1 CPUの取り付け
マザーボードにCPUとCPUクーラー(冷却ファン)、メモリーを取り付ける際には、特に静電気に注意が必要です。
CPUには、間違った向きに取り付けることがないように切り欠きあり、その切り欠きをソケットに合わせて正しい向きに取り付けすれば、CPUがソケットに落とし込むようにスポッと納まりますので、無理に力を入れないようにしてください。
下の左の画像は、Socket478のCPUの切り欠き(ピンがない部分)を合わせる位置です。
下の右の画像のように、レバーを留め具から外して起こし(少し押して外に開き気味に起こす)、レバーを起こした状態でCPUを装着し、レバーを元に戻します。
なお切り欠きの数、位置や形状は、LGA775、Socket939などソケットの種類によって異なりますが、レバーを起こし、CPUを装着し、レバーを戻すという基本は同じです。
CPUをソケットに装取り付けた後で、次はリテンションモジュールベース(右の画像のソケットを囲む黒い枠)にCPUクーラーを取り付けます。
CPUクーラーは、密着しないと放熱効果が落ち、高熱でCPUが壊れたり、冷却不足で動作が不安定になったりします。そのためCPUクーラーの装着は、しっかり装着させるために取付けバネが硬くなっており、説明書に詳しく取付方法が書いてあるのでよく読んでください。
Pentium4もAthlon64も、純正CPUクーラーには熱伝導シートが貼り付けてあり、CPUを購入して最初に取り付けるときは、グリスは必要がありません。
右の画像はグリスで、最近は注射器タイプもあります。 CPUクーラーに熱伝導シートが貼り付けてない場合や、一旦取り付けたCPUを外して再装着する場合は、グリスが必要となります。 なおグリスの替わりに使いかっての良い熱伝導シートも販売されています。 再装着のときは、前の熱伝導シートやグリスはきれいにふき取ってから、グリスを塗ります。 |
グリスは熱伝導性能が高いことをアピールしているグリスもあり、こだわるユーザーは、最初から純正クーラーの熱伝導シートをはがしてグリスを使うこともあるでしょう。
CPUクーラーは装着後、ファンへの電源供給ケーブルをマザーボードに接続することを忘れないでください。マザーボードのCPUソケットの近くに、必ずCPUクーラーのファン用の3ピンコネクタがあります。
以上、基本的なCPUの取り付け方法を説明しましたが、次にLGA775
Pentium4とSocket939 Athlon 64の取り付けについて補足説明します。
1-1 LGA775 Pentium4
Pentium4の場合は、ソケットのタイプがSocket478からLGA775へと変更になり、LGA775のPentium4は、CPU側にピンが無く、マザーボード上のソケット側にピンがあります。
従来のCPUでも、外周のピンが少し曲がってしまい挿せないことがあり、この場合は、ピンをまっすぐにそっとピンセットで直せば落とすようにソケットに入りましたが、LGA775では、CPUを取り付ける前にソケットのピンが曲がらないように保護カバーが付いています。
つまり従来とは反対となり、リスクが大きくなったため、CPUとソケットの両方に保護カバーが付いています。もちろん取付けの直前に保護カバーを外し、外した保護カバーは次に取り外すときのために保管しておくようにと注意書きがあります。
LGA775のソケットには、ソケット・レバーとロード・プレートがあります。
CPUを取付けるときに、ソケットの左側のレバーを引き起こすことは、従来のCPUの取付けと同じですが、この後、ロード・プレートを引き起こしソケット保護カバーを取り外す手順が加わっています。
そしてCPUの保護カバーを外し、切り欠きの位置を合わせて、ソケットに静かに置くと納まります。後は、ロードプレートを元に戻し、ロードプレートを右手で押さえながらソケット・レバーを押し下げて固定すれば装着完了です。
なお切り欠きの位置も、従来のプロセッサと違い、外縁2箇所でわかるようになっており、解りやすいでしょう。
LGA775のPentium4の純正CPUファンはまずまず扱いやすい方です。
上の左の画像の青丸の印の位置に、上の右の画像のように、CPUクーラーの四隅のピンの位置を合わせて置き、クリップをカチッと音がするまで押すだけと簡単です。 外すときもピンをマイナスドライバで矢印の方向で回転させて引き上げる、つまりマイナスドライバを使うことで無理に力を入れなくても扱いやすくなっています。 なお右の画像のIntelのマニュアルには、解りやすい図解が載っており、必ず目を通してください。 |
1-2 Socket939 Athlon64
Socket939版Athlon 64
のマザーボードへの装着は、従来どおり、ソケットレバーを上げ、CPUとソケットの切り欠き(マーク)の位置を合わせてそっと置く感じで差し、レバーを戻すという手順であり難しくはありません。
CPUのピンがない部分は、1スミだけではないのですが、ピンの形状から間違えて挿すことはできないし、切り欠きというより位置合わせの▲マークが、ソケットにもCPUにも目印として付いています。
かつてAthlonの純正FANは、取付けバネが硬すぎて、無理に力を入れてCPUのコア欠けでオシャカにしてしまうことがありました。 その点、随分改良されてきて、昔のように強い力で押さえなくても容易に装着できるようになっています。 右の画像の下側に固定レバーがあります。 リテンションモジュールベースの位置に合わせて乗せ、固定レバーの反対側にあるフックに押さえ金具を掛けて、レバーを回してロックする方法で、装着できます。 しっかりとリテンションモジュールに固定されているか確認してください。 CPU冷却ファンから黒、青、赤の電源ケーブルが伸びています。 |
上の写真の左下、マザーボードの3ピンコネクタに冷却ファンのケーブルを接続して完了です。 この手順は、右の画像のAMDのマニュアルに解りやすく図解されていますので、目を通せば間違えることはないでしょう。 |
最後に、重要なことですから再度記載しますが、CPUクーラーの冷却ファンの電源ケーブルを挿すことを忘れないように注意しましょう。
2 メモリーの取り付け
現在AMDのSocket939 Athlon64とAthlon64 X2で使われているメモリーは、DDRメモリー(DDR-SDRAM)ですが、IntelのLGA775
Pentium 4、 Pentium DではDDR2メモリーもサポートしており、マザーボードがサポートしているメモリーがDDRメモリーかDDR2メモリーか、まず確認してください。
DDRメモリーでもDDR2メモリーでも、取り付け方法は同じですが、ピン数も切り欠きの位置も異なり、対応するメモリースロットでないと取り付けることができません。
マザーボードによっては、DDRメモリースロットとDDR2メモリースロットと両方のスロットがあるマザーボードもありますが稀なことであり、一般的にはどちらかのメモリースロットしか搭載していません。
下の写真は、DDRメモリーのスロットです。
最近のマザーボードでは一般的には4本のスロットがあり、良く見ると、このASUSのマザーボードでは、下から黒色、青色、黒色、青色と並んでいて、青いスロットが2本、黒いスロットが2本あります。
この色分けがしてあることは実は意味があって、同型番、同容量の2枚のメモリーを使ってデュアルチャネルでメモリーを動作させるためには、2枚のメモリーを挿すスロットを間違えないように解りやすくしているためです。
つまり、デュアルチャネルで動作させるときは、2枚のメモリーを、同じ色のスロットに挿さなければならないのです。そして青色のスロットにメモリーを1枚づつ、同じ型番のメモリーを計2枚挿すという使い方が最も一般的です。
なお、メモリー1枚の場合は、青色のスロットのCPUに近い方のスロットに挿すことが無難です。黒色のスロットを使うときは、メモリーを3枚以上使うときであり、デュアルチャネルで動作させるためには4枚使います。
また、マザーボードのメーカーによっては、この色分けの色が異なる場合もありますが、デュアルチャネル動作をサポートしているマザーボードでは、スロットを2本づつ色分けしていることが普通です。
上の写真の右側の画像は、スロットの端であり、アイボリー色のレバーがあり、下の2本のスロットはレバーが開いている状態、上の2本のスロットはレバーが閉じた状態です。
空きスロットは、レバーが開いていようが閉じていようが、どちらでも構わないのですが、メモリーを取り付けるときは、一旦レバーを開き、メモリーを差し込むとレバーが閉じる構造となっています。
メモリーの取り付けで、もう一つ注意することは、差し込む向きの問題です。
メモリーの端子側に、切り欠きがあります。(左の画像)この切り欠きをスロットの突起に合わせて取り付けます。 この切り欠きがあるため、タイプの異なるメモリーは装着できないし、正しいメモリーでも間違った向きには装着できません。 |
よってメモリーの取り付けの手順は、次のようになります。
(1)取り付けるメモリースロットのレバーを開く。
(2)メモリーの切り欠きを確認して、スロットにそっと置く。
(3)メモリーの背に手を当てて、そのまま親指でまっすぐスロットに押し込む。
(4)カチッと音がしてレバーが閉じ、メモリーが装着できる。
(5)きちんと装着できてないこともあり、両端のレバーが閉じているかを確認する。
DDRメモリーなどDIMMは、硬くて中々メモリースロットに差し込めないことがあります。メモリースロットの両サイドのレバーを開き、切り欠きを合わせたら、まっすぐに両手の力を均等に押し込むように注意してください。正しく装着されるとレバーが閉じ固定されます。
右の写真は、装着済みの状態です。 スロットの両端のレバーは、装着するときに一旦開きます。 下から2番目のスロット、一つ飛んで一番上のスロット、いずれも青色のスロットに、メモリーが装着されています。 比較のために、一番下のレバーを開き、他は閉じています。正しく装着されるとレバーが閉じた元の位置に戻っています。 |
かつて立て付けが悪くて、メモリーを外すときにレバーを折ってしまったマザーボードがあります。最近のマザーボードは、きちんと合うように良く作られていてメモリーの抜き差しで苦労することは少ないでしょう。
最初は、堅いため中々入らなくてビギナーの方は慌てるかもしれませんが、慣れれば力の入れ加減のコツが解ります。
なおメモリーを取り外すときは、両端のレバーを開けば、抜けるようになります。
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3 PCケースへのマザーボードの組み込み
PCケースにマザーボードを取り付けるためには、まずPCケースの側面パネルを取り外します。
PCケースの背面パネル(マザーボードベース)に、スペーサーを挟んでマザーボードをネジ止めします。普通はインチネジを使います。
右の画像がスペーサーです。 かつてはPCケースの背面パネルに、自分でスペーサーを取り付ける作業が必要なケースが普通でした。 最近のケースは最初からスペーサーが取り付け済みのケースも多くなっています。 |
右の画像は、後面のI/Oシールドです。 マザーボードのコネクタの形状と合ってない場合は、マザーボードに付属するシールドと先に取り替えておきます。 I/Oシールドの抜き差しは、少し力を入れて押すため、手をケガしないように気をつけてください。手のキズの手当てのためのバンドエイドも便利グッズです。 |
ネジ止めのときの注意は、ATXマザーボードは9本〜10本、MicroATXマザーボードでは6本〜9本のネジを使いますが、まず位置合わせをして、取り付けられているスペーサーの位置と数が、マザーボードのネジ穴と合うか確認します。そして原則、スペーサーの数=ネジ穴の数だけ省かずにネジを使うことです。
なお位置合わせのときに、後面のI/Oシールドのツメを外部側に押し込んでしまわないように注意してください。
また、ネジは全てのネジを軽く締めて仮止めしてから、締め増しするという基本はトラブルを避けるために守るべきです。
稀なことですが、組立後、マザーボードとPCケースのショートが原因で電源が入らないことがありますので、ネジを省いたり、ネジを歪んだまま強く締めすぎたりすることは避けましょう。
かつては樹脂製のスペーサーもあったのですが、最近は金属製のスペーサーが多くなって余分なスペーサーがあるとショートのリスクがあります。またATXケースでMicroATXのマザーボードを取り付けるときなども、余分なスペーサーを外した方が無難です。
なお、マザーボードとPCケースのショートが原因かどうかは、簡単に解ります。
背面パネルからマザーボードを外して通電すると正常に動くけれども、ネジ止めすると動かないのであればショートしており、場合によっては絶縁ワッシャや絶縁テープを挟むなどの対策が必要です。
上の左の画像のように、背面パネル(マザーボードベース)が着脱できるタイプのPCケースであれば、背面パネルを取り外してマザーボードを取り付けることができるため作業が楽です。
マザーボードベースが外せない場合は、上の右側の写真のCPUとメモリーを取り付けた状態で、PCケースにマザーボードを取り付けます。
なお、PCケースにマザーボードを取り付けてから、CPUとメモリーを取り付ける手順が書かれているマニュアルもあります。メモリーやCPUファンを取り付けるときに少し力を入れるため、ビギナーの方がマザーボードを机の上に直に置いて作業をすると、机やマザーボードを傷めてしまうおそれがあるからです。
しかし、PCケースにスペースの余裕がないと、先にCPUとメモリーを取り付けてからケースに納めた方が作業性が容易ですから一長一短です。段ボールや数枚の新聞紙を敷いて、マザーボードの箱に入っている緩衝マットなどの上に載せて作業をすれば、神経を使うCPUやメモリーの装着が楽になります。ただしPCケースに余裕があれば、どちらでも良いようなものです。
マザーボードベースが取り外せる場合は、作業性が容易になる上に、上の左側の写真のように、ビデオカード、ビデオキャプチャカード、後面USB追加コネクタなどを取り付けてからPCケースに組み込むことが可能です。
この場合は、取り外したマザーボードベースに、マザーボードを先に取り付け、CPU、メモリー、ビデオカードなど他のパーツの順に取り付けると良いでしょう。
もちろん、いずれも静電気には注意してください。
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