CPU − 自作パーツの選び方

CPU(Central Processing Unit:中央演算装置)は、構成機器からのデータの入出力の制御や演算処理を行う最も重要なパーツであり、パソコンで行うプログラムの実行などあらゆる作業の処理速度に影響があるパーツです。なお最近では、単にプロセッサと略して呼ぶことも多くなっています。

 より高性能なCPUは、より速く処理ができるため優れているのですが、最新最速のCPUは高価で、価格対性能比が割高となります。CPUを選ぶためには、パソコンの使用目的や予算に合わせた他のパーツとのバランスも考えるべきでしょう。



 予算別の人気CPU

新しくパソコンを自作するためにCPUを選ぶことは、このところは迷うことも少なく、むしろ簡単になってきているという感じがします。

 かつては、IntelかAMDか、デュアルコアかクアッドコアか、TDP(熱設計電力:Thermal Design Power)が高すぎないか、将来性はどうかと迷うことや、欲しいCPUの価格が高すぎて我慢しなければならないことが多かったのですが、この数年Intelのプラットフォームがよく変わり、そしてAMDも2011年中にプラットフォームを移行したため、ともかく新規で自作する場合は、新しいCPUに絞って選択すればよくなっています。

 2011年にプラットフォームを変更するまでのAMDのCPUは、6コアのPhenomII X6 1100Tを筆頭に倍率可変のBlack Editionなどマニアックなモデルや、キャッシュを省いて価格を抑えたAthlonII X4 640など低価格モデルが売れ筋であり、普通の用途のパソコンでは、Intelのメインストリーム向けの「Core i7」・「Core i5」シリーズのCPUが選び易くて無難でした。

 そしてAMDが、2011年7月3日に発売した「AMD Aシリーズ(開発コードネーム:Llano)」は、AMDとして初めてのグラフィック統合型CPUで新型ソケットであるSocket FM1を採用しており、10月〜11月にかけて投入した「AMD FXシリーズ(開発コードネーム:Bulldozer)」は、Socket AM3の後継のSocket AM3+へと移行しています。

 このSocket AM3+への移行は、かつてのSocketAM2とSocketAM2+の関係と同じように互換性にも配慮されており、 Socket AM3+マザーボードでは、既存のSocket AM3版CPUも使用可能なようですが、逆にSocket AM3+のCPUはSocket AM3マザーボードで使えても一部の新しい機能が使えないという制約があり、結局「AMD FXシリーズ」を使うのであれば、新しいマザーボードを購入したほうが良いでしょう。

 なお、Socket FM1の「AMD Aシリーズ」はRadeonグラフィックスが魅力的で、執筆時点ではクアッドコアの「A8-3870K(3.0GHz、TDP100W)」と「A8-3820(2.5GHz、TDP65W)」が人気がありますが、「AMD Aシリーズ」は早くも2012年5月に第2世代のSocket FM2対応の「開発コードネーム:Trinity」が発表されています。

 この「Trinity」は、ノートパソコン向けのプロセッサが先行してリリースされ、デスクトップパソコン向けには2012年夏に発売が予定されており、急ぐ必要がなければ慌てないで「Trinity」待ちで、AMDファンは少しでも早くリリースして欲しいところでしょう。

一方、Intelのメインストリーム向けのプラットフォームでは、2009年9月に登場したLGA1156プラットフォームの第1世代のCore i7/i5シリーズ(開発コードネーム:Lynnfield)から、2011年1月にLGA1155プラットフォームの第2世代のCore i7/i5シリーズ(開発コードネーム:Sandy Bridge)へと移行しています

 さらに、2012年のゴールデンウィーク初めに第3世代のCore i7/i5シリーズ(開発コードネーム:Ivy Bridge)のプロセッサが発売されています

 いずれも発売日の零時に深夜販売が行われるほどの人気ぶりですが、実は慌てて購入すると、LynnfieldではP55チップセットのUSBのエラッタの問題が、Sandy BridgeではP67/H67チップセットのSATA2.0の転送速度の低下で販売停止・回収騒ぎが、Ivy BridgeはCPUのヒートスプレッダを外す殻割りに発展した熱伝導率の低いグリスを使用している問題と初物のトラブルに見舞われています。

 P55チップセットは、BIOSのアップデートで、P67/H67チップセットは再販後の新リビジョンのマザーボードで問題は解消されましたが、Ivy BridgeはCPUコアが高温となる問題であり、今のところ自己責任で殻を割って、熱伝導率の高いグリス「Liquid Pro」などを塗り直すというリスクの高い方法しかないようです。

 このIvy Bridgeの冷却の問題は、オーバークロックしなければ支障がないようで、Intelが対処するかどうかは不明ですが、定格で使用しても現状ではベストのシリーズでしょう。

 Intelのメインストリーム向けの3世代のCore i7/i5シリーズは、着実に良くなってきています。

 しかし、確実にパフォーマンスが改善されているとしても、目を見張るほどではなく、Windowsのパフォーマンス評価で見ても一歩一歩という感じであり、同じクアッドコアプロセッサのCore2 Quad Q9450の次の次の世代のCore i7-2600Kと比べても、明らかな差は体感できないぐらいのことです。

 つまり、このクラスのCPUを換装してアップグレードすることはコストを掛けた効果が少なく、新規で組み立てるのであれば、新しいほど良いので、現在では最新のIvy BridgeのCore i7が良いということです。そこで現在人気があるCPUを予算別にリストアップしてみます。

予 算 パフォーマンス重視 静音パソコン志向
1万円以内 Socket FM1  A8-3820 TDP65W
LGA1155 Core i3-2120 TDP65W
LGA1155 Core i3-2120T TDP35W
1万5千円以内 Socket AM3+  FX-6100 TDP95W
LGA1155 Core i5-2380P TDP95W
2万円以内 LGA1155 Core i5-3570K TDP77W LGA1155 Core i5-3450S TDP65W
2万円5千円以内 LGA1155 Core i7-2600K TDP95W
3万円以内 LGA1155 Core i7-3770K TDP77W LGA1155 Core i7-3770S TDP65W

IntelのTickTock戦略は、製造プロセスの微細化とアーキテクチャの刷新を交互に行っていくことですが、Sandy BridgeからIvy Bridgeへは製造プロセスを32nmから22nmへと微細化を進めており、その結果、クアッドコア標準のTDP95WからTDP77Wに抑制できたことが最大のメリットとなっています。

 しかし、その他の改良点は、DDR-1600のサポートとCPUコアの性能とは直接かかわりのない内臓グラフィックス性能の向上ぐらいであり、大幅なアーキテクチャの刷新は次のHaswellへの移行のときに持ち越しています。

 ゆえに、製造プロセスの微細化を図ったときは、パフォーマンスの大幅な向上は見込めないものの、Ivy BridgeのフラッグシップモデルであるCore i7-3770K(3.5GHz、TDP77W)は、メインストリーム向けのCPUとしては最も性能も良くて消費電力も低いため、3万円程度の予算があればベストでしょう。

 なお、Ivy Bridgeは前述したように、CPUコアが高温となる問題があってオーバークロックして使い難いため、どうせ定格クロックで使うのであれば、型番末尾に「K」の付かないCore i7-3770(3.4GHz、TDP77W)でも良いのではと迷いそうです。

 しかし、「K」の有無で定格動作クロックが100MHz異なるところを見ても、できの良いものが倍率可変の「K」の付くCore i7-3770Kとして選別されている可能性があるので、Intelは決して「K」の付くモデルが良い選別品とは言わないでしょうが、トラブルのあるときは余計に良いと思われるものを購入したほうが無難でしょう。

 それでも、グリス問題のあるIvy Bridgeが不安であれば、前世代のSandy BridgeのフラッグシップモデルCore i7-2700K(3.5GHz、TDP95W)または人気モデルであるi7-2600K(3.4GHz、TDP95W)が安定していて良いでしょう。

 また、予算を2万円以内に抑えたいのであれば、同様にIvy Bridgeの「K」の付くモデルCore i5-3570K(3.4GHz、TDP77W)がお勧めですが、予算を1万5千円以内と抑えたいときは、まだIvy Bridgeでは安いモデルがないのでSandy BridgeかAMD製のプロセッサを選ぶことになります。

 うちCore i5-2380P(3.1GHz、TDP95W)は、2012年2月下旬に追加発売されたSandy BridgeのGPU非搭載のモデルの一つで、どうせビデオカードを使用する前提であれば、1万5千円前後とお買い得にクアッドコアのCore i5が購入できます。

 このライバルのAMDのCPUでは、6コアのFX-6100(3.3GHz、TDP95W)がお勧めですが、その理由はGPU統合型チップセット搭載Socket AM3+マザーボードを使用すると極めてコストパフォーマンスが良いためです。

 なお、AMDのFXシリーズには、8コアのFX-8150、FX-8120と6コアのFX-6200という上位モデルがありますが、いずれもTDP125Wとあまりにも高いのが難点であり、IntelのLGA1366の後継となる2011年11月に発売されたLGA2011ソケット対応の6コアのCore i7シリーズもTDP130Wですが、こうしたTDP100Wオーバーの高発熱CPUは、もう使う時代ではないと信じています。

 そして1万円以内となると、Sandy Bridgeでもデュアルコアの Core i3-2120(3.3GHz、TDP65W)が購入できるぐらいであり、クアッドコアでは、Radeonグラフィックスを内臓しているAMD Aシリーズに2012年3月に追加されたA8-3820(2.5GHz、TDP65W)がクアッドコアでTDP65Wと低いことが魅力的でしょう。

 このAMD Aシリーズは2012年夏にSocketFM2へ移行する予定でありSocketFM1は一世代限りとなりますが、待てないのであれば価格が安いので使い潰すつもりで選んでも悪くはないでしょう。

 次に、静音パソコン向けの低消費電力版のCPUですが、Intelの型番末尾に「S」の付くTDP65Wの低消費電力版のCore i7-3770S(3.1GHz)も通常版との価格差が縮まって買い易くなっています。これは通常版とのTDPの差も少なくなって、あまり低消費電力版としてのプレミアムは付けれなくなったということでしょうが、よコンパクトなPCケースで使う場合や静音性にこだわれば良い選択肢となります。

 また、予算を2万円以内に抑えたいのであれば、同様にCore i5-3450S(2.8GHz)が魅力的で、予算1万円以内で購入できるCore i3-2120T(2.6GHz)は、デュアルコアであるとしてもTDP35Wとさらに低消費電力なことで静音パソコンにこだわるユーザーにとっては貴重な存在でしょう。

 かつては、自宅のパソコンでAthlon64などAMD製CPUも使ってきましたが、ここ数年AMD製CPUを使っていないのは、TDP100W以上と高いCPUは使いたくないという思いがあるのも一因です。

 そんな中で、唯一関心があったのは、2012年3月にAMD FXシリーズに追加されたクアッドコアプロセッサ「FX-4170(4.2GHz、TDP125W)」であり、シングルコアの時代から発熱の問題で定格クロックが4GHzの大台を超えることはなく、超えられない壁があるように感じていたため、TDPが125Wと高くても常時使用可能な定格クロックが4.2GHzと、軽く4GHzを超えたことは驚きです。

 ここにきてAMDも、プラットフォームが動いており、既存のパソコンをアップグレードするときは、マザーボードも新たに必要となりますが、パソコンのCPUとマザーボードを交換しても、そのコストに見合うパフォーマンスの向上が期待できるかどうかと冷静に見れば、IntelでもAMDでも既存のCPUがクアッドコアCPUであれば、この2年〜3年前のCPUから乗り換えたとしても、メリットが感じられないことが多いでしょう。

 IntelのSandy BridgeとIvy Bridgeは、最近としては珍しく同じLGA1155ソケットを採用していますが、Sandy BridgeのCore i7シリーズからIvy Bridgeに乗り換えても大幅なパフォーマンスの向上は期待できないため、また新しいソケットに変わるとしても次のHaswell待ちということで、自宅のパソコンでは少なくともIvy Bridgeはパスするつもりです。

 Ivy Bridgeの改良点であるDDR3-1600のサポートは、既にSandy Bridgeマザーボードが独自にサポートしており、「Intel HD Graphics 4000」などDirect X11へと強化された内臓グラフィックスは、ビデオカードを使用すれば無駄になるので、TDP77Wに抑えられたメリットだけですが、これも新しく購入するのであれば大きな魅力ですが、買い替えの節電効果としては期待できません。

 このところ、IntelのCPUは1年半ぐらいで新しい世代のCPUに置き換わっており、Haswellが2013年第2四半期にリリースされるとすると、さらにサイクルが少し早まることになります。しかし、サイクルが短くなれば技術や性能の向上は限られ、10〜20%程度のパフォーマンスの向上にとどまるのであれば、一世代の間をあけてCPUをアップグレードしたとても、まだ早過ぎるかもしれません。

 現在は、メインストリーム向けのCPUはフラッグシップモデルでも3万円以下と安く購入できますが、CPUの進化のテンポがゆっくりとしてきた中でも頻繁にモデルチェンジが繰り返されるので、あまりにも高価なCPUには手を出さないように注意して、少しグレードの高い良いものを慌てないで選ぶことが無難でしょう。

 なお、時系列的にCPUが進化してきた経緯について、「CPUの進化の歴史」という別のファイルで解説しています。

 この「CPUの進化の歴史」では次の目次により、シングルコアからデュアルコア、さらにクアッドコアへと進化してきた経緯について、少し詳しく説明していますので、時間に余裕があれば目を通してください。

 1 シングルコアCPUの進化と限界

 2 デュアルコア初期のCPUの進化

 3 Core2シリーズの登場のインパクト

 4 クアッドコアへの移行の本格化


 CPUは、地域のパソコンショップではメーカーが値下げしても高い値段のままで販売されているときもあり、高価であれば通販ショップの販売価格を比べて、安い店を探して購入すると良いでしょう。

<Intel CPU>
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 自作パーツの選び方 目次


    1 パーツの選択の仕方

    2 パーツの種類別の選び方

       CPU  マザーボード  PCケース  メモリー

      ハードディスク  ビデオカード  その他のパーツ


    <参考> CPUの進化の歴史 (クアッドコアCPUへの進化の経緯解説)

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