGPUを搭載するビデオカードは3万円以下で購入できるようになりましたが、さらに第2の価格破壊的なインパクトがあったのがRADEON HD4850が2万円台前半と安い価格で発売され圧倒的な人気となったことです。この2回の価格破壊により、すべてのビデオカードの相場は一気に暴落し、以降の価格競争に続いています。

 本来のミドルクラスのGPUとしては、2009年5月に投入されたミドルクラスのRadeon HD4770が、パフォーマンスが良い、消費電力が低い、価格が安いと3拍子揃った新設計のGPUであり、このRadeon HD4770ビデオカードは発売以来、圧倒的な人気により品薄の状態が続くほどで、歴代のGPUの中でもグランプリ級のGPUの一つでしょう。

 RADEON黄金時代を復活させたHD4000シリーズの勝因は、55nm製造プロセスである優位性(NVIDIAは2008年夏以降65nmから55nm製造プロセスに移行)と、ストリームプロセッサのユニットサイズの効率化、さらにRADEON HD4870では駆動電圧が低いGDDR5メモリーの採用などワット性能に着目した設計思想が挙げられますが、何よりその効率化を価格に反映させていることが勝因でしょう。

 続いて2009年秋にになって、40nm製造プロセスを採用しDirectX 11対応のRADEON HD5000シリーズを投入しており、9月にハイエンド向けのRADEON HD5870とHD5850、10月にミドルクラスのRADEON HD5770とHD5750を搭載するビデオカードが発売されています。

 この最上位のRadeon HD5870のスペックは、既存のRadeon HD4890と比べて、ストリームプロセッサ数1600基と倍増して大幅にパフォーマンスが向上し、ライバルのNVIDIAのこれまでシングルGPU最速のGeForce GTX285と比べても、ほとんどのベンチマークテストで圧勝とシングルGPUとして比類なき性能で、デュアルGPU構成のGeForce GTX295に迫るパフォーマンスを誇っています。

 また最大消費電力は188Wであっても、ATI PowerPlay(省電力機能)が強化されたことによりアイドル時は27Wと大幅に消費電力が抑えられているため、消費電力に対するパフォーマンスが圧倒的に優れています。

 40nm製造プロセスのRADEON HD5000シリーズのGPUは、いずれも大幅に電力効率が向上していますが、この余裕をパフォーマンスに振ったのがRadeon HD5870/5850であり、パフォーマンスを前世代のハイエンド並みにとどめて消費電力を抑えたGPUがRADEON HD5770/5750というイメージです。

 さらに2010年1月に、ミドルクラス下位にあたるRadeon HD5670を搭載するビデオカードが発売されており、Radeon HD4670の後継として、対消費電力、対コストの両面で性能を見てバランスが取れていることや、PCケースの大きさや電源ユニットの制約がなくて使いやすいことが踏襲されています。

 このRADEON HD5000シリーズのハイエンド向けの人気モデルは極端な品薄で入手困難という状況が続いていましたが、この頃は、まさにRADEONの絶頂期といってよいでしょう。

 この頃のNVIDIAは、本来主力となるはずのGeForce 200シリーズのGPUではGTX260が人気がある程度で、むしろ旧世代の省電力版のGeForce 9800GT、GeForce 9600GTが注目されるというような状況であり、その後のGeForce 400シリーズでもNVIDIAの苦戦が続いています。

 NVIDIAに少し明るさが見えたのは、2011年1月に登場したGeForce GTX560Tiで、ハイエンドモデルなので相変わらず消費電力は高くても、前世代のGTX460から大幅に性能が向上し、4ヶ月前に登場したライバルのRADEON HD6870を明らかに上回る性能であり、ミドルクラスの価格帯の2万円台後半と安く購入できてコストパフォーマンスが良いことで注目を集めています。

 ゆえに、GeForce GTX560Tiは、発売当初から評判は悪くはなかったのですが、2011年秋になって、11月発売の人気ゲームBF3(バトルフィールド3)が快適にプレイできる唯一手ごろな価格のビデオカードとして注目され、ゲームユーザーの買い替えの対象として、BF3の人気にあやかって売れるようになっています。

 当時のRADEON HD6000番台シリーズは、かつてのHD3000番台シリーズと同様に、性能向上が控えめで足踏み状態であったことから短命に終わる運命にあり、2012年に入って登場したRADEON HD7000番台シリーズが脚光を浴びています。

 一方GeForce GTX600番台シリーズも、消費電力を抑えて大幅に性能が向上していて、ハイエンドモデルのGTX680、GTX670は大ヒットモデルの様相ですから、早くミドルクラスにもラインアップを広げて欲しいところです。

 本来ミドルクラスのビデオカードとしては、小型PCケースでも使えること、電源ユニットに気を使わなくても良いこと、静音パソコン志向でも選択肢となること、つまり何より制約が少ないことが大きなメリットであり、消費電力が低くて補助電源ケーブルの接続が不要なモデルが理想ですが、6Pin補助電源ケーブルを1本接続しなければならないとしても、3Dゲームの負荷が重くなる状態の中での最近のミドルクラスのビデオカードとしてはやむを得ないところでしょう。

 そういう意味で、エントリークラスのビデオカードは当座をしのぐだけで、せっかくビデオカードを追加しても3Dゲームではほとんど使い物にならないため、ビデオカードの価格水準が安くなっているため、ミドルクラス以上のビデオカードを選択したほうが良いでしょう。

 また、ミドルクラスのビデオカードでも、新しい製品は2スロット厚タイプのモデルが多くなっており、ボード長は短い方が良いとしても、2スロット厚の厚みは、むしろ大型の冷却機構を採用して静音化を図るために良いという設計思想に変わってきているようです。

 GeForceかRADEONのどちらを選ぶかという視点では、かつては3Dゲームが主体であれば相対的にベンチマークの良いGeForce系、3Dゲームもするけれど美しい綺麗な画像で映像が見たいということであれば画質が綺麗なことで定評のあるRADEON系という感じでした。

 しかし、RADEONのHD4000シリーズ以降はベンチマークの結果もGeForce系が良いわけではなく、ミドルクラスのビデオカードとしては絶対的なパフォーマンスに意味があるのではなく、消費電力に対するパフォーマンス(ワット性能)と価格に対するパフォーマンス(コストパフォーマンス)のどちらを重視するかで少し個性が出るかもしれないということでしょう。

 あえて言えば、AMDはワット性能重視、NVIDIAはコストパフォーマンス重視という傾向があるかも?と思いますが、いずれも両方とも優れているモデルが人気モデルとなっており、解り易く言えばパフォーマンスが良い、消費電力が低い、価格が安いモデルがベストであり相対的に比べるよりないでしょう。つまり、消費電力が高くて価格が高ければパフォーマンスが良いのは当たり前です。

 特に消費電力は、製造プロセスの微細化により抑制するとしても、それでも消費電力を下げることは難しく、描画性能を上げるためにストリームプロセッサ数を増やせば高くなってしまうため、パフォーマンスを上げることよりも、いかに消費電力を抑えるかということの方がことの本質であり難しいでしょう。

 NVIDIAかAMD-ATIか、どちらを選ぶか好みもありますが、2枚のビデオカードを使い3Dゲームを高速描画するテクノロジを利用するのであれば、NVIDIAのSLI(Scalable Link Interface)か、AMD-ATIのCrossFireかどちらを選ぶのかという問題があります。

 しかし、いずれもシングルユースで高性能なビデオカードが次々と登場している現状では、ビデオカードの2枚挿しは、さらにヘビーユーザーに限られ、コスト的にハードルが高いという感じが強くなっています。


 同じGPUを採用するビデオカードであれば、メーカーによって大きな性能差はないのですが、コア/メモリークロックをオーバークロックしているモデルや搭載ビデオメモリーの差があるビデオカードがあります。

 オーバークロックの程度と価格差の問題ですが、価格がそれ程変わらないものは人気があります。パフォーマンスが不満でオーバークロックモデルを探すのであれば、価格が高いオーバークロックモデルより思い切って同じシリーズの上位のGPUを搭載するビデオカードを購入した方がパフォーマンスが良いことになります。

 また最近は、高熱を発するGPUが多くなって、標準のリファレンスファンではなく、冷却能力を高めた独自ファンを採用するモデルが追加されることが多くなっており、発熱が心配であれば独自ファンのモデルの方が良いでしょう。

 ビデオカードを購入するのであれば、パーツショップでも評判には敏感で売れ筋商品を揃えるため、何店か回れば今何が人気があるのか解りますが、販売価格が大きく動いているので、購入の時点でインターネットの通販ショップの価格情報を確認しておいた方が良いでしょう。

 またビデオカードは、地域のパソコンショップでは最新の欲しい商品が手に入らないこともあり、見つからないときや高価であれば通販ショップで探して購入すると良いでしょう。

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 自作パーツの選び方 目次


    1 パーツの選択の仕方

    2 パーツの種類別の選び方

       CPU  マザーボード  PCケース  メモリー

      ハードディスク  ビデオカード  その他のパーツ


    <参考> CPUの進化の歴史 (クアッドコアCPUへの進化の経緯解説)

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