Windows XP環境の移行

WindowsXPを使用していて現状不具合がないのであれば、そのままの環境を新しいハードディスクに引っ越すことができれば便利です。
 マイクロソフトでは、こうした場合、WindowsXPを再インストールして、[ファイルと設定の転送ウィザード]を使い、個人設定やファイルを移すことを標準の手順としていますが、元々インストールされているXPを何とか使う方法についても試してみました。なお市販のバックアップソフトを使うことが手っ取り早くてお奨めでしょうが、評判の良いソフトは価格が高いため、コストをかけない方法を試しています。

 また、このファイルは初心者向けではありません。取り扱い易いWindows上での操作を主に説明していますが、ハードウェア、MS-DOS、レジストリの基礎的な知識のある自作ユーザー向けに事例として紹介しており、画面が真っ暗で起動しないときにも、自分でトラブルが解決できる方のみ参考としてください。同じことをしてもトラブル可能性があり、もしトラブルとなってもフォローアップできません。

なお、このファイルは「My Free-style PC」の「PC自作コーナー」のファイルです。
検索エンジン経由で、このページを訪問いただいたのであれば、サイト内の他のファイルも是非ご覧ください。


 目 次

1 Windows環境の移行の問題点

   デュアルブート環境から、Primary MasterのHDDを取り外す問題
   WindowsXP起動プロセスの概略と環境移行の問題点

2 Windows環境の移行の準備

   ハードディスクの領域設定
   不要ファイルの削除とシステムドライブの最適化

3 現状のシステム構成を前提とした移行の試み

   デュアルブート環境からWindows98を外す
   Secondary slaveドライブをPrimary masterドライブに変更
   新しいSerialATAハードディスクに環境移行

4 環境移行の方法論の要点

  4-1 ドライブレター変更方法と留意事項
  4-2 BOOT.INIファイルの記述内容と修正方法
  4-3 Primary masterハードディスクを外すリスク
  4-4 新しいハードディスクに引越しする方法論

1 Windows環境の移行の問題点

 
 現状は、Windows98とXPのデュアル環境であり、最終的にはPrimaryのMasterに接続されたハードディスクを取り外す、つまり以前のC:ドライブがなくなりドライブ構成が変わることから、次のような面倒なことが起きます。

(1)Windowsの[バックアップまたは復元ウィザード]は異なるドライブへの復元は制約がある。
(2)C:ドライブがなくなり、その起動プロセス情報がなくWindowsが起動しない。
(3)NTLDR(OSローダー)が読むboot.iniファイルの書換えをしないとWindowsが起動しない。
(4)ハードディスクを外しても、ドライブレターが歯抜けとなりC:ドライブが消えてしまう。
(5)Windowsがインストールされているシステムドライブのドライブレターの変更が難しい。

 起動プロセスの面だけでも以上のように問題山積であり、単純にWindowsがインストールされているシステムドライブをバックアップして、新しいドライブにコピーしても起動しません。

 (1)のWindowsのアクセサリのシステムツールとして用意されている[バックアップまたは復元ウィザード]では、レジストリ、システムファイル、ブートファイルなどのシステム状態ファイルもバックアップでき別の場所に復元することも可能ですが、システムの復元でレジストリが正常な状態に戻らない場合に、元々の場所に復元するためのツールですから、新しいドライブに復元しても正常に起動できないのです。

 (2)と(3)の起動プロセスのトラブルは、パソコンの起動、そのOSであるWindowsの起動の仕組みの問題です。
 パソコンの電源を入れるとBIOSが起動し、BIOSで指定されている起動デバイス(使用中のパソコンは一般的にはハードディスクのC:ドライブ)からOSを起動します。

 ハードディスクが起動デバイスでWindowsXPを起動する過程を少し詳しくみると、BIOSはハードディスクのC:ドライブの先頭セクタにあるMBR(マスター・ブート・レコード)を読み込み、パーティション情報を取得し、アクティブな基本領域のブートセクターを読み込み、ブートセクターのNT IPL(InitialProgramLoader)は、OSローダーNTLDRを読み、NTLDRは「boot.ini」ファイルを読み込み、デュアル環境では起動OSの選択画面を表示させるという順に起動プロセスが進みます。

<WindowsXP起動プロセスの概略>
 
  電源ON BIOSを起動  BIOSはマザーボードのROM内にある
   
  MBR を読み込み  MBRは起動ハードディスクの先頭セクターにある
   
  NTLDR を読み込み  NTLDRは起動パーティションの先頭ブートセクターにある
   
  boot.iniファイルを読み込み  boot.iniファイルはユーザーが書き換え可能
   
  Windows を読み込み  
 
 上の図はWindows環境の移行のための要点のみ記した概略図ですが、つまりPrimaryのMasterに接続されたハードディスクを交換するとMBRとブートセクターの修復が必要であり、「boot.ini」ファイルの書き換えが必要となります。

 なおNTLDRは、その名前からも元々はWindowsNT系のOSのローダーであり、Windows98のみインストールされているパソコンでは使われていません。

 (4)と(5)のドライブレターのトラブルは、ハードディスクの管理、パーティションを切ったドライブのファイルシステムとドライブ構成の問題です。

 WindowsXPでは、NTFSファイルシステムによりドライブをフォーマットして使うことが一般的ですが、Windows98とXPのデュアル環境ではWindows98ではNTFSファイルシステムのドライブが扱えません。そのため、現在Windows98をインストールしてあるPrimaryのMasterに接続されたハードディスクは、FAT32ファイルシステムでフォーマットしています。

 メインのパソコンのパーツ構成では、既にWindows98はNICのドライバが対応してないことに加えて、SerialATAハードディスクを外さないと起動しなく不便なため、この際デュアル環境はあきらめてWindowsXPのシングル環境に戻すことにし、PrimaryのMasterのドライブを外すことにしました。

 なおWindowsXPの設定は旧ドライブ構成を前提としており、WindowsXPが起動しても、システム設定や個人設定の修正が必要です。

2 Windows環境の移行の準備

 
(1)ハードディスクの領域設定

  今回は、購入してすぐにSeagateのハードディスクは、SerialATAケーブルで接続し、パーティションを4つに切ってフォーマットは済ませています。<参照:DVD編集・TV録画パーツの増設

 領域の種類は、基本領域と拡張領域とあり、拡張領域には論理ドライブを作成でき、アクティブな基本領域一つと、拡張領域内に論理ドライブを3つに仕切っています。

 メインマシンの他のハードディスクも、基本領域1つと拡張領域に論理ドライブを1〜3作成するという昔ながらのドライブ構成になっていますが、OSをインストールしないデータ用のハードディスクをNTFSファイルシステムで使用する場合は、基本領域を設けず全て拡張領域として論理ドライブを分けることも可能です。

 Windowsでは、基本領域、アクティブな領域、拡張領域内の論理ドライブという種類によって、ドライブレター(文字)を振るときに区別して優先順を決めるため、いっそのこと全て拡張領域の論理ドライブのみのハードディスクにすると便利な面もあります。

 Windows98でFAT32ファイルシステムで使うときは、FDISKを使用して領域設定をしてましたが、FDISKコマンドでは、基本領域は一つしか作成できないという制約があります。

 しかしWindowsXPのディスクの管理でNTFSファイルシステムを使う場合は、基本領域は4つまで作成できるし、拡張領域内に論理ドライブのみ設けることもでき、自由度が高いので、新しいハードディスクのみ複数台使うときは、先々のことを考えて領域設定すると良いでしょう。

 今回は1台追加するだけであり、全ハードディスクを領域設定し直すわけにはいかないので、現状のドライブ構成が前提となることは止むを得ないのです。


(2)不要ファイルの削除とシステムドライブの最適化

 ハードディスクを扱うときは、万一に備え重要なファイルをバックアップすることは基本ですが、システムドライブのバックアップは、事前にそのドライブの不要なファイルを削除しておくことも必要な手順でしょう。

 不要なファイルとして容量が大きいのは、ごみ箱、IEやその他のアプリケーションの一時ファイルですが、マイドキュメントやデスクトップのフォルダ内のWebサーフしたときの保存ファイルやデジカメの画像ファイルなども、取って置くのなら別のドライブにあらかじめ待避させておき、システムドライブをスリム化しておくと、バックアップの時間が短縮できます。

 Windowsの[バックアップまたは復元ウィザード]や[ファイルと設定の転送ウィザード]は予想以上に処理時間がかかり、特に[バックアップまたは復元ウィザード]は、何も準備しないでいきなり処理すれば、気が長い人でも嫌になります。

 [バックアップまたは復元ウィザード]の自動システム回復ウィザードでシステムドライブをバックアップする処理時間は、不要ファイルを削除し、ドライブの最適化を実行した後では、約20分(使用領域6.18GB:ハードウェアのスペックにもよります)で完了しました。

3 現状のシステム構成を前提とした移行の試み

 
 この7月に、Seagate製のSerialATAハードディスクを追加し、現状のハードディスク4台のドライブ構成及びWindowsのインストール状況は、次表のとおりWindows98とXPのデュアルブート構成です。

<ドライブ構成:基本領域と拡張領域内の論理ドライブ
 HDD(Qantum)
  Primary master
C: 基本領域
 Windows98
E: 論理ドライブ ← 取り外すハードディスク  
 HDD(Maxtor)
  Secondary Slave
D: 基本領域
 WindowsXP
F: 論理ドライブ G: 論理ドライブ H:ドライブ が昔あ
ったがG: に統合済
 HDD(Seagate)
  SerialATA コネクタ1

N: 基本領域
O: 論理ドライブ P: 論理ドライブ Q: 論理ドライブ
 HDD(日立IBM)
  SerialATA コネクタ2

J: 基本領域
K: 論理ドライブ L: 論理ドライブ M: 論理ドライブ
 DVD-RW(LG)
  Secondary master

I:
     
   SATAコネクタは、masterとslaveの区別がなく独立しているため、ハードディスク本体にはジャンパピンが不要でありません。
 BIOSではThird IDE Master(Seagate)とForth IDE Master(日立IBM)と認識されてます。なおコネクタ1に接続されていた日立IBMのHDDをコネクタ2に接続し、コネクタ1にはSeagateのHDDを入れ替えて接続しましたが、WindowsXPが一旦振ったドライブレターは変わらず元のまま(日立IBMがJ:〜M:)です。つまり追加HDDには、使われていないドライブレターを振ります。


 WindowsXPは、新しくHDDを追加すると自動的にドライブレターを振りますが、この構成からWindows98がインストールされているQantumのハードディスクを物理的に取り外すことになります。


<Windows98を外すのは簡単>

 ハードディスクを外さないで現状のドライブ構成のまま、Windows98を消しWindowsXPのシングル環境に戻すことはそれほど難しくなく、起動OSの選択画面の表示を消し、WindowsXPがすぐに立ち上がるようにすることと、C:ドライブをフォーマットすれば可能です。

 boot.iniファイルの書き換えは、Windows上で「ファイル名を指定して実行」から「C:boot.ini」とタイプすると、メモ帳でファイルが編集できます。下の例のように[boot:loader]の記述内容を修正し、「上書き保存」すれば完了です。

  [boot loader]
timeout=30 
←この「30」を「0」に書き直す
default=multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)\WINDOWS[operating systems]
multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)\WINDOWS="Microsoft Windows XP" /fastdetect
C:\ = "Microsoft Windows" 
←この行を削除する
 
defaultがXPの参考事例、つまり放っておけばWindows XPが立ち上がるケースです。

「default=multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)・・・」と「multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)・・・Windows XP ・・・」の( )内の番号が一致しているか確認してください。
 


 フォーマットは、Windows上ではシステムドライブはフォーマットできないため、WindowsXPのCD-ROMを使用するか、起動ディスクのFORMATコマンドを使います。

 これでシングル環境に戻り、電源を入れれば、D:ドライブにあるWindowsXPが何の問題もなく起動しますが、既存のPraimaryのmasterのハードディスクを取り外せば起動できないため外せません。


(1)Secondary slaveドライブをPrimary masterドライブに変更

 
Qantumのハードディスクを取り外し、Maxtorのハードディスクのジャンパピンをmasterに変更しPrimaryのmasterドライブとして接続しても、もちろんWindowsXPは起動しません。

 
WindowsXPのCD-ROMの回復コンソールで、修復できるのかもしれませんが、起動プロセスの修復はWindows98のように簡単ではないようです。

 止むを得ず
SeagateのハードディスクのN:ドライブにWindowsXPを新規インストールすることで、起動プロセスを再構築しましたが、この新規インストールは、後から消してしまうため気楽であり、30分もかからないので手っ取り早くお勧めかもしれません。

 この後、
boot.iniファイルを修正した後、N:ドライブのWindowsXPは、さっさと消してWindowsXPのシングル環境に戻して、今回は別のドライブに引っ越したことにはならないけれど、面倒なので完了と思っていました。

<ハードディスクを取り外した後のドライブ構成>

 HDD(Maxtor)
  Primary master
D: 基本領域
 WindowsXP
F: 論理ドライブ G: 論理ドライブ  
 HDD(Seagate)
  SerialATA コネクタ1

N: 基本領域
O: 論理ドライブ P: 論理ドライブ Q: 論理ドライブ
 HDD(日立IBM)
  SerialATA コネクタ2

J: 基本領域
K: 論理ドライブ L: 論理ドライブ M: 論理ドライブ
 DVD-RW(LG)
  Secondary master

I:
     


 しかし、やはりWindowsのドライブレターが気になるため、アプリケーションのパスが通らなくて動かなくなるリスクはあるものの、問題のあるソフトのみ再インストールすれば良いと思い、ドライブレターを修正することとしました。

 ドライブレターの変更は、WindowsXPがインストールされているシステムドライブ以外は、WindowsXPの「ディスクの管理」で可能です。

 「ディスクの管理」は、「マイコンピュータ」を右クリックし、メニューから「管理」をクリックし、「コンピュータの管理」の画面左下の方の「ディスクの管理」をクリックすれば右側に情報が表示されます。

 変更したいドライブを選択して右クリックし、「ドライブ文字とパスの変更」をクリックし、表示されるホップアップウィンドウで「変更」をクリックし使われていないドライブレターに変更できます。なお、空いているドライブレターしか使えないので順番に変更する必要があります。

 しかし、システムドライブの変更は、レジストリの書き換えが必要です。
 ファイル名を指定して実行「regedit」と入力して、レジストリエディタを起動し、
「HKEY_LOCAL_MACHINE \SYSTEM \MountedDevices」までたどり、今回の場合はD:ドライブをC:ドライブに変えるため、右側の\DosDevices\D: を選択し、F2 キーを押して、「D」を空きの「C」 に変更しています。

 システムドライブのドライブレターを変えると、やはり起動しなくなります。NTLDRの起動OSの選択画面は表示され、ユーザーアカウントの選択画面の表示の段階でストップするため、上述の起動プロセスの問題ではなく、デュアルブートであれば他のドライブにインストールされているWindowsは起動できます。

 せっかくドライブレターをC:ドライブに変更したのに、起動できないのでは困るのですが、WindowsXPのCD-ROMを使用して修復インストールすれば、起動するようになります。

 このシステムドライブのドライブレターを変えたことによるトラブルの場合、Windows上のドライブレターでありレジストリの問題でしょうが、セーフモードの起動も不可、前回正常に起動したときの状態に戻しても不可、Wimndowsバックアップを復元しても不可、おそらくWindowsXPのCD-ROMを使用して修復インストールする以外の方法では直らないのではと思われます。


 ともかくドライブ構成を下図のとおり修正し、正常に起動するようになりました。

<ドライブ構成修正後>

 HDD(Maxtor)
  Primary master
C: 基本領域
 WindowsXP
D: 論理ドライブ E: 論理ドライブ  
 HDD(Seagate)
  SerialATA コネクタ1

J: 基本領域
K: 論理ドライブ L: 論理ドライブ M: 論理ドライブ
 HDD(日立IBM)
  SerialATA コネクタ2

F: 基本領域
G: 論理ドライブ H: 論理ドライブ I: 論理ドライブ
 DVD-RW(LG)
  Secondary master

N:
     

 後は、アプリケーションが動かないものが、どの程度あるのかという問題です。


<アプリケーションの動作についての問題>

 Outlookの受信フォルダが読めない、テレビ視聴ソフトのFeatherの画面が写らない、EpsonPhoteQuickerでデジカメ画像が取り込めないなど多くのトラブルは簡単に修正でき、再インストールしなければならないアプリケーションは多くはなさそうで、そのうち使ったときに動かなければ再インストールすれば良いのです。

 なお元々WindowsXPはD:ドライブにあったため、Documents and SettingsとProgram Filesは新たにドライブレターD:を振った論理ドライブにもコピーして置いてます。これでテレビ視聴ソフトのFeatherの画面が写るようになっており、他にも救われたソフトがあるのでしょう。

 ショートカットのように起動時のパスは変更できても、アプリケーションの実行中に参照するファイルへのパスはユーザーでは変更できないのです。

 しかし簡単には解決しなかったのが、インターネットエクスプローラ(IE)のトラブルです。
 IEのお気に入りを左側に表示したとき、全てのアイコンが消えており、文字しか表示されていないトラブルに気づきました。よくあるアイコンが汎用アイコンに変わってしまうというトラブルでなくアイコンそのものが無いのです。

 お気に入りの機能はまったく支障が無く使えますが、お気に入りのフォルダやファイルを右クリックしてプロパティからアイコンを変更しても、システムはアイコンを保持しているのに、画面に無いものは変更できないという状態です。

 さてIEのトラブルなので、IEをアンインストールして再インストールすれば必ず直ると思いマイクロソフトのサイトから最新バージョンの
Internet Explorer 6 SP1 をダウンロードしてインストールしようとしました。

 しかし同じバージョンのIEは
再インストールできず、サポート情報を見ると、レジストリの書き換えが必要です。

 ファイル名を指定して実行「regedit」と入力して、レジストリエディタを起動し、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Active Setup\Installed Components\{89820200-ECBD-11cf-8B85-00AA005B4383}」までたどり、右側の「Isinstalled」をWクリックして、値のデータを「1」から「0」に変更すればインストールできるようになります。

 しかしIEの再インストールでも直らず、「プログラムの追加と削除」のInternet Explorer修復でも直らず、結局IEを再インストールした後の、再度のWindowsXPの修復インストールで、ようやく解決しました。

 かつて
Windows98の頃は、雑誌のCD-ROMからIEのバージョンアップしたりすることが多く、IEのアンインストールも再インストールも容易だったのですが、最近はプラウザであるIEは、OSとの関連が強く単独では外し難くなっており、またOSを修復しないと直らないのであれば、結局WindowsXPの修復インストールが必要となるようです。

 これで一件落着ですが、上述したこと以外にも、IMEの変換がおかしいなど直らないと困るトラブルも修正しており、システムドライブのドライブレターの変更はリスクが大きいのです。決して真似しないでください

 また最近は市販ソフトでもダウンロード版を利用しているのであれば再インストールできないというリスクもあり、システムドライブのドライブレターの変更は、無理に行う必要も無いはずです。

 

なお、ついでに説明すると、仮にSeagateのハードディスクの基本領域に新規インストールしたWindowsXPのドライブレターは次のようになっています。

<WindowsXPを新規インストールした場合のドライブレター>

 HDD(Maxtor)
  Primary master
C: 基本領域
 WindowsXP
F: 論理ドライブ G: 論理ドライブ  
 HDD(Seagate)
  SerialATA コネクタ1

D: 基本領域
(仮)WindowsXP
H: 論理ドライブ I: 論理ドライブ J: 論理ドライブ
 HDD(日立IBM)
  SerialATA コネクタ2

E: 基本領域
K: 論理ドライブ L: 論理ドライブ M: 論理ドライブ
 DVD-RW(LG)
  Secondary master

N:
     

BIOSのHDDの順番(MaxtorはPrimary master、SeagateはThird IDE Master、日立IBMはForth IDE Master)を前提に、まず基本領域からドライブレターをC:→D:→E:と振り、その後、論理ドライブのドライブレターをF:〜M:まで振っています。

 ここでは説明を省略しますが、一つのハードディスクに基本領域が2つ以上あるときは、アクティブかどうかということも関わりあってドライブレターの振られ方が違いますが、一般的によくある基本領域一つづつの複数のハードディスクを接続して、WindowsXPを新規インストールしたときは上の図のようになります。

 つまりハードディスクが新品か、既存のデータが保存されているものかどうかは関わり無く、WindowsXPを新規インストールした時点で所定の順番にドライブレターが振られるのです。
 なお、WindowsXPをインストールした後からハードディスクを追加しても、前からあるハードディスクの一旦振ったドライブレターは変更されません。



(2)新しいSerialATAハードディスクに環境移行

 使用中のシステムドライブのコピーは、起動中のWindowsXPでは、コピーをかけてもコピーできないファイルでSTOPしてしまい、他のドライブやフォルダのように単純にコピーできません。

 またWindows
の[バックアップまたは復元ウィザード]を使いバックアップしても、他のドライブに復元する場合は制約があるため、WindowsXPは起動できません。

 MS-DOSのXCOPYコマンドを使用して、ドライブ全部コピーするか、Windowsフォルダのみコピーするか、どちらかの方法で引越して、必要があればWindowsXPの修復インストールをする方法が起動できる可能性が高そうです。

 まずMS-DOSのXCOPYコマンドを使用して、ドライブ全部コピーを試してみました。
WindowsXPの修復インストールで起動できましたが、おそらく修復インストールしたためでしょうが、WindowsXP CD-ROMに収録されていないハードウェア関係の最近のドライバの再インストールが必要となりました。

 ドライバの再インストール程度で何とか使えるのであれば、アプリケーションの再インストールは救われるのですが、ドライバもメーカーサイトからダウンロードした新しいバージョンに置き換えているものもあり、要は手間のかかり具合で、これでは普通に、WindowsXPをクリーンインストールした手間と比べ
、それほど省けてないようです。

 次に、元のドライブ内のWindowsフォルダのみXCOPYコマンドでコピーして、Documents and SettingsWindows[バックアップまたは復元ウィザード]を使い復元し、Program Filesなど他のフォルダはWindows上で単純にコピーしてみました。

C:ドライブ

 Windows
フォルダ

 Documents & Settings

 Program Filesなど


XCOPYコマンドでコピー →

Windowsバックアップで復元→

Windows上で単純にコピー →
E:ドライブ

 Windows
フォルダ

 Documents & Settings

 Program Filesなど

 Windowsフォルダのコピーに使うXCOPYは、MS-DOSのコマンドであり、Windowsを起動させないでMS-DOSで処理するのが本筋ですが、Windows98の起動ディスクではNTFSファイルシステムのドライブが見えないこと、WindowsXPのCD-ROMから回復コンソールを立ち上げても、XCOPYは認識できないため不可です。

 そのため、WindowsXPのアクセサリの「コマンド プロンプト」を使うのが簡単なので使ってみました。なおXCOPYコマンドを使う方法については、「
4-4 新しいハードディスクへの引越しの方法論」で、もう少し詳しく説明してますので参考にしてください。

 ただし起動中のWindowsのフォルダをコピーすることは共有違反が多く大変なため、
C:ドライブ、つまりMAXTORのハードディスクではなく、仮にインストールしたSeagateのハードディスクの基本領域にあるWindowsXPのアクセサリの「コマンド プロンプト」を使っています。

 つまり、
SeagateのハードディスクのWindowsXPのドライブレターは、すぐ上の図のとおり、C:がMAXTOR、D:がSeagate、E:が日立IBMのそれぞれ基本領域(第一パーティション)です。
 コマンド プロンプトでは、次のとおり入力し、Enterキーを押せば、コピーできます。

   d:\windows\system32\xcopy c:\windows e:\windows /e /h /r /k  
 
 式の意味は、D:ドライブのWindowsフォルダのSystem32フォルダ内にあるXCOPYを使い、
C:ドライブのWindowsフォルダをE:ドライブにコピーするということです。/e以下はオプションであり、ディレクトリ構造をそのまま移し、システムファイルもコピーするためのものです。

 XCOPYでコピーしたファイル数は、元のWindowsフォルダのファイル数と全く同じでした。

 なお通常、WindowsUpdateを利用して、WindowsXPの修正プログラムを適用していると思いますが、この場合、修正プログラムを削除したときに元に戻すために、Windowsフォルダ内に「$NTUninstallKB821557$」というような、いくつかの隠しフォルダが保存されています。

 これら「$NTUninstallKB821557$」などを削除しないとXCOPYがストップします。
 現状問題なければ修正プログラムを外して元に戻すことはないし、どうせ引っ越すので削除しても良いのですが、他のフォルダに退避させておいても良いでしょう。


 Program Filesなど他の
フォルダは、そのままSeagateのハードディスクのWindowsXP上で単純にコピーをしています。

 しかし
Documents and Settingsは、MAXTORのハードディスクのWindowsXPを起動して、Windowsバックアップを使用してバックアップしていたものを、復元ウィザードを使用してF:ドライブ(MAXTORのハードディスクのWindowsXPのドライブレターでは日立IBMの基本領域はF:ドライブです)に復元しています。

 なおWindowsXP HomeEditionでは、Windows
バックアップは標準でインストールされないコンポーネントであるため、WindowsXP CD-ROMから追加する必要があります。またDocuments and Settingsの引越しは、Windowsバックアップを使わなくても良いかもしれませんが、Windows上での単純なコピーはできないこともあります。

 これで、MAXTOR
と日立IBMのハードディスクの基本領域のフォルダ構成は、見た目には全く同じです。

 次に、
boot.iniファイルを修正しないと、日立IBMのハードディスクのWindowsXPを選択して起動できないので、次のように直しています。

  [boot loader]
timeout=30
default=multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINDOWS[operating systems]
multi(0)disk(0)rdisk(2)partition(1)\WINDOWS="Microsoft Windows XP 仮2" /fastdetect
multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)\WINDOWS="Microsoft Windows XP 仮1" /fastdetect
multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINDOWS="Microsoft Windows XP Professional" /fastdetect
 
 rdisk(0)がMAXTOR、rdisk(1)がSeagate、rdisk(2)が日立IBMのハードディスクです。
 ここでは、MAXTORの基本領域partition(1)から、日立IBMの基本領域にシステムをコピーしており、
赤字の行を一行追記すれば、OSの選択画面で引っ越したドライブのWindowsXPが起動できるようになります。 なお " " 内の文字は判り易いように自由に変更できます。"Microsoft Windows XP 仮2" など仮1、仮2はすべて"Microsoft Windows XP Professional"と表示されては区別がつかないので仮に入れたということが判るようにしています。

 

 以上で、引越しは完了で、WindowsXPは正常に起動しました。 

 ハードウェアは、デバイスマネージャを見ても元のドライブと同じで全く異常がないし、ベンチマークソフトのFinalFantasyも問題なく完走するし、ソフトウェアもウェブサーフィン、メールなどインターネット関連やその他の主要ソフトを使っても、特に支障がなく、WindowsXPの修復インストールが必要かと思っていたのですが、今のところはその必要も無いようです。

 取り敢えずWindowsの起動や主要なアプリケーションは全く正常に動作しても、何か不具合のある機能があるかもしれず、その場合はWindowsXPの修復インストールで修正できるかどうかという問題です。

 おそらく上述の方法でWindowsXPの起動は問題ないと思いますが、環境によって、WindowsXPの起動すらできないときは、WindowsXPの修復インストールが必要です。


 これでMAXTOR、
Seagate、日立IBMいずれのハードディスクからもWindowsXPは正常に起動し、特に支障なく使えるようになりました。

 
仮に新規インストールしたSeagateのハードディスクのWindowsXPに、ドライバと主要アプリケーションをインストールし、セオリーどおり「ファイルと設定の転送ウィザード」で個人設定を転送してみましたが、使用しているアプリケーションが多い上に、アプリケーションも設定を変えカスタマイズしていたものがあり、元々のWindowsXPや引っ越したものに比べて、印象は不便という感じです。慣れたものが良いと感じるのは、初めはそういうものなのでしょう。

 最近頻繁に、WindowsXP用のセキュリティー問題の修正プログラムが提供されているなどWindowsをアップデートするだけでも30分以上と、XP本体をインストールするより時間がかかるなど、完全に元の状態に戻すのに一日では難しいのではと思われます。

 CD-ROMのないダウンロードソフトが多い場合は、さらに大変です。
 結局、MAXTORのハードディスクの元のWindowsXPを残し、他は今後も面倒見切れないので
消すこととしました。

 WindowsXPのアンインストールは、そのドライブをフォーマットし、
boot.iniファイルを修正するだけのことで簡単なことです。


(3)WindowsXP SP2の適用

 2004年9月からWindowsXPのセキュリティ機能を強化したService Pack 2(SP2)の提供が始まりました。

 Service Pack1を適用したときにも、メーカー製パソコンではトラブルがあったようですが、今回のService Pack 2では、セキュリティ関連の問題の大幅な修正であることから、既にテスト配布している時期から動作上のトラブル情報が多いのです。

 ネットワーク関連のソフトのトラブルだけでなく、ハードウェア関連のトラブルも発生することもあり、少し古いパソコンにSP2を適用するとトラブルに巻き込まれ可能性があります。詳しくは、WindowsXP SP2適用の問題に記載していますので参照してください

4 環境移行の方法論の要点

 
 上述のこれまでの試みの結果の要点を整理してみました。

4-1 ドライブレター変更方法と留意事項

 
 ・ BIOSが認識するIDE接続順の物理的なハードディスクの順番と、Windowsが振るドライブレ
  ターは異なります。
 
 ・ Windowsをインストールしたときに一旦振ったドライブレターは、ハードディスクを追加して
  も変更されず、新しいハードディスクには空いているドライブレターを振ります。
  そのため既存のアプリケーションが動作しなくなることがないのです。

 ・ 同じパソコンでも、再度WindowsXPを新規インストールをし直せば、新たにドライブレター
  を振ります。

 ・ 下の画像は、WindowsXPの「ディスクの管理」の画面ですが、左側は、MaxtorのHDDの
  前から使用していたWindowsXPで、右側は仮にSeagateのハードディスクにインストールし
  たWindowsXPのものです。いずれも選択して起動できます。

   つまりWindowsのドライブレターは、そのWindowsにとってのドライブレターにすぎないの
  です。
 
 
 ・ ドライブレターの変更は、「ディスクの管理」(上の画面)で可能です。
   システムドライブ以外のドライブレターは、簡単に変更できますが、何かトラブルがあれば
  戻せるように、旧ドライブ構成を控えておくと良いでしょう。

   各種アプリケーションソフトのインストールは、Windowsがインストールされているドライブ
  のProgram Filesなどにインストールすることが一般的であり、システムドライブのドライブレ
  ターを変更しなければ、おそらく大きな問題はないでしょう。

 ・ システムドライブのドライブレターは、「ディスクの管理」では変更できず、レジストリの書き
  換えで変更することになります。
   しかし、レジストリを書き換えると起動不可となり、WindowsXPの修復インストールで起動
  できるようになっても、多くのアプリケーションに不具合が生じ、修正が大変です。

 ・ デュアルブート環境で、元々がC:ドライブ(QantumのHDD)にWindows98、D:ドライブ
  (MaxtorのHDD)にWindowsXPという状況から、QantumのHDDを取り外したため、C:ドライ
  ブが空きとなったため変更しましたが、システムドライブのドライブレターの変更はトラブル
  の原因となるだけのことで止めるべきでしょう。


4-2 BOOT.INIファイルの記述内容と修正方法

 
 ・ boot.iniファイルの書き換えは、Windows上で可能です。
   「ファイル名を指定して実行」から「C:boot.ini」とタイプすると、メモ帳でファイルが編集で
   き、下の[boot loader]と書かれたファイルを修正し、上書き保存して完了です。

   なお、C:ドライブのWindowsXPでなく、他のドライブのWindowsXP上でも編集可能です。
   ただし、「C:boot.ini」と必ず「C:」を付す必要があります。
   またWindows上では、「C:\boot.ini」の「\」は省くことができます。

  [boot loader]
timeout=30
default=multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINDOWS[operating systems]
multi(0)disk(0)rdisk(2)partition(1)\WINDOWS="Microsoft Windows XP 仮2" /fastdetect
multi(0)disk(0)rdisk(1)partition(1)\WINDOWS="Microsoft Windows XP 仮1" /fastdetect
multi(0)disk(0)rdisk(0)partition(1)\WINDOWS="Microsoft Windows XP Professional" /fastdetect
 ・ boot.iniファイルのハードディスクは、BIOSの接続順にrdisk(0)rdisk(1)rdisk(2)となり、
  partitionも各ハードディスク毎にpartition(1)から順番となります。

 ・ 通常は、WindowsXPを新規インストールすれば、他のドライブにインストールされている
  Windowsを調べ、何もしなくてもOSを選択起動できるように修正されます。

 ・ 今回のようにデュアルブートをシングルブートに戻したり、XCOPYでWindowsフォルダを
  引越して使おうというときには、OS選択画面の表示を変更するために修正が必要です。

 ・ なお上の事例は、BIOSの接続順に3番目のハードディスクrdisk(2)の第1パーティションに
  あるWindowsXPを選択して起動できるように、赤字の一行を追記したものです。
  詳しくは3-(2)を見てください。

 ・ その他デュアルブート環境などで、よく変更するケースは次のような場合です。
   OS選択画面の表示時間の30秒が長いと思えば、timeout=30timeout=15 として表示
  時間を15秒に短縮できます。
   シングルブートで timeout=0 とすれば、
OS選択画面は表示されません。

   デフォルト、つまり選択しなくてもtimeout後に起動する
OSを default=multi(0)disk(0)rdisk(1)
  partition(1)・・・の行の rdisk( ) および partition( ) の( )
内の番号を変えることにより変更
  できます。

   上の事例では、デフォルトでrdisk(0)partition(1)のドライブの"Microsoft Windows XP
  Professional"
が起動しますが、rdisk(1)と修正すれば、"Microsoft Windows XP 仮1"
  デフォルトとなります。

   なお"Microsoft Windows XP Professional"の " " 内の文字は、OS選択画面に表示され
  る文字で自由に変更できます。

4-3 Primary masterハードディスクを外すリスク

 
 ・ デユアルブート環境では、Primary masterに接続されたハードディスクのC:ドライブに
  Windows98やMeがインストールされていて、WindowsXPは例えばD:ドライブなど他のドライ
  ブにインストールしていることが多いでしょう。

 ・ Primary masterに接続されたハードディスクは、パソコンの起動の仕組み上重要です。
   Primary masterのハードディスクの先頭ドライブである基本領域の先頭セクタには、電
  源ONの後、最初にBIOSがファイルを読みにいくMBRがあります。

   なお普通は、Primary masterにハードディスクを接続しますが、もしDVDなど接続されて
  いてHDDでなければ、IDE接続順の先頭ハードディスクが重要となります。

   つまりBIOSにとって、ハードディスクは接続順、つまり物理的な順番であり、先頭ハー
  ドディスクの基本領域は常にC:ドライブとして、Windows上のドライブレターに関わり無い
  のです。

 ・ Primary masterのハードディスクを取り外してしまえば、MBRを始め起動情報は一切無く
  なり、他のドライブにWindowsXPがあっても起動しません。

 ・ WindowsXP CD-ROMの回復コンソールには、FIXMBR、FIXBOOT、BOOTCFGなどのコマ
  ンドが用意されており、MBRをはじめ起動プロセスに必要なファイルを修復できるのかもし
  れませんが、起動プロセスの修復はWindows98のように簡単ではないようです。

 ・ WindowsXP CD-ROMを使用して、修復インストールすれば、先頭ドライブのMBRやブート
  セクタも修復できますが、WindowsXP自体は問題がないのに、修復インストールしたため
  に、不具合が発生する可能性もあります。

 ・ WindowsXP CD-ROMで、仮に他のドライブに新規インストールして、起動プロセスのみ再
  構築し、「boot.ini」ファイルを書き換え、元のドライブのWindowsXPが起動できれば、仮に
  新規インストールしたものを削除してしまう方法が簡単です。
   仮であれば、アプリケーションや個人設定の転送は不要であり、30分もかからずに仮の
  WindowsXPが起動でできます。

   つまり、普通は新規インストールしたXPに、ドライバやアプリケーションをインストールし、
  「ファイルと設定の転送ウィザード」で個人設定を転送し引っ越して、元のWindowsXPを消
  すのでしょうが、何も元々トラブルのないWindowsXPを取り替える必要性はないのです。

4-4 新しいハードディスクに引越しする方法論

 
 WindowsXPがインストールされているハードディスクを物理的に取り外すときは、引越しせざるを得ません。もちろんハードディスクの故障も同様です。

 WindowsXPの再インストールと[ファイルと設定の転送ウィザード]の利用というセオリーどおりの手順は、長い間使い続けてきたパソコンでは面倒で難儀なことです。

 単純にシングルブート環境で、C:ドライブ(Primary master)にWindowsXPが入っている一般的なケースとして、ハードディスクを交換するため引越しする手順として、どういう方法で移行するにしても、取り敢えず以下の準備はした方が良いでしょう。

   Primary master 以外のドライブとしてハードディスク増設  
   
   HDDの領域設定とNTFSファイルシステムでフォーマット  
   
   [Windowsバックアップ] を使用してC:ドライブをバックアップ  
   
   [ファイルと設定の転送ウィザード] を使用して個人設定を保存  
     

自作パソコンのユーザーにとっては、ハードディスクの増設は手馴れたものでしょうから、まずPrimary master以外のドライブとして接続し、先に領域の設定と作成した全てのドライブをNTFSファイルシステムでフォーマットしておくと良いでしょう。

 次に、
ハードディスクを取り外す前に、新しいハードディスクの論理ドライブ(基本領域以外)に、元のWindowsXPのインストールされているC:ドライブを[Windowsバックアップ]を使用してバックアップし、[ファイルと設定の転送ウィザード]を使用して、個人設定を保存しておくと良いでしょう。

 なおバックアップするときに、不要なファイルは削除して、ドライブをスリムにしておくことは必要な手順です。

 この後は、どうやって引越しするかの問題です。

 単純にシングルブート環境で、C:ドライブ(Primary master)にWindowsXPが入っている状態を想定して、次のような手順でC:ドライブの引越しをテストしてみました。なお説明の関係で順序は後先しますが、<引越し方法1>より<引越し方法2>の方がお勧めです。

  取り外すHDD
   Primary master
C: 基本領域
 WindowsXP
D: 論理ドライブ    
  新しいHDD
   Primary Slave
E: 基本領域
引越し先
F: 論理ドライブ G: 論理ドライブ  

<引越し方法1>

   boot.iniファイルを新HDDの基本領域から起動できるように修正  
   
   Windowsフォルダ を引越し先の基本領域にXCOPYでコピー  
   
   System32フォルダを Windowsバックアップで復元  
   
   Documents & Settings を Windowsバックアップで復元   
   
   Program Files など他のファイルを単純にコピー  
   
   古いHDDを取り外し、新しいHDDをPrimary masterに変更  
   
   WindowsXP CD-ROM で修復インストール  

 まず、boot.iniファイルを新しいHDDの基本領域から起動できるように修正します。
 問題は、MS-DOSのコマンドXCOPYをどう使うかです。

 まずXCOPYする対象ですが、XCOPYコマンドで、C:ドライブを丸ごとコピーしても、C:ドライブのフォルダを順番に一つづつコピーする方法もあります。

 しかしXCOPYコマンドでコピーできないファイルの対策とか、Documents&Settingsなど長い名前のフォルダを一旦短い名前に変えて戻すことなど、かえって手間がかかり、Windowsフォルダのみコピーする方が手間がかからなくて解りやすいでしょう。

 上の3-(2)手順のように、別のドライブに、仮にWindowsXPを新規インストールして、その「コマンド プロンプト」を立ち上げてXCOPYを使うという方法が、簡単と思いますが、直接C:ドライブのWindowsフォルダをXCOPYする方法も試してみました。

 WindowsXPの回復コンソールを立ち上げても、XCOPYコマンドは含まれていません。
 そのため、あらかじめWindowsXPのWindowsフォルダのSystem32フォルダにあるXCOPYコマンドをフロッピーディスクにコピーし、回復コンソールを立ち上げて、A:ドライブに移動して使おうとしてもXCOPYコマンド自体を認識しません。

 (参考:マイクロソフト サポート情報 WndowsXPの回復コンソール)
 http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;ja;314058

 またWindows98の起動ディスクにXCOPYを組み込んでも、NTFSファイルシステムのドライブにアクセスできないため不可です。WindowsXPを「セーフモードとコマンドプロンプト」で立ち上げても、セーフモードで起動中のWindowsXPからは、やはり共有違反でXCOPYが完走しません。

 やむを得ず、共有違反となるファイルがあっても、飛ばしてコピーを続行するように、XCOPYコマンドを使うときに、/c オプションを加えて、次の式を使っています。

   C:\windows\system32\xcopy c:\windows e:\windows /e /h /r /k /c  

 なお、先にXCOPYコマンドがフロッピーディスクに保存してあれば、A:に移動し、A:\>と表示されている状態から、次式を使っても同じことです。

   A:\xcopy c:\windows e:\windows /e /h /r /k /c  


 /c オプションを加えて、XCOPYした結果は、次のような状況です。

XCOPYの使用方法 コピー不可のファイル数 コピー後の状態
Windows うちSystem32
 仮の他のドライブのXPの
 コマンドプロンプトから実行
0 0  正常起動
 (/c オプション不要)
 C:ドライブ起動中のXPの
 コマンドプロンプトから実行 
11 10  起動不可
回復コンソールで、Systemを修復して、WndowsXPの開始画面は表示されても、無効なパラメータを渡したというシステムエラーが発生
 セーフモードC:ドライブ起動中の
 コマンドプロンプトから実行
10 10


 3番目のセーフモードC:ドライブ起動中のコマンドプロンプトから実行の方法は、パソコンの電源を入れ[F8]キーを押し、さらに、その後Shift+[F10]キーを押すと、ユーザーの選択画面の直後にコマンドプロンプトが立ち上がります。

 起動直後なので問題が少ないかもと思って試しましたが、System32フォルダの共有違反、つまり使用中のファイルは、通常起動中のXPのコマンドプロンプトから実行した場合と同じでした。

 結局、起動中ドライブのコピーは無理かと思ったのですが、この後、仮の他のドライブのWindowsXPを起動し、C:ドライブのSystem32フォルダを単純に、E:ドライブのwindowsフォルダにコピーするとあっさりと起動しました。

 要は、この状態で、System32フォルダが同じものなら起動可能であり、[Windowsバックアップ] で復元しても可能と思い、再度[Windowsバックアップ] でSystem32フォルダをバックアップし、新しいHDDのE:ドライブを指定し、復元すると正常に起動することができました。
 起動後、いくつかのアプリケーションを使用してみても、特に大きな問題はないようです。

 またMS-DOS環境を立ち上げれれば、WindowsXPを起動しないでXCOPYをかけれる可能性があります。WndowsXPのインストールは、CD-ROMブートで可能なため、通常は起動フロッピーディスクの必要がないのですが、WndowsXP起動ディスクを作成することもできます。

 (参考:マイクロソフト サポート情報 WndowsXPの起動ディスクの作成方法)
 http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;ja;880422
 http://support.microsoft.com/default.aspx?scid=kb;ja;880422#2

 しかしフロッピーディスクが6枚必要であり、
XCOPYコマンドが使えないかもしれないので、試すのは止めました。また、上の手順のXCOPYと[Windowsバックアップ]の組み合わせで起動できるようになり、それで良いでしょう。

 これでパソコンの電源をいれた後、起動OSの選択画面が表示された以降のWindowsファイルの読み込みと起動は何とかクリアしました。

 次に、古いドライブを取り外した後、起動プロセスの修復をどうするかということです。
 起動プロセスのみ修復することも可能でしょうが、新しく引越したWindowsXPを修復インストールするか、別のドライブにWindowsXPを仮にインストールし起動プロセスを再構築し、再度boot.iniファイルを修正する方法が簡単です。

 しかし、どうせ別のドライブにWindowsXPを仮にインストールするのであれば、先に仮インストールする次の<引越し方法2>の手順が、もっと簡単と思われます。


<引越し方法2>

   新HDDをPrimary masterとして接続、古いHDDをslaveに変更  
   
   仮に新しいHDDの論理ドライブにWindowsXPをインストール  
   
   元のWindowsフォルダ を引越し先の基本領域にXCOPYでコピー  
   
   Documents & Settings を Windowsバックアップで復元   
   
   Program Files など他のファイルを単純にコピー  
   
   古いHDDを取り外し、boot.iniファイルを修正  
     
   不具合があれば、WindowsXP CD-ROM で修復インストール  


 この場合、XCOPYコマンドは、仮のWindowsXPのコマンドプロンプトを立ち上げて使えば、/cオプションを付けなくても完走すると思いますが、もし途中で止まるようであれば、/cオプションを付けざるを得ないでしょう。

 なお3-(2)で説明しましたが、WindowsXPの修正プログラムを適用していると、修正プログラムを削除したときに元に戻すために、Windowsフォルダ内に「$NTUninstallKB821557$」というような、いくつかの隠しフォルダが保存されており、先に削除しておくと良いでしょう。

 また仮のWindowsXP上のドライブレターは、新たに振られるため、引越し元のXP上のドライブレターとは異なり、XCOPYのときに注意が必要です。

  取り外すHDD
   Primary Slave
D: 基本領域
 WindowsXP
G: 論理ドライブ    
  新しいHDD
   Primary master
C: 基本領域
引越し先
E: 論理ドライブ
(仮)WindowsXP
F: 論理ドライブ  

 上の図のようなドライブレターであれば、XCOPYは次の式になります。

   E:\windows\system32\xcopy d:\windows c:\windows /e /h /r /k  

 その他の上の図の手順は、前述の3-(2)で説明しており、参照してください。
 おそらくWindowsの修復インストールは必要ないと思いますが、古いハードディスクを取り外した後、仮にインストールしたWindowsXPを削除し、boot.iniファイルを書き換えて完了です。

 ここで記述した方法で、どんな場合でも問題なく引っ越せるかどうかは解りません。
 どちらかと言えば、<引越し方法2>の方が引越しが容易であり、Primary masterとして接続してから引越しすることからトラブルが少ないと思われ、お勧めです。

 しばらく使ってみてトラブルがあれば、
あきらめてセオリーどおり、WindowsXPの再インストールと[ファイルと設定の転送ウィザード]を利用して個人設定を移すか、それが面倒であれば、結局、市販のバックアップソフトの利用が良いということでしょう。


<おわりに>

 冒頭にも書きましたが、このファイルで説明していることは、ビギナーの方には難しく、リスクが大きいことも含まれています。

 また、手間がかからない方法はないかと思って、あくまで数回試してみた備忘録のようなもので、トラブルがあっても原因がわからないブラックボックスの部分があり、間違いや正確ではないこともあるでしょう。

 PC/AT互換機で、全てのハードウェアやソフトウェアが正常に動くのが、むしろ不思議なことであり、ハードウェアやソフトウェアの相性問題のように、ベンダーやユーザーからの報告が無ければ判らないものも含め、Windowsの不具合は、Microsoftのサポート情報にはいくらでもあるのです。また不具合があっても、気がつかないということもあるでしょう。

 感想としては、WindowsXPの修復インストールは、Windows98と比べて、よく解らないときでも直してくれるなあと思いますが、トラブルとなっても自分で解決できる方のみ参考としてください。

 なお、ハードディスクをフォーマットして、WindowsXPを新規インストールする手順としては、「WindowsXPの導入」を、また、WindowsXPのServicePack2の適用については、WindowsXP SP2適用の問題を参考にしてください。

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