1 ハードディスクの取り付け
ATXケースでは、ドライブ類を取り付けるときは、側面パネルを両面とも取り外さなければならないPCケースが多いでしょう。また3.5インチベイの取り外しが可能なPCケースがあり、取り外せばHDDを取り付ける作業が楽ですが、またベイを元に戻すのに手間がかかるので、ケースによっては一長一短です。
3.5インチドライブベイは、ドライブの前面操作部がPCケースの前面パネルからアクセスできる普通の3.5インチベイと、ケースの外からはアクセスできない内臓ドライブ専用のシャドウベイとあります。
ハードディスク(HDD)は、一般的には3.5インチシャドウベイに取付けますが、空いていれば外からアクセスできる3.5インチベイや、場合によっては5インチベイにマウンタを装着して取り付けることも可能です。
<HDDの取り付け位置>
複数あるシャドウベイのどの位置に取り付けるかは、使用する信号ケーブルと電源ケーブルの取りまわしを考えて、取付けるベイを決める必要があります。
内臓HDDは、IDE接続のHDDとSATA接続のHDDとあり、使用する電源ケーブルや信号ケーブルが異なります。
右の画像は、5インチベイの下にある3.5インチベイであり、4台のHDDが取り付けてあります。 ベイへの取り付けは、HDDもFDDも、側面から片側2本づつ計4本のネジを締めて取り付けます。 取り付け位置は、ネジ穴が合う範囲で前後にスライドさせ微調整できることが普通です。 下から日立のSATA接続のHDD、MaxtorのSATA接続のHDD、MaxtorのIDE接続のHDD、SeagateのSATA接続のHDDです。 各HDDは密着しないように、空きベイを挟むなど空間を取るようにしています。 この3.5インチベイの最上段のSeagateのHDDの位置は、シャドウベイではないため一般的にはFDDを取り付ける位置です。 |
最近主流となってきたSATA接続のHDDであれば、信号ケーブルは一台づつ独立したSATAケーブルを使用するため、複数あるシャドウベイの上のほうでも、下の方でも好きな位置に取り付けて支障ないでしょう。
なお日立のSATA接続のHDDは、通常の4ピン大コネクタ電源ケーブルでも接続可能であり、4ピン大コネクタを使うのであれば電源ケーブルの取り回しには留意しましょう。
IDE接続のHDDであれば、上段の方のシャドウベイに取り付けることが無難です。
IDEインターフェースは、マザーボード上にプライマリとセカンダリの2基のコネクタが装備され、2本のIDEケーブルが使え、プライマリ、セカンダリそれぞれのケーブル毎にマスターとスレーブのコネクタにドライブが接続できます。
右の画像は、IDEケーブルであり、フラットケーブルとも呼ばれます。 このケーブルを2本使うと、プライマリ・マスター、プライマリ・スレーブ、セカンダリ・マスター、セカンダリ・スレーブと合計4台の機器が接続できます。 同じIDEケーブルで接続する機器は近くに置くようにすることが基本です。 |
ただし、最近のIntelのLGA775プラットフォームのマザーボードでは、Intelのチップセットの仕様でIDEコネクタが1基しか装備していないマザーボードが多く、IDE接続のHDDを使うのであれば、1本のIDEケーブルで、HDDとDVDドライブを届く範囲にないと繋げません。(後述しますがジャンパピンの変更が必要です)
PCケースの中で、通常は3.5インチベイより上部に5インチベイが並んでおり、この場合5インチベイに近い上段の3.5インチシャドウベイにIDE接続のHDDを取り付けるとケーブルが届かなくて付け直すという手戻りがないでしょう。
なお同じケーブルには、速度差が大きいドライブを2台繋ぐと不安定な原因となる場合があります。そのため、IDEケーブルが2本使えるのであれば、HDDをプライマリのIDEケーブルのマスターに、DVDドライブなど光学ドライブをセカンダリのIDEケーブルのマスターに接続するのが普通です。
HDDは高熱となる機種も多く、複数台のHDDを使うときは、間に隙間をとるように空きベイを挟んで取り付けると良いでしょう。また可能であれば上下の他のパーツとも密着しないようにしてください。
MicroATXケースの場合、ミニタワーケースではATXケース並に3.5インチシャドウベイを3〜5ベイ装備しているケースもありますが、スリムタワーケースでは1〜2シャドウベイと少ないために、複数台のHDDを取り付けるために工夫しなければならないケースがあります。
HDDをもう一台付けたり、DVDを付けたりしてドライブ3台またはフルに4台使うときは、やむを得ないので、マウンタを挟んで5インチベイに取り付けるなど、いろいろ試してみてください。
<ジャンパピンの確認>(IDE接続のHDD・DVDドライブなど)
IDEインターフェースは、1本のIDEケーブルでマスターとスレーブの2台の機器が接続でき、IDE接続のHDDでは区別するためにジャンパピンがあり、マスター、スレーブまたはケーブルセレクト(CS)にセットできるようになっています。
そのため、IDE接続のHDDはPCケースに取り付ける前に、ジャンパピンのセットの位置を確認する必要があります。
ジャンパピンの設定はHDDの場合、通常WindowsをインストールするHDDは、ジャンパピンをマスターの位置にセットし、他のHDDはスレーブの位置にセットします。そしてIDEケーブルのプライマリのマスターのコネクタに、WindowsをインストールするHDDを接続するのが基本です。
なお購入したばかりのHDDは、ジャンパピンがCS(ケーブルセレクト)にセットされている場合があります。
IDEケーブルの機器側コネクタは、上の画像のように先端のコネクタがマスター、途中のコネクタがスレーブであり、ジャンパピンがCSにセットされているHDDを先端のコネクタに接続するとマスター、途中のコネクタに接続するとスレーブのドライブとして認識します。
そのためCSにセットされていれば、接続するケーブルのコネクタの位置に依存しており、接続の時に注意すれば良いのですが、同じケーブルに接続するもう1台のドライブもCSにジャンパピンをセットすることがケーブルセレクトの使い方です。
右の画像のMaxtorのHDDの場合、IDEコネクタと4ピンオス電源コネクタの間に、ジャンパピンがあります。 アイボリー色のキャップを挿す位置によって、マスター、スレーブ、CSのドライブとして認識するよう切り替えることができます。 |
バルク品のHDDは、通常使用説明書が付いてなく、ジャンパピンの位置の確認は、HDD本体に記載されていなければ、次のメーカーサイトで確認してください。
<各メーカーのジャンパピンの説明ページ> Seagate、日立、Maxtor
特にジャンパピンに気をつけなければならない場合は、IDE接続のHDDを2台または3台使い、DVDドライブを使うようなケースでしょう。いずれも初期設定で、ジャンパピンがマスターにセットされていると、バッティングします。
一般的には、WindowsをインストールするHDDはプライマリのマスター、DVDドライブはセカンダリのマスターに接続するため、ジャンパピンはマスターのままで良いのですが、残る1〜2台のHDDは、スレーブのドライブとして接続するため、ジャンパピンもスレーブに変更する必要があります。
またIDEコネクタが1基しかなくてIDEケーブルが1本しか使えない場合も、HDDをマスターとすれば、DVDドライブはスレーブに接続するよりなく、DVDドライブのジャンパピンがマスターではバッティングします。よってDVDドライブのジャンパピンをスレーブに変更する必要があります。
この場合、HDD、DVDドライブともに、ジャンパピンをCSにセットする使い方もありますが、稀にCSで正常に認識しないこともあるようで、認識トラブルがあればジャンパピンをマスターとスレーブに固定してください。
なおSATA接続のHDDは、1台に1本のSATAケーブルで接続するため、マスターとスレーブの区別はなく、また台数もマザーボードのSATAコネクタの数だけ接続できます。
2 DVDドライブの取り付け
本体ケースの5インチドライブベイには、CD-ROMドライブ、DVDドライブ、CD-RWドライブ、ファンコントローラ、内臓スピーカなどを取り付けますが、ドライブ類は取付け位置に気をつけないとIDEケーブルが届かなくて、取替えなければならなくなることがあります。
つまり、複数の5インチベイがあれば、IDE接続のドライブ類はHDDを取り付ける3.5インチベイからケーブルが届く範囲の位置に取り付けることです。
IDEケーブルのスレーブの位置に接続するのであれば、DVDドライブやCD-RWドライブのジャンパピンも注意が必要です。取り付ける前にジャンパピンがマスターになっていれば、スレーブ(CSでも可)に変更してください。
最近SATA接続のDVDドライブも製品化されていますが、ほとんどの現在主流の記録型DVDドライブはIDE接続です。
記録型DVDドライブは、CD-ROMもDVDメディアも全て読み書きできるマルチドライブが現在は主流であり1台ですみますが、かつてはDVDドライブとCD-RWドライブと2台接続することもあったように、2台以上のドライブを使うときは、IDE接続上の注意が必要です。
いずれもドライブ側はマスターで使われることが想定されているので、マスターで接続できないときに、IDEケーブルの取り回しやジャンパピンの設定など変更しなければならない場合があります。
DVDドライブなどドライブ類のPCケースへの取り付けは、普通の5インチベイでは、HDDと同じように、側面から片側2本づつ計4本のネジを締めて取り付けます。
その前に、5インチベイが覆われている場合は抜く必要があり、5インチベイを覆うプラスチックカバーと、その下に金属パネルがあれば外すという作業が必要です。
昔はこの金属パネルをペンチで外すときにバリで手をケガすることがあり、気をつけなければならなかったのですが、最近のPCケースは5インチベイが覆われているカバーは簡単に外せるようになっています。
また取り付け位置は、ネジ穴が合う範囲で前後にスライドさせ微調整できますが、下の写真のように、前面フェースのデザインでベイカバーのあるPCケースで使うときは、特に位置合わせに気をつける必要があります。
上の写真のPCケースには、CD-RWドライブを付けていますが、直接5インチベイにネジ止めするのではなく、スライドする補助具にネジ止めし、前面フロントのイジェクトボタンで操作可能なように微妙な位置調整ができるようになっています。
一般的なPCケースでは、前面フェースから出っ張ったり、引っ込んだりし過ぎないように、少しアバウトに合わせても支障がないでしょう。
3 FDDの取り付け
一般的なPCケースでは、3.5インチベイにFDD用のベイが用意されていて、取り付けはHDDと同じように、側面から片側2本づつ計4本のネジを締めて取り付けます。
また取り付ける前に、DVDドライブと同じように、ベイを覆うカバーがあれば外すという作業が必要です。
また、取り付け位置を前後にスライドさせ微調整できるようになっており、前面フェースからFDDのフロントパネルが顔を出して、メディアを抜き差しし易いように調整します。
ケースによってはFDD専用ベイが有るものがあります。 右の画像はMicroATXケースであり、FDDの専用ベイに取り付けています。 最近はMicroATXケースでは、デザイン的な面もあって、ベイに工夫されているものが多くなっています。 |
なお、かつてFDDの専用ベイがあるPCケースでは、FDDのフロントパネルを外さないと取り付けれないケースもありましたが、上の写真のMicroATXのケースのように、専用ベイであっても、そのまま取り付けれるケースが多くなっています。
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4 ビデオカードの取り付け
ビデオカードのインターフェースはPCI
Expressxへと移行し、IntelのLGA775プラットフォーム、AMDのSocket939プラットフォームともに、現在はPCI
Express x16対応ビデオカードをサポートしています。
そしてビデオカードを装着するスロットは、最近のマザーボードでは、PCI
Express x16スロットを採用しています。
なお現在AGPビデオカードも市販されていますが、少し古いAGPスロットを搭載するマザーボードでなければ使えません。
下の画像の上は、ATIのRADEON X1600XTチップを搭載するXIAi製ビデオカード、下がNVIDIAのGeforce6600チップを搭載するMSI製ビデオカードであり、いずれもPCI
Expressx 16対応ビデオカードです。
ビデオカードのPCI Express x16スロットへの装着は簡単です。 ビデオカードのブラケット部を取り付ける位置に当たるPCケース背面の拡張カードパネルカバーを外します。 このとき外したネジは、ビデオカードを差し込んだ後に締めるために使います。 マザーボードのスロットに、ビデオカードを上から差し込み、ブラケット上部をネジ止めします。 |
ビデオカードが抜けないようにしっかりと装着するため、スロットに固定具が付いています。 この固定具を少し引いて抜き差しするとスムーズに入りますが、固定具の形状はマザーボードによって違いますので、スロットの形状をよく確認し着脱のときに注意してください。 |
マザーボードへのカード類の装着は難しくないのですが、片側が浮いていたりして、しっかり装着されてなくて、正常に動作しないことがありますので気をつけてください。
右の画像は、AGPビデオカードです。 スリムタイプのPCケースで使えるロープロファイルサイズのビデオカードであり、ブラケットを交換してスリムケースに取り付けます。 AGPスロットへの装着方法は、上で説明したPCI Express x16対応ビデオカードと基本的には同じです。 もちろんPCI Express x16スロットには、互換性がないため装着できません。 |
PCI Express x16スロット用のロープロファイルサイズのビデオカードは持っていないのですが、スリムケースへの取り付け方は、同じようにロープロファイル用ブラケットに交換して取り付けることが普通です。
<組立て後のモニタへの接続>
ビデオカードのブラケット部には、VGAコネクタまたはDVIコネクタがあり、モニタのケーブルを接続します。なお普通のアナログモニタに接続する場合で、ビデオカードにDVIコネクタしかない場合は、VGA/DVI変換コネクタを挟んで接続します。
なお上の写真の白いコネクタが変換コネクタであり、ビデオカードに付属していることが多いでしょう。
グラッフィック統合型チップセットを搭載するマザーボードの場合は、ビデオカードを使わなくてもモニタに繋げます。この場合、PCケース後面のマザーボードのI/OパネルのVGAコネクタに、モニタのケーブルを接続します。
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